【感想・ネタバレ】問いの編集力 思考の「はじまり」を探究するのレビュー

あらすじ

落合陽一氏 佐渡島庸平氏 推薦!
AIが「答え」を出す時代に
思考の主導権を取り戻す

アルゴリズムが誘導する世界を
「問う力」で切りひらく
編集工学に基づく知的創造のプロセス

私は私でなく、私でなくもない、
そんな言葉が響く編集の洞穴の入り口である.
――落合陽一氏

“「問う」ということはつまり、「いつもの私」の中にはないものに出会うこと、
その未知との遭遇の驚きを自分に向けて表明することだと言っていい”
本文中にあったこの一文。ここに、編集の真髄を感じた。
――佐渡島庸平氏

本書は、編集工学を手すりに「問い」の発生現場の謎を探る一冊。
学校教育では探究学習が浸透し、
ビジネスの現場でも自立型人材や、課題解決力よりも課題発見力の重要性が盛んに言われるようになった。
一方で、これまで「答え方」は練習してきたが、「問い方」は学んでこなかった。

「問う力」が必要であることは多くの人が共有し始めているのに、肝心な「問い方」がわからない。
なぜ「問う」ことは難しいのか?
小さい頃は「なんで?」「どうして?」の問いにあふれていたのに、
大人になって問えなくなるとしたら、何が邪魔をしているのか?
「問い」はどこからどうやって生まれてくるのか?

誰もが備え持つ「編集力」をもとに、
問いが生まれ出るプロセスを4つのフェーズで考えていく。

「問い」の土壌をほぐす:Loosening(第1章)
「問い」のタネを集める:Remixing(第2章)
「問い」を発芽させる:Emerging(第3章)
「問い」が結像する:Discovering(第4章)

本書を通して、本質を見抜き、世界を動かしていく
「内発する問い」を生み出す力を身につけよう。

【目次】
第1章 「問い」の土壌をほぐす:Loosening
第2章 「問い」のタネを集める:Remixing
第3章 「問い」を発芽させる:Emerging
第4章 「問い」が結像する:Discovering
第5章 「内発する問い」が世界を動かす

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Posted by ブクログ

問いの研究をしていた身として、問いとはどういうものであるとよいのかを考えるきっかけになればと思い購入。

一言で感想を言うと、凄まじい本だった。
自分自身から積極的に問いを持ち、価値観をはじめとした現在のあり方を疑い、問い直すことを検討した本。
問いを持つことは大切というが、その方法はいかなるものなのか?そもそもそれにどういった意味があるのか?さまざまな観点から問いのあり方を検討し、具体的方法へと昇華している。読書からさまざまな問いを作り出すことをずっと考えている自分にとっては、問いを持つことがこれからさらに楽しくなるだろうと思えた。

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2025年08月04日

Posted by ブクログ

Why思考をアイドリングさせておくにはどうしたらよいか、という問いから始まって本書に手を伸ばした。

「編集力」というキーワードと現時点でのイシス編集学校の代表ということから、セイゴオ氏の後継であることは想定していたが、期待を上回る、良い影響を受けた。将来の自分を想像して、その時点から顧みたときに「自分の人生を大きく揺り動かした一冊だった」と思う本になるかもしれない。

『知の編集工学』と比較してみると、記述された時代性もあってか、あちらがワイルドなのに対してこちらはマイルドな印象。刺激の強さが軽減されている一方で、『知の編集工学』では咀嚼しきれなかった部分もスッと飲み込めた。そして独自の視点としては、屋台骨である「問い」である。

さて私の元々の目的であった「Why思考のスイッチを常にオンにして活動するためにはどうしたらよいか」。その答えは、思うに本書の「総体」に散りばめられている。本書全体から丁寧に受け取る必要がある。

Why思考を常時オン化したい理由は複数ある。

人との対話において「話がつまらない」と言われてしまう。
仕事で詰めが甘くケアレスミスが発生する。
興味の幅が広く、あれこれに手を出してしまいどれも中途半端。
やるべき小さなタスクを無意識に見て見ぬふりしてしまう。

こういった日常の欠点を改善するためには、「常に」「全方向に」Why思考を持つ必要があると私は考えた。

視点の抽象度を単に上げるにしても、それを常時オンにするのは非常に難しい。仕事をするとき、料理をするとき、本を読むときなど、何かに集中するときには、やはり全体が見えなくなる。

