あらすじ
“これから”の働きかたの物語。
大学院を卒業後、新卒で入社した会社を春指みなとは九ヶ月で辞めた。所属していた総務二課は、社員の意識向上と企業風土の改善を標榜していたが、朝礼で発表された社員の「気づき」を文字に起こし、社員の意識調査のアンケートを「正の字」で集計するという日々の仕事は、不要で無意味に感じられた。部署の飲み会、上司への気遣い、上辺だけの人間関係──あらゆることに限界が来たとき、職場のトイレから出られなくなったのだ。
退職からひと月経っても次の仕事を探せないでいる中、みなとは立ち寄った公園の草むらに埋もれた郵便箱を見つける。中には、手紙が一通入っていた。
「この手紙を手に取った人へ」──その手紙に返事を書いたことがきっかけで、みなとと高校2年生の森本飛鳥の「郵便箱」を介した文通が始まった。
無職のみなとと不登校の飛鳥。それぞれの事情を話しながら「文通」を「仕事」にすることを考えついたふたりは、クラウドファンディングに挑戦する。
『ブラザーズ・ブラジャー』『人間みたいに生きている』の新鋭が描く“これから”の働きかたの物語!
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
ここ最近読んだ本で1番面白かった!
手紙がキーとなって話が進んでいくだけあって言葉が綺麗。ストーリーとしては出来すぎのような展開やお金持ちの小説家の父、数字に強く頼りになる幼なじみが出てきたりと現実味はないかもしれませんが、その分物語としてのテンポの良さとハラハラさがあって私はこういう話が大好き。
主人公の弱さが途中、随分と出てしまったのでもう少しかっこいいところも見たかったな。でも一人称視点だからそう見えるだけで相方の男の子とか幼なじみとかから見たら凄く魅力的に描かれるんだと思う。
Posted by ブクログ
内容を何も知らずに読み始めて、文通が好きでポスクロが好きな自分にこの話が刺さらないはずがなかった。
確かに都合が良すぎたり、出てくる人がみんないい人だったり、こんなに甘くはないかもしれないな…と思うことはあるけど、
優しい世界があってもよいじゃんという見方で読み進めたら、いろんなことに感謝したくなる作品だった。
手紙や葉書も、もっとひとつひとつ大切に書いていきたいなと思った。
Posted by ブクログ
あんまり評価よくないみたいだけど結構好きだった!文通で出会った2人が始める文通屋さん。クラウドファンディングで仕事にした瞬間やる気がなくなる感じ、わかるよな。主人公の1人を高校生にする必要はあったのだろうか・・・
Posted by ブクログ
①私は、文通をしたことはありません。
手紙を書きたいなと思っても、いざ書こうとすると、誰に書こうか迷ってしまう自分に気づきました。
この本を読み終えて、文通を始めることができないか調べてみると、文通ができるシステムというのは、いくつか存在することを知ったので、もう少し調べてみようと思いました。
②仕事との向き合い方について考えさせられました。
確かに、主人公のみなとのように、私も、会社に行くのが辛く、上司から今まで受けた指導がフラッシュバックし、明日が憂鬱だと思うこともあります。
そんな時に、仕事を辞めるというのも1つの選択なんだということを知り、少し、仕事との向き合い方も考えていこうと思いました。
Posted by ブクログ
〝会社、燃えてないかな〟
こう心の中でつぶやいたのは、春指みなと25歳。
大学院を出て就職したが、あまりにも昭和臭のする会社に出勤するのが苦しくなり、9ヶ月で退職する。
私も数ヶ月で耐えられなくなって辞めた経験があるから、古い記憶が蘇って苦しいなぁ。
その時はいつでも辞められるように、ロッカーには私物を残さず毎日持ち帰っていたっけ。
まぁ、私の過去はいいとしてwww
みなとは〝文通〟という少々レトロな方法で知り合った不登校の高校生・飛鳥くんと〝文通屋〟を仕事として始める。
〝お仕事小説〟〝これからの働き方〟
と紹介文にあったけど…
私には、どこか恥ずかしくて胸の奥がもぞもぞするような感覚がして…
お仕事小説って感じはあまりしなかったかなぁ。
飛鳥くんもきっと色々あるから不登校な訳で、もっと面倒くさくひねくれていてもいいのに。
なんて思ってしまう程に優しくて、真っすぐで、律儀。
なんて良い子なんだろう。
文通という〝好きなこと〟を仕事にした二人は、ぶつかり合いすれ違い、悩みながらも心を通わせ互いに成長していく。
あぁ、この真っすぐさ。
青春だ!
