【感想・ネタバレ】宇治拾遺物語のレビュー

あらすじ

<こぶとりじいさん>こと「奇怪な鬼に瘤を除去される」、<舌切り雀>こと「雀が恩義を感じる」など、現在に通じる心の動きと響きを見事に捉えた、おかしくも切ない名訳33篇を収録。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

『宇治拾遺物語』全197話のうち33話を抜粋した町田康による現代語訳。著者自らによる朗読を聴いて、大笑いさせられたので、紙でも手に取ってみた。
スピード感のある文体、真面目くさった顔をしたところに、ふと挟まれるテンポの良い罵倒、感情が乗り過ぎて意味が分からなくなっている台詞など、いつもながらの町田康節で面白い。
よく知られた話もあれば初めて読む話もあり、内容も勧善懲悪ものがあれば、ただ面白いだけのものも、人を食ったような話もあり、バラエティに富んで飽きなかった。「奇怪な鬼に瘤を除去される」「雀が恩義を感じる」「長谷寺に籠もった男が利得を得た」などがお気に入り。

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2024年11月12日

Posted by ブクログ

ネタバレ

池澤夏樹の日本文学全集、読むつもりはなかったのですが笑、「宇治拾遺物語」はめっちゃ面白い!と言われたので手に取りました。超訳でゲラゲラ笑っていたけれど、これはどこまで創作が入っているんだ、、?とはずっと気になっていました笑

一番好きなのは一番最初の「道命が和泉式部の家で経を読んだら五条の道祖神が聴きに来た」。史実では道命と和泉式部は関わりがなさそうらしいですが、和泉式部のイメージに付随するエロさ、みたいなところが私は好きでした。和泉式部が好きなのでこれが一番好き!みたいな感じ。
「そして、ただいい女というだけではなく、そそる女だった。色気のある女だったのである。それもただの色気ではなく、壮絶なほどの色気で、彼女を見た男は貴賤問わず頭がおかしくなり、また、ムチャクチャになった。死んだ者も少なくなかった…」やばすぎw
最後の「という訳で、お経を読む際は、ちょっと仮読みするときでも、身を浄めて読むべきである。「念仏・読経。四威儀をやぶること勿れ」と恵心僧都も言っている」
急に出てきた恵心僧都にまた笑う。

「奇怪な鬼に瘤を除去される」
この暗闇から、この不気味な顔を、ぬっ、と突き出したら、それこそ変化のものと思われて撲殺されるかも知れない。なので近くまで来たら、小声で自分は奇妙な顔ではあるが人間である、と説明しながらそっと出て行こう、と思ったのである」とか、もうリアルすぎて、いや現代すぎる笑となったり、「みんなが喜んでくれたのはすごく嬉しいんですけど、自分的にはまだ納得できてない演技がいくつかあって、今回、急だったんでアレですけど、気に入ってもらって、また、呼んでもらえるんだったら、次こそ完璧な演技をしたいんで」の急なオタク感めちゃ笑った

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2024年07月15日

Posted by ブクログ

ネタバレ

TBSラジオはじめ音声メディアで、画期的な現代語訳であることを聞いていた。
まあ町田康の手にかかればそうだろうと予断はあった。
伊藤比呂美に書かしめた「町田、コロス」という一節も、強烈な一文として予断に含まれていた。
が、な、なるほどー!

ひたすら下ネタ。糞。セックス。下半身。陰茎。猥談。スケベ。
くはは、笑かせよる。
なんでも197話ある宇治拾遺物語のうち、ピックアップされたのは33。
このセレクト自体が訳者による編訳ということなんだろうな。

通称「こぶとりじいさん」「わらしべ長者」のもとはこんな話だったのかーという発見と、
芥川龍之介作品の「鼻」「好色」「芋粥」の元ネタってこんな話だったのかーという再発見と、
いや町田康節に騙されてはいけないぞ、という自戒と。

以下の文にハッとした。
>お爺さんの顔を見て驚愕した妻は、いったいなにがあったのです? と問い糾した。お爺さんは自分が体験した不思議な出来事の一部始終を話した。妻はこれを聞いて、「驚くべきことですね」とだけ言った。私はあなたの瘤をこそ愛していました。と言いたい気持ちを押しとどめて。



内容説明
腹筋崩壊。煩悩切除。「こぶとりじいさん」こと「奇怪な鬼に瘤を除去される」のほか、「鼻がムチャクチャ長いお坊さん」「雀が恩義を感じる」など、白眉の面白さで知られる説話集から33篇を収録。エロ坊主、最高にいい女なども登場し、心の動きと響きを見事に捉えた、おかしくも切ない古典新訳の金字塔。

目次
道命が和泉式部の家で経を読んだら五条の道祖神が聴きに来た
奇怪な鬼に瘤を除去される
伴大納言のこと
中納言師時が僧侶の陰茎と陰嚢を検査した話
源大納言雅俊が童貞の僧に鐘を打たせようとしたら…
小藤太が娘聟に驚かされた話
利仁将軍が芋粥をご馳走した
鼻がムチャクチャ長いお坊さん
卒塔婆に血が付いたら
藤大納言が女に屁をこかれた
絵仏師の良秀は自分の家が焼けるのを見て爆笑した
雀が恩義を感じる
小野篁の才能
平中が本院侍従にやられる
範久阿闍梨は西に背を向けなかった
楽人である家綱と行綱が兄弟互いに騙しあった
新妻が平仮名の暦を作って貰ったら大変なことになった話
ある僧が出された料理を盗み食いした話
三条中納言が節制を試みた
長谷寺に籠もった男が利得を得た〔ほか〕

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2024年05月20日

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