あらすじ
「この草子、目に見え心に思ふ事を」。栄華を誇った中宮定子を支えた女房・清少納言は、なぜ膨大な言葉を書き残さなければいけなかったのか……。痛快な批評が笑いや哀感と同居する、平安朝文学を代表する随筆。ユニークな視点と鋭く繊細なまなざしですくい取った世界観を、歯切れ良く瑞々しい新訳で。「ここにもあった、いとをかし」。解説、年譜のほかに、位階、装束、牛車、建物などの図版資料を含む、宮廷生活ガイド付き。
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Posted by ブクログ
古典にわかでも読みやすかった。
最後の解説を読むと、清少納言はどんな気持ちで筆をとっていたのかと胸が締め付けられる。
愛しい人が、自分が愛した世界が、輝かしい姿のまま後世に残って欲しいと思う、そんな愛の形があるんだな…
日々の情景を美しい言葉であらわした章もあれば、お坊さんはイケメンだとありがたみが増すとか、急いでる時にとうでもいい話してくる客まじで嫌いすぎるとか、クスッと笑えるようなものもあっておもしろかった!
Posted by ブクログ
当初はこのテーマで大丈夫だろうかと思ってた大河ドラマ「光る君へ」が、思いの外面白い。前半の名場面の一つは、清少納言が「枕草子」を書き始めるシーンだと思う。というわけで、思い切って新訳で通して読んでみた。
思いのままに書き綴ったという通り、理解が難しい場面も多いけれど、あちこちに、なるほどそこを拾いますか!という鋭い描写が多々見られるのがさすが。宮廷に仕えるイチOL(?)があれこれ綴ったエッセイだと思うと親近感も湧いてくる。
上司の中宮定子が没落し始めた頃に書き始めたのですね。明るいトーンの中にも、どことなく寂しさを含んだ場面、表現が多いのはそのせいか(と、解説にありました)。長く手元に置いて気軽にパラパラと読む。その価値、やはりある。
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清少納言の、優雅な宮廷生活を描いたものという認識だったが、解説を読んで、その裏の定子への思いを感じ、後世に残したい記録を全身全霊を込めて書いたんだな、清少納言は一途だな、と、ちょっとほろり。
Posted by ブクログ
昔、角川文庫で断念した枕草子。大河ドラマを機に手に取った。役がかなりフラットすぎるのではとも思うが、まあ読みやすい。
巻末の資料や解説は面白くてためになる。
Posted by ブクログ
“春はあけぼの”で始まる『枕草子』は、清少納言が定子サロンで見て感じ考えた膨大な随筆集。政治的なしがらみもあり華々しい時は長くはなかったけれど、清少納言の「いとおかし」が詰まっていた。(百合要素は微笑ましい)。読みやすい訳だと思う。
Posted by ブクログ
私の目に映るキラキラした世界を見て。
多分、清少納言が同僚にいたら、お付き合いはできるけど、ちょっと遠まきにする。子どもの頃に枕草子を読んだ時、面白いことを言っているけど苦手だと感じた。何か自慢話の連発のように感じたのだ。どう? 私すごいでしょう? と言わんばかりの文章を残すなんて、自分の感覚的には恥ずかしい、と。
しかし、中高で古文を勉強して枕草子が書かれた背景を知り、今は大河ドラマ「光る君へ」を見て、運命に翻弄される定子の姿を見ていた清少納言は、並々ならぬ決意で枕草子を書いたのではと思い始めた。私の大好きな美しい世界、宮様のいるキラキラした毎日を、残さなくては、と。それには筆の力だと。
あらためて読んでみて、やはり自慢と思うところもある。でも演出に見えてくる。美しくて優しい宮様とその素敵な家族。宮様にお仕えする気が利いて賑やかな女房たち。夢のような世界はここにあったと、清少納言が全力で叫んでいる。なりふり構わない感じは、やはり鼻に付く気もするが、枕草子を書くことで清少納言は後世に定子とその周囲のキラキラした世界を伝えた。美しく、華やかで、漢文や和歌の知識を用いてウィットの効いた会話を楽しむオシャレな世界。憧れの平安時代を見させてくれている。
清少納言のように、気の利いた会話で人気を得ている芸能人等は様々にいるけれど、あまりに数多く、どんどん移り変わっていく。1000年後とは言わなくても、やはり残るには「書く」「読まれる」ことなのだろう。