対話であれば、相手の返答における言葉選びから、声のトーンや目線といった非言語コミュニケーション的反応を「読み」、その機微を捉えて、無意識な疑問をスルーせずに細かく軌道修正してこそ、相手を尊重した応対が出来ると言えよう。無視して自分の主張を押し通すことは相手への敬意に欠ける。

ケアレスミス防止のためには念入りに確認をするのが定石だが、その時点ではまだ解像度が荒く、根性論が隙間に入り込む。タスクの目的まで一度抽象度を上げて、そのタスクを満たすために必要な条件を因数分解し、その素因数の条件を自分のアウトプットが満たせているかどうかをMECEに評価する。この具体抽象の往還と評価には、やはり疑う心、問う心が欠かせない。これを中長期のスパンに敷衍すれば時間術や仕事選び、人生の舵取りに適用されうる。

そして次、これが喉奥の魚の骨なのだが、やるべきことを無意識に見て見ぬふりしてしまう悪癖の対処。
このためには、微かであれ認識によぎった違和感をすばやく捕まえて「問い」としてまな板に乗せ、丁寧にさばく習慣が必要で、この違和感を逃さない術こそ、道端のスミレに気付く察知力に他ならない。

これらを総括する「問いの編集力」をわがものとするには、どことなく後回しにしてしまいそうな、本書で挙げられている練習問題を何周かこなして身に沁み込ませる必要がありそうだ。

実際に練習問題に取り組んでみて、やはりまだ自分のインターフェイス(IF)の表面が固く、自分と世界の間の輪郭がはっきりしすぎていることに気付いた。このIFを水彩画の絵の具が水に溶けるようにボヤっとさせることが、自分を取り巻く人、環境、空間、時間、世界を取り込む手段となるように思う。

著者安藤氏の、なめらかで暖かな言の葉の紡ぎ方から、そのIFの柔軟さが本当によく読み取れる。こんな文章を書きたい。というかこんな人になりたい。そう思わせてくれる一冊だ。

あと最近読む本あちらこちらで登場するベイトソン。彼の学習階型論の件は非常に考えさせてくれた。これはこれでやはり原著を当たらねばなるまい。

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2025年04月06日

Posted by ブクログ

探求には適切な課題設定 問いの設定が大事。では、問いはどのように生まれるのか?
答え方は学んできたが問い方は学ばなかったというある人事担当者の一言が作者の胸に刺さる

第5章にぎゅっと話が詰まっていて、そこで掴めたと思うならそれで良いし、それで関心が持てないならまだ読むタイミングではないと判断して良い気がする。その上で、わからないけど関心があるとか、具体的どう挑もうかとなったら頭から読むのが良い本に思えた。

なんにせよ、本当の意味でわかるのも難しければ、できるになるのはなおさら難しいと思うのだが、また必要を感じたら立ち戻ってみたい一冊。

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2025年07月21日

Posted by ブクログ

問いはどこからくるのか。この問いを出せるようにするプロセスが書いてあります。まずは多面的な見方で世界を見てみる。そして試行錯誤で仮説を試してみる。内容を全部理解することは難しく、うまく実践できるかわかりませんが、違和感を大切に日々過ごしてみようと思います。
「問い」の土壌をほぐす
「たくさんの私」が存在することに向き合う
つながり合う世界の一部としての自分を眺める
「問い」のタネを集める
見方が変われば世界が変わる
デノテーション(外示作用)、コノテーション(内示作用)
「地(分母・文脈)」「図(分子、意味)」のマジック
思考が柔らかい人は、往々にしてフィルターのかけ替えがうまい
偶然を呼び込む力「セレンディピティ」
「あたり前」の世界の奥に控える「他にもありえた世界」に常に思いを馳せる
「問い」を発芽させる
「問い」が結像する
アンラーンのコツ ①歴史の「はじまり」をたどる ②「おさなごころ」をたどる
自分だけの問いを「アブダクション(仮説推論)」で組み立てよう
ゼロ学習:ひとつの反応が決まり、修正させることがない。変化のない世界
学習Ⅰ:所定の選択肢群のなかから適切な解を選び取れ、その選び方が変化する
学習Ⅱ:選択肢群そのものを終止し、コンテクストのくくり方が変化する
学習Ⅲ:選択肢群が置かれている世界像そのものを問い直し、問題の枠組み自体が変化する