これが胸の奥がもぞもぞする原因か。
いい味出してるキャラは、飛鳥パパ。
飄々としてユーモアもあり、優しい顔つきのイケメンを妄想する。
パパ以外の大人たちも良い。
みなとの会社員時代の同僚下野さん、大学の美代川先生、釣り人のシマさん、みなとの母、幼馴染の柊ちゃん…
いいなと思った言葉
「言葉にして、確認し合うこと」
「心をことばに。ことばをあなたに。送って交わして、私たちはそこにいる」
そうだね。
思ったことは、ちゃんと言葉にしなきゃ伝わらないよね。
佐原ひかりさんは初読み。
また好きな作家さんが増えてしまった。
Posted by ブクログ
文通。
私自身、手書きの文字で気持ちを伝える『手紙』が好きだったから、この本にとても惹かれました。
小さな幸せ、わくわくが詰まっていました。
それぞれの手紙でのやり取り部分がとても素敵で、久しぶりに私も誰かに手紙を書きたくなりました。
いいなあ、私もこの人たちと文通してみたい。手紙を待つ間のワクワク感、懐かしいなあ。今でこそSNSで旧友ともつながる時代だけど昔は相手の住所を聞いて1か月に1度連絡を取ったり、毎日学校で会ってるのに文通したり。今はなかなかそんな機会もないから可愛い便箋を見ても買うのをためらっちゃう。文通、また誰かと始めてみたいと思った。
Posted by ブクログ
とにかく言葉が美しい
佐原ひかりさんの作品は「スターゲイザー」に続き2作目
これもまた優しい表現で情景が次々と目に浮かんでくる
ーーーーーーーーーーーーーーーー
大学院卒の社会人1年生”みなと”
上司のパワハラ、やる意味の分からない仕事、ついに耐えかねて9ヶ月で辞めてしまう
ふとしたことから見知らぬ”あすか”さんと文通を始める
あすかの正体は不登校の男子高校生
そして2人は「鳥と港」という文通ビジネスを始める
ーーーーーーーーーーーーーーーー
テーマは「働くこととは?」って感じかなあ
好きなことだけで会社員と同じだけの収入や安定を得ることはなかなか大変
社会人経験者と高校生ではまた捉え方も違う
かといって、ストレスを抱え、やりがいがあるのかも分からない仕事で会社にしがみつくのも苦しい
みなともあすかも、完璧ないい子ではなく、不安定だったり危なっかしいところがあったり、でも行動力があったり…
とてもリアルに描かれていて共感が持てた
文通ビジネスのシステムは、なるほどなぁと
はるか昔、雑誌には「ペンフレンド募集」ってページがあったりしたものだ
それを思い出した(ある程度年齢がバレる笑)
読んでいて途中じんわりと泣けるところもあり、穏やかな気分で読める作品
映像化に向いてそう
Posted by ブクログ
「ないなら、つくっちゃえばいいんですよ、仕事」
仕事に悩んでる私にとって、刺さりまくるお話。
文通屋さんをはじめる二人の葛藤や、アイデアがポンポン出てくるコンビネーションを見てて、微笑ましかった。
友達2人から勧められたから、読めてよかった。
好きなことで生きるって難しいけど。憧れる。
Posted by ブクログ
「会社、燃えてないかな」で始まるこの物語、みなとは飛鳥と二人で文通屋さんを始めます。文通屋がビジネスになるかどうかは置いといて、二人の成長の記録がキラリと描かれてました。
Posted by ブクログ
入社九か月で耐えきれず会社を辞めた文系大学院卒の二十五歳の女の子が、偶然出会ったある人と「文通屋」のお仕事を始めるお話。
働くことに関する苦しさが積もって、もうこのままでは自分もしくは自分の大事な人が壊れてしまう、という極限までいってしまいそうなとき、自分なら何ができるか。…という問いへの、数多ある答えのうちの、ひとつ。そんな小説だと思った。
この小説で描かれた答えで、誰もが救われるとは思わない。理想主義的すぎるとか、どうせ恵まれた人だからできることだとか、批判しようと思えばいくらでもできる。だけど、この人が苦しかったということは誰にも否定できない。本人も、そこは否定してはいけない。苦しい、助けて、って、まずは思うところから。
・「できない」という地点から始められる
・大事なことは、二元論の二択の「間」にある
といった箴言風なキーワードも心に残った。
それから、「お手紙」っていいよね、という要素も好きだった。もうメールすら「挨拶がまどろっこしい」「反応が遅れる」などと忌避される時代。疲れるわ。
ふわっとした感想ついでに、個人的な連想メモ。
・ジャーナリストの中野円佳さんのことを思い出した。といっても『「育休世代」のジレンマ』しか私は読んだことないが。
・ジーン・シャープのことも思い出した。身近な抑圧やハラスメントに対して抵抗することを諦めてはいけない、という点。
