あらすじ
「とらすの会」の人は皆優しくて、居心地が良かったです。特にマレ様なんて嘘みたいに綺麗で、悩みを聞いて抱きしめてくれました。でも“会議”では、誰かが「許せない人」への恨みをマレ様に訴えて、周りの人たちも口々に煽って……翌日、その人は死体で見つかるんです。それが怖くて行かなくなったら、裏切者って責められて……。時間がないです、私、殺されます──錯乱する少女は、オカルト雑誌のライター・美羽の眼前で、爆発するように血肉を散らして死んだ。スクープを狙った美羽は「とらすの会」を訪ねるが、マレ様と出会うことで想像を絶する奈落へと突き落とされる──。/解説=織守きょうや
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Posted by ブクログ
ノー情報で見たため、始まりはサスペンスっぽさもあるのか?と思いましたが、ちゃんとホラーでした。
びっくりや、ゾッと感というよりは、自身の倫理観の通じない宇宙人モノ、コズミックホラーに近い感覚の怖さだと感じました。好きです。
語り手は3視点あり、語り手同士が出会うタイミングもあるのですが、それぞれ見えてる印象が本心と少しズレがあるように感じた所は、なんだかリアルだなと感じました。
白石さんは個人的に好きなキャラでした。明るさと強さ故に、人を追い詰めるというタイプの方ですね。いるいる。
白石さんは今回の物語の中で、かなり良い味を出してくれた人です。この人の対比で人物のコントラストがハッキリするし、彼女のあまりにも愚直すぎる所がいい。最後はちょっと予定調和ではあるものの、どこで絶望するのかとワクワクしてしまいました。
Posted by ブクログ
常軌を逸した顔の美しい男が出てきて最悪なことが起こりまくる、The芦花公園!! という感じの話。被害者と加害者がオセロのように入れ替わるミステリー的な要素もありつつ、人間にはどうにもできない得体の知れない恐ろしいものの気配が一貫して物語の中に流れている。あまり日本に住んでいると悪魔の恐ろしさについてピンとこなかったりもするのだが、その片鱗が感じられる話だと思う。
Posted by ブクログ
「ほねがらみ」と全然ちがう!ちゃんと筋道だっていてストレスのない読み口で、さすが創元推理文庫。
ひらたく言えば悪魔ものなんだけど、人間の嫌なところに対する解像度が高すぎて、よくある悪魔ものとは違うジメッとしたジャパンホラー感があるところがいい。
期間限定の特別掌編もお得感がありました。
Posted by ブクログ
ホラー・サスペンスものは描写が苦手であまり読まないけど、友人の紹介により購入。ストーリーが面白くて、文章も読みやすかったので一気に読んでしまった。現実にありそうだけどなさそうな絶妙な塩梅が恐怖を緩和させてくれた。最後の展開には驚いたけど、まれひこの苗字にもっと驚いた。お父さんは井坂くんだったってことなのかな、、?
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24.12.12
Posted by ブクログ
人の生死を掌握する万能感って、善悪のバランスの人間性をどこかおかしくしてしまうんだろうな。
利用されているように見えて、本当の悪魔はその人間の愚かさを実は高みから優雅に嘲笑ってる。
希彦は結局何がしたいのかよくわからなかったけど、トラスの魔女たちが悪魔と目合っていたことを振り返ると、純粋に目合い相手を求めていたとしか…。最後も純愛のハッピーエンドに感じた自分の酩酊心理が恐ろしい。あなどれない“美しい異常”の中毒性。
本編では味わえなかった、カクヨムの火花散る番外編の緊張感がたまらなくよかった。
Posted by ブクログ
解説には「結局人間が一番怖い」説に否定的で、それ以上に理不尽をもたらす存在の方が怖いとあったけれども、正直理不尽に訪れる惨たらしい死、そしてそれをもたらす存在そのものよりも、ここに描かれたキャラたちの生々しすぎる人生の方がよほど怖かった。
結局超常的な存在はフィクションの中でしか存在できないから。
読み手である自分たちが経験することは、恐らくはない。
だから、どこまでも他人事として読める。
例え血肉が吹っ飛ぼうが、全身から血を吹き出そうが、骨が剥き出しになろうが、そういうことをもたらす(この作中なら◯◯と称される存在)太刀打ちできない存在による攻撃にびびることはない。
でも、キャラたちが生きてきた人生は違う。
報われない人生、いじめ、他人を呪う気持ちなどなど、これはフィクションで描かれたとしても、読み手である自分たちが経験できる、もしかしたらもう経験したことだ。
自分に起こりうる話だ。
その生々しさ、遠慮なく書かれたその展開の方が余程堪えた。
そういう意味では気持ちのいい話ではなかったし、ちょっと鬱々もした。
中盤以降に訪れたトンデモ展開で宇宙猫になるまでは。
いや、本気で「???」となったので。
あとラストが割と、うん、そうですね……上げといてそう来るかの展開で、そちらも初読時は「???」となり、最後の一文で結局納得させられるという。
そういう存在でしたね。
なら、あのラストは致し方ないのかも。