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2025年06月10日

Posted by ブクログ

ネタバレ

「問い」を持つことが大事だと世間、教育現場では囁かれている。しかし、具体的に問いを持つという行為はとてつもなく高尚な思考のように感じる。本書は、問いが発生するメカニズムを段階的に解きほぐしてくれている。まとめの主張として、「問うことは、自分の時間を生きることと同義だ」という主張が特に印象に残った。

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2025年01月31日

Posted by ブクログ

問うという行為を突き詰めると情報を編集すること

「私」はもともと「たくさんの私」である
人々の心を動かす物語にはギャップがある

マイクロスリップ
日常の行動に現れる微かな澱みやそれに伴う自己修正

わからなさを保留する力=ネガティブケイパビリティ

デノテーション
コノテーション

情報は伏せてあけると、開けたときの印象が鮮明になる

アンラーンしたいときはアーキタイプ(原型)をたどる

アブダクションは驚きや察知がなければ始まらない
驚く力がAIにはない

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2025年02月08日

Posted by ブクログ

前半、くどく感じたが後半、引き込まれた。
問う力が求められるが、身についたら身についたで悩みが深まりそう。

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2024年12月31日

Posted by ブクログ

本著は「問い」と「編集力」を哲学的な視点で俯瞰し、かつ明らかにした良書であるといえる。
さて、問いという言葉は、数千年前から様々な哲学者や賢人らが続く永遠の問いである。現代では、AIが私たちの生活に併走し、日常の問いや相談に乗ってくれる存在となってきている。そして、本著が指摘している「問い」に対して私たちを疎くなって自力で問うことをしない自動思考に陥っていると示唆している。
日常や仕事、社会で生きる上で、多くの人は「問い」という言葉や概念すら思い浮かばない場面は多い。一部の人だけの特別な能力と無意識で洗脳されていると懸念している。
問いという概念と哲学は、日常、仕事、社会でも充分に発揮することができる。動画はSNS、そしてAiに対しても、鵜呑みにせず、自分なりの問いを自問自答した上で、その発言の視点や内容は本当に正確なのか、ただの誤った感想ではないか、偏った主観が多分に入っていないか、多角的に俯瞰して物事を解釈できているのか、自分自身に問うことが大事であり、必須であろう。AIにしろ、何かの専門家であれ、誤った問い、ズレた問いを投げれば、誤った答えや情報を受け取ることになるだろう。
自分を過信せず、慢心せず、問いを立て続け、検証し続けて、行動し、結果が得られたのであれば、問いに対しての純粋な答えであり、世界を解釈する幅が広がるのだ。

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2025年06月14日

Posted by ブクログ

いい問いを生み出すには、どうしたらいいのだろう。そもそも著者曰く、問いとは「自分が把握している私の中にはない私が出合う、未知との遭遇」。いい問い、すなわちいい驚きに出合うためには豊かな感受性を持ち、常にアンテナを立てておかなければならない、ということだった。

ただ、深淵な問いというのは普段は雲隠れしていて見えないもの。つまり、一冊の本で理解するのは不可能に近い。よって、普遍的な問いがある質の高い本や映画、展示を大量に見たほうが近道かもしれない。

たとえば本書の中で紹介された時間泥棒を描いた「モモ」、真実が何かわからなくなる「マトリックス」、あるいはヒッチコック作品などは問うための余白が自分の内側に生まれるような名作。いい作品を生み出すには必ず、いい問いが必要だ。

ということで私は、哲学をもう少し深掘ろうと思いました。

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2025年02月02日

Posted by ブクログ

編集力というタイトルが馴染めないが、要は「問いが生まれるメカニズムを分析し、大人になっても多くの問いを出せるようになる」ための本。無知と未知の違いなど認知学も含んでおり、「問いを問う」という科学的な内容。

問いの発現を科学的に考察すると本書のようになるのだろう。だが最も重要なのは「強烈な好奇心」だと私は思う。子供は問いの天才だ。多くの時間を使い、膨大な問いを生み出せる。大人になるにつれて責任が増えると好奇心が萎み、知りたいことの視野が狭くなる。

今日から出来ることとして、
・普段行かない道を歩く
・少しだけ気になったイベントに参加してみる
・興味がなさそうな本をチラ読みしてみる
など簡単にできる非日常体験を意図的に増やしてみるのが良さそう。

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2025年01月24日

Posted by ブクログ

2024.12.14 奥が深くて、なかなか難しい。ただ、問いは自分を成長させたり、広げたり、変えたりするきっかけになることは間違いなさそうだ。

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2024年12月14日

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