Posted by ブクログ
「ふつう」に我慢して働くことに限界を感じ、入社1年を迎える前に仕事を辞めた主人公みなと。
散歩中に見つけた箱の中に手紙を見つけ、箱を通じて飛鳥との文通が始まる。
ある日箱がある場所で鉢合わせた飛鳥は、みなとの予想に反して男子高校生だった。
高校に通わない選択をしている飛鳥と交流するなかで、みなとと飛鳥の2人で文通屋を仕事として始める案が動き出す。
仕事や働き方がテーマの本作だけれど自分には、人間関係で傷ついてしまったときの痛みや傷つけてしまったときの痛みがリアルに描かれていることが一番印象的だった。
みなとと飛鳥が互いに傷つくことも傷つけることもありながら、自分のなかで消化したり謝ったり、許したりして「鳥と港」を継続することをやめない姿勢に眩しさを感じる。
SNSのようなデジタルな人間関係も現代では一般的だけれど、今作は文通に始まり2人のコミュニケーションや、人に会う方法もデジタルに頼らない「アナログ」な方法が多い。
効率的ではないけれど、だからこその温かみや真摯さを一貫して大事にしているように感じた。
また、主人公みなとの言動に引っ掛かる部分がところどころあったけれど、悪い意味でしっかり自分に返ってきたり他の登場人物から指摘を受けたりもして、気づき少しずつ成長しているのが良いし、好感を持てる。
続編が作れるタイプの作品かは分からないけれど、今後佐原さんの作品を読んだときに「鳥と港」の活動がふっと登場していたら嬉しくなるだろうなと思った。
Posted by ブクログ
----------------------------------
「やってみようか。文通屋さん」
「ないなら、つくっちゃえばいいんですよ、仕事」
無職のみなとと不登校の飛鳥。
タイパ重視の時代、ふたりが始めたのは
スローで温かなコミュニケーション
“これから”の働き方の物語
----------------------------------
温かくて優しい本を読みたくて手に取りました。
佐原さんはアンソロジーで短編を読んでいて、
気になっていた作家さんです。
映画になりそうな一冊だなと思いました。
みなとの苦しさや悩みも理解できるし、
飛鳥の学校に対する違和感も。
そこから文通屋を立ち上げる展開もすごい。
二人が四苦八苦していたり、
好きなことを仕事にして対価をもらうことに対して
悩んだり葛藤している部分はとても良くて、
共感ではないけれど、わかるなあと思いました。
だけど、生活して生きていくためには
お金は切り離して考えられないし、
それは40、50となれば尚更切実になる気がします。
だからか、
みなとや飛鳥の葛藤しながらも、
温かく見守っている周囲の優しさが羨ましくて、
読みながら少し嫉妬してました。苦笑
みなとが些細なこと(本人にとってはそうじゃない)で人を攻撃するような(自分を守るような)言葉を使うシーンが多くて、それが私がスルーしてきた(見ないふりしてきた)過去と少し重なりました。
なので、
単純に面白かったとか言えないのですが、
それでも読んで良かった一冊です。
Posted by ブクログ
たっぷりと時間をかけて相手を思いしたためた手紙、それをどんな封筒でどんな切手で送ろうかと悩む時間は楽しくてそれに返事が返ってくることの嬉しさは格別なものだ。
そんな手紙をきっかけに出会い、仕事のパートナーとなった飛鳥とみなと。
恋愛ではなく友達でもなく家族とも少し違う、軽口を叩きあったり喧嘩もするけれどお互いの行動や言葉に影響を受けあって高め合う存在となっていく。
なによりお互い大切なパートナーだと思っているのが2人のやりとりからびしびし伝わってきてその尊さに何度もくらった。
この物語からしか得られない栄養がある。
Posted by ブクログ
高校生の飛鳥君と、9ヶ月で仕事をやめたみなとがクラファンを使って文通を仕事にするお話。起業?をしたとき、ちょっと大丈夫なの~って心配しちゃいました。でも、飛鳥君とみなとの親は反対せずに見守ってて。ただただ凄いなっと…
登場人物達のキャラが本当に良かったです。中でも飛鳥君の父親が一番好きかな。あと、みなとと派遣の下野さんとの会話が印象に残った。下野さん大人だわと思ったし、みなとみたいに最初から社員で入ったら失礼なこと言っちゃうのも普通だと思う。会社には派遣さんも契約社員も社員も時短社員も色々な人が色々な背景を持っていること入社前に知っとくのも大事だと思う。
やっぱりお手紙良いですね。みなとと飛鳥くんのお手紙きゅんきゅんしちゃいました!
