あらすじ
<こぶとりじいさん>こと「奇怪な鬼に瘤を除去される」、<舌切り雀>こと「雀が恩義を感じる」など、現在に通じる心の動きと響きを見事に捉えた、おかしくも切ない名訳33篇を収録。
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Posted by ブクログ
『宇治拾遺物語』を著者が現代の言葉、更にはカタカナ語を交えて翻訳した33話。子供の頃に昔話として聞き馴染みがある話があり、出典はここだったのか? という驚きがあった。その他の話は平安時代の、面白話を集めた日本版アラビアンナイトという印象。何より重要なのは、関西弁で書き著されていることだと思う。京の都で語られるのは、現代の標準語ではなく、関西弁、京言葉が相応しいだろう。『宇治拾遺物語』の学術的な考察は、本書の解説が素晴らしい。解説者の言うとおり全話を著者に口語訳してほしい。
Posted by ブクログ
本当にくだらなくて(※誉め言葉です)笑える説話集。
町田さんの現代語訳を読むのは「古事記」に続いて二作目ですが、古事記同様、訳がかなりぶっ飛んでて笑ける。
宇治拾遺物語は説話集とはいえ、教訓じみた内容がメインというわけではなく、庶民的な俗っぽい話や下ネタが多いところに、町田ワールド炸裂の現代語訳ですから、面白くないわけがありません。
こぶとりじいさん、雀の恩返しなどの有名な話や、鼻、芋粥など芥川龍之介の短編小説の題材になった説話も収録されており、鮮やかな現代語訳で物語が蘇ります。
ということで、いくつか町田訳を抜粋して紹介しておきます。
・踊りまくったお爺さんがフィニッシュのポーズを決めて一礼したとき、全員が立ち上がって手を拍ち、ブラボウを叫んだ。(第三話;下記参照)
・彼は国家に認められた正規の僧ではなく、修験・修行系、インディーズ系の僧侶であることが誰にでもわかった。(第六話)
・主人もすかさず「そんな訳あるかいっ」と突っ込み、そこにいた全員が爆笑して平和な感じになった。(第七十九話)
・そうなったのはおまえ自身が前世よりキャリーオーバーした宿業によってであって、いわば自業自得です。(第九十六話)
・そして最終的に、トータルで八人の家来を行かせて試してみたが八人全員の陰◯(※自主規制)の脱落が認められた。また、全員がド助平であることもわかった。(第一〇六話)
・つるつるの頭に日光が反射して光っていた。頭をビカビカ光らせて真面目な顔をして歩いているオジンの姿が極度に滑稽で、その場にいた全員が爆笑した。(第一六二話)
・帰途、孔子は大聖人たる自分を見失い、小娘か下司のするようなヘマを何度もしでかした。これを後の世の人は「孔子倒れ」と言った。笑う。笑ける。(第一九七話)
特に、第三話の「奇怪な鬼に瘤を除去される」(こぶとりじいさん)はネットで全文訳が公開されているので、興味のある方はぜひ一読をおススメします。
人間の面白さ、どうしようもなさ、憎めなさは時代を経ても変わらない、ということが本書を読むとよく分かります。
本書では全197話のうち33話が収録されていますが、いずれは全訳を期待したいものです。
とにかく笑ける一冊。
Posted by ブクログ
『宇治拾遺物語』全197話のうち33話を抜粋した町田康による現代語訳。著者自らによる朗読を聴いて、大笑いさせられたので、紙でも手に取ってみた。
スピード感のある文体、真面目くさった顔をしたところに、ふと挟まれるテンポの良い罵倒、感情が乗り過ぎて意味が分からなくなっている台詞など、いつもながらの町田康節で面白い。
よく知られた話もあれば初めて読む話もあり、内容も勧善懲悪ものがあれば、ただ面白いだけのものも、人を食ったような話もあり、バラエティに富んで飽きなかった。「奇怪な鬼に瘤を除去される」「雀が恩義を感じる」「長谷寺に籠もった男が利得を得た」などがお気に入り。
Posted by ブクログ
池澤夏樹の日本文学全集、読むつもりはなかったのですが笑、「宇治拾遺物語」はめっちゃ面白い!と言われたので手に取りました。超訳でゲラゲラ笑っていたけれど、これはどこまで創作が入っているんだ、、?とはずっと気になっていました笑
一番好きなのは一番最初の「道命が和泉式部の家で経を読んだら五条の道祖神が聴きに来た」。史実では道命と和泉式部は関わりがなさそうらしいですが、和泉式部のイメージに付随するエロさ、みたいなところが私は好きでした。和泉式部が好きなのでこれが一番好き!みたいな感じ。
「そして、ただいい女というだけではなく、そそる女だった。色気のある女だったのである。それもただの色気ではなく、壮絶なほどの色気で、彼女を見た男は貴賤問わず頭がおかしくなり、また、ムチャクチャになった。死んだ者も少なくなかった…」やばすぎw
最後の「という訳で、お経を読む際は、ちょっと仮読みするときでも、身を浄めて読むべきである。「念仏・読経。四威儀をやぶること勿れ」と恵心僧都も言っている」
急に出てきた恵心僧都にまた笑う。
「奇怪な鬼に瘤を除去される」
この暗闇から、この不気味な顔を、ぬっ、と突き出したら、それこそ変化のものと思われて撲殺されるかも知れない。なので近くまで来たら、小声で自分は奇妙な顔ではあるが人間である、と説明しながらそっと出て行こう、と思ったのである」とか、もうリアルすぎて、いや現代すぎる笑となったり、「みんなが喜んでくれたのはすごく嬉しいんですけど、自分的にはまだ納得できてない演技がいくつかあって、今回、急だったんでアレですけど、気に入ってもらって、また、呼んでもらえるんだったら、次こそ完璧な演技をしたいんで」の急なオタク感めちゃ笑った