あらすじ
その男、悪人か。
主人を殺し、将軍を暗殺し、東大寺の大仏殿を焼き尽くすーー。
悪名高き戦国武将・松永久秀の真実の顔とは。
直木賞作家による、圧巻の歴史巨編。
〈第11回山田風太郎賞受賞作〉
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Posted by ブクログ
「人は何故生まれ、何故死ぬのか」
人間(じんかん)のなんたるかを知るために闘った久秀。戦国の世の話なのに現代に通ずる物があり、じっくり向き合いたいの物語。
Posted by ブクログ
これまで持っていた「松永久秀」の人物像とは全く違う切り口で描かれており、このような捉え方もありうるのかもしれないなと思いながら読んでいた。
そして、又九郎同様、自分も松永久秀の生涯に引き込まれていっていた。
Posted by ブクログ
一年の終わりに人間を深く考えさせられる作品に
出会えて満足である、語り部が信長という無駄に
豪華な状況は奇をてらったものではなく、松永久
秀と信長の共通する「人間が意に沿わぬ運命に流
される事に抗う(特に神仏が仮想敵)」魂の形
寺社など人に善悪を吹き込む最たるもの(作中)
自分を善と思えば容赦なく悪を叩く、現在のSNS
に繋がる気持ちで読んでいた
Posted by ブクログ
めちゃくちゃ良かった…!!!最初は分厚いな〜と思ってたけど、読み出したら手が止まらなくなってすぐ読み終わってしまった。松永久秀については、確かに悪人という面が有名だし、そういうふうに描かれるところが多いと思うけど、こうして見るとひとつの意思を貫き通そうとしたんだな。
歴史をなぞっていくと、確かに何かの意思で足を引っ張られるような、という分岐点が必ずあって、後世の現代から見るとそこが歴史の面白いところではあるのだけど、当時何かを成し遂げようとしていた側からすればたまらないよな。
織田信長の語りという面も良かった。こういう歴史小説はもっと読んでみたい。
Posted by ブクログ
「塞王の楯」がおもしろかったので手に取りました。
歴史の事は詳しくありませんが、歴史小説が今自分の中で熱を持っています。
悪名高き武将・松永久秀が織田信長に対して謀反を起こす。そして、謀反が初めてではない。さらに「降伏するなら赦す」といい、信長が久秀の生涯を語りだした。
信長が語り部というのはおもしろいと思いました。
-人は何のために生まれてくるのか。
-「俺たちはなんで生まれてきたのだろう。」
作中常にこの疑問が投げかけられている。
「自分」という存在を証明してくれるものは一体何なのか?
Posted by ブクログ
三悪を犯し、戦国時代の悪人と呼ばれた「松永久秀(九兵衛)」を描いた作品。物語は、久秀が織田信長に二度目の謀叛を起こした場面から始まる。
謀叛の報せを伝えるため、信長の居る天守閣へ向かった又九郎は、戦々恐々としながら事の次第を告げる。だが信長は「降伏すれば赦す」と言う。それはなぜか――信長が語る久秀の物語が、静かに幕を開ける。
私は「松永久秀」という歴史上の人物を知らなかった。それでも今は、久秀について誰かと語りたくて仕方がない。史実には事欠かない人物であったようだが、幼少期の記録はほとんど残っていないらしい。この『じんかん』では、そんな久秀の生い立ちから描かれている。
物語の序盤、多聞丸やその仲間たちとの出逢い、本山寺で過ごした日々は、九兵衛という人物を理解するうえで十分な厚みを持っている。後に「悪人」と呼ばれるとは到底思えないほど、彼は聡明で、思いやりに満ちている。
登場人物たちが形づくられていく過程も、物語として純粋に面白く、気づけば深く惹き込まれていた。だからこそ、日向との関係性には胸が締めつけられる。
九兵衛には「もう少し自分に素直になってほしい」と言いたくなるほど、彼はクールだ。物語の後半、堺の民として登場する場面では、私たちも九兵衛と同じくらい、やるせなさを感じずにはいられなかった。
物語にはたびたび「神仏などいない」という久秀の思想が現れる。「もし神仏がいるのなら、なぜ善良な民が虐げられるのか。では、人は何を頼り、何を信じればよいのか」――彼は問い続ける。
死の間際、久秀の脳裏をよぎったように、一生の中で繰り返される出逢いと別れのなかに、信じてきた人々の顔が浮かんでいたのではないだろうか。
人間とは、人間自身が切り拓いていくもの。
人生とは何か――本作を通して、それは「問い続けること」なのではないかと感じた。その問いの中で、一生のうちに一つでも納得できることがあれば、この世を生きた意味があるのかもしれない。
自問自答もあるが、その多くは他者との関わりの中で育まれていくものだろう。
善悪や真偽の判断は、いつの時代も難しい。
ただ、事実はさておき、その過程には幾重もの想いが重なっている。あの時代を駆け抜けた人々の想いは、私たちに受け継がれ、その一生をこうして物語として受け取ることで、明日の希望へと繋がっていくのだと思う。
すごい作品を読んだなという気持ちでいっぱいだ。
この小説に出会えたこと、その中で久秀たちと出会えたことが誇らしい。
Posted by ブクログ
職場のパイセンより。戦国武将松永久秀の物語。語り部は織田信長。主家乗っ取り、将軍暗殺、東大寺焼打など、信長をして「この男、人がなせぬ大悪を一生のうちに三つもやってのけた」と言わしめる有名人ではあるけど、詳しい事はあまり知らなかったので大変勉強になった。人との出会いと別れを繰り返し、想いを受け継いでいく。信長の最期で有名な「人間五十年…」は「じんかん」とも読むらしい。これを読むまで松永久秀は信用できない悪人程度としか思ってなかったけど、180度見かたが変わった。三好義興との別れはかなり鼻がツーンってなった。
Posted by ブクログ
登場人物が魅力的で、劇画を観ているように引き込まれて読み進みました。
最後の七章が、私の読力には盛りだくさん過ぎた感、、、
星5つにして、「次の歴史ドラマに〜」と書きたかったので残念 、、、いや、今でも是非、「ひかる君」の次に!と思ってます。最後の章だけ、もう少し分かりやすく直して欲しい、凄く悔しい気分です。