Posted by ブクログ
「人と話す時、薄い膜を張っていて、本心はいつも隠している。もしかすると、あなたに対しても多分そういうときがある」と親友に話したことがある。当時、心から親友だと思える人をあえてつくらない選択をしていたように思う。
その子に誕生日プレゼントとして貰ったのがこの本。もしかしたらそんなつもりはなかったかもしれないけど、この本を通して、メッセージをもらった気がした。優しさをそばに感じて、いますぐ親友のもとへ走っていきたくなった。みなとさんも、あすかくんも、自分の発した言葉に誠実に向き合う姿が本当に素敵だった。
○
・自分もそうです。ヤギの話だって、いつもなら父親にむかついて終わるだけなんですが、今日は、あ、みなとさんにはなせると思いました。自分の内心にも、書いているうちに気づけたかも。自覚していないだけで、すり抜けている感情がけっこうあるんですね。これからも、ゆっくりと、そして一緒に、拾い集めてきましょう。
・ないがしろにしないし、されない。
・もっと早く言えばよかった。私はすごいやつじゃなくたって、柊ちゃんと友達でいられたはずなのに。〜本心を話すことに釣り合いなんて気にする必要なかったのに。
・恥ずかしいだけなら聞きたい。嫌なら聞かない。
Posted by ブクログ
年齢的には大人である主人公が驚くほど拙く、眩しいほどまっすぐです。
心に留めておきたい言葉がたくさんありました。
卒業式を回想するシーンが好きです。
Posted by ブクログ
無職の大人と不登校の中学生がひょんなことから文通をはじめ、やがて文通を生業とする。最後、常連さんが亡くなってしまうところや、小さな手がかりから相手を見つけ出すところがよかった。
Posted by ブクログ
うーん。「鳥と港」の活動は凄く魅力的で、私も手紙書いたり、文字を書くのが好きだから、すっごくやりたい!って思えた。でも、途中からどうしても主人公の勝手な感じ?言葉や行動で人を傷つける所がとてつもなく嫌で。気持ちが落ちて、読むのやめようかと思うくらいに。自覚、無自覚関係なく好きじゃないな、と。
あらすじからの想像とは少し違ったけど、文通とか手紙とか好きな事の話しだったから最後までは読めました。
手紙やカードを書いて送ったり、渡したり、楽しかった時間を思い出せたのもあるので、好きな人はいいかもしれない?
わたしも本の感想とか言い合える文通したい!!
Posted by ブクログ
文通を仕事にしたみなとと飛鳥。好みや嗜好が会う人との文通は前向きに文章が書けるが、悪意があったり、ネガティブな思考の持ち主のような相手とはやり取りを続けることは難しい。
いらいろと乗り越えなくてはいけない問題もあったが、二人の関係も続けられそうでよかった。
Posted by ブクログ
繊細すぎる主人公にやきもきさせられたけど、相方の男の子が魅力的に書かれていて相殺された。
そう、これはバディもの。男性同士でもなく、女性のシスターフットでもなく、男女のバディもの。今後、恋愛に発展していく可能性もありそうだけど、このままバディであり続けてほしいな。
Posted by ブクログ
職場に不満があり体調不良を起こし一年未満でやめたみなと
ある日公園の草むらの中で見つけた郵便ポスト
その中に入っていた一通の手紙に返信を出し始まった文通
文通相手は高校生の男の子 飛鳥
2人でクラウドハンディングから始めた文通屋
仕事や生きることお金
仕事にしたからこそ発生するお金の大変さ
ぶつかり合いながらも言葉を交わしやり続けて行く文通屋
Posted by ブクログ
本の雑誌が選ぶ2024年度ベストテンにランクインされていたので読んでみました。全体的に軽い台詞が多く、さらっと読めます。
私も若い頃は手紙のやりとりをしていたけれど、自分が何を書いたか忘れてしまうし、だんだんネタがなくなってくるし、可愛い便箋を使っているのに字を間違えるとああっと思うし…。パソコンを家でも使うようになったら、全く書かなくなりした。
学校に行かない男子高校生と会社を辞めた大学院卒の女性が始めた文通屋。こんなビジネスが実際には成り立つのか疑問ですが、今、手紙を書かくなった時代に誰かから直筆の手紙がもらえたら、いいなあ、と思います。
そして、ゲンさんの手紙を待っていた気持ちとゲンさんが書いた手紙が、読んでいてとても苦しかったです。
文中のふたりの手紙がとても素敵でした。ふたりのような気の利いたことが書けなかった私としては、誰一人過去の私の手紙を残していませんように、と祈るばかりですが、でもこの本を読んで、また誰かに手紙を書きたくなりました。ふたりのような手紙が書けるよう頑張ってみたいと思います。
鳥のように自由に羽ばたこうとうる飛鳥と、飛鳥を受け止めるみなと(港)。
感想としてはもっと成長を感じたかった、と思いますが、映像化したらいい作品になりそうな気がします。
Posted by ブクログ
会社のトイレの中で声を殺して泣いた新入社員の、みなと。どうしてもトイレから出られなくなって会社を辞めた。もうここまで苦しくなっているのなら、辞めるべきですよね。
でも、みんなが我慢していることが我慢できないこと、みんなが上手く立ち回れていることを自分ができないことで自分を責め続けてしまう。さらに、お昼休みも1人になれず、拘束されている状態ではトイレにこもりたくもなるよ(/ _ ; )
みなとの気持ち分かります。だけど本当は分かっているのは表面だけで、真の辛さは分かっていないのだろうな。本人にしか分かりえない辛さなんだろうな。
そんな時に草むらで偶然見つけたポストの中に入っていた手紙を読んで、みなとと不登校中の男子高校生の飛鳥は文通を始めることに‥‥
文通を続けるうちに2人で文通屋という仕事にしていくことになるのですが、ここからは仕事に対しての色々な考え方が様々な登場人物から語られていきます。お金のために働くのか、好きなことを仕事にするのか。はたまた、結婚して仕事を辞めた女性の不安や、逆に一人の稼ぎで家族を養うことに対する男性側の不安など。ここに関しては正解などなく、人によって答えは違ってきますよね。
若い2人が始めた文通屋。これからどんな風に形を変えていくのか。楽しくお仕事ができるといいなと思います。
Posted by ブクログ
無職のみなとと不登校の飛鳥が文通の仕事を始める話。文通を仕事にする新しさに惹かれ、2人の関係や仕事への向き合い方がどうなっていくのか、もどかしくなりながら見守る。これからも変わりながらぶつかりながら仕事をすると思うけど、それを乗り越えてほしいと思う。
Posted by ブクログ
鳥と港…この表紙にも惹かれていました。結構いろんな読書家さんが読んでいるので、私も読んでみようかなぁ~って思いましたよ。この作品が文通のお話だってことはわかっていたので、「ツバキ文具店」のような感じかな?って勝手に想像してましたが、違いましたね(汗)。
主人公は、大学院卒業後新卒で入社した会社が続かず、9か月で辞めた春指みなと。その後の就活もすすまず、一人訪れた公園の草むらで見つけた郵便箱、中には手紙が入っていた…。その手紙を書いたのは、高校2年生の森本飛鳥、高校生と言っても不登校で、作家の森本実の息子だった。郵便箱を介しての文通を経て、ふたりは面識を持ち、文通を仕事にできないかを共に考え、実行することに…。
文通を仕事にするのなら、それなりの勉強も必要なんじゃないか、対価に見合う手紙を書かなければならないんじゃないかと…。あ、今思ったけど、「ツバキ文具店」は代書屋さんだった!!でも、同じ手紙でも「ツバキ文具店」の方にはプロ意識のようなものがあるんですよね…。みなとと飛鳥の関係性と、みなとの両親、飛鳥の父親のキャラ設定なんかは、面白かったです。
Posted by ブクログ
会社を逃げるように辞めた女性と不登校の高校生が手紙を通じて出会い、一緒に文通屋を始める。文通屋の話はありきたりかなと思ったけど、なかなか良かった。二人それぞれの心の葛藤がもどかしくて、「うー!」となったり。
でも、本作でいちばん印象的だったのは、言葉選びがおしゃれなこと!主人公の女性が大学院卒の設定だからなのかな?「春は海から来る」とか、センスの良さが光る。
物事の喩え方が素敵だったねー。主人公の移り変わる気持ちを、軽快に、作者独自の表現であらわしていて、彼女の想いがスッと入ってくる感覚だった。私も、あんな風に書けたらなぁ。