あらすじ
平成大不況をよそに「大泉内閣」に食い込み、規制緩和の旗振り役となったノンバンクの帝王。男はいかに政商にのし上がり、なぜ表舞台から消えたのか――。紳士然たる風貌に隠された非情、恫喝、肥大する欲望。投資ファンドとの癒着、金融相と仕組んだ出来レース、そして経営破綻の危機……。巨利の構図を射抜く経済小説の金字塔!
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
井岡の活躍は本書の中心だが,ごますり野郎の広瀬,カリスマトップの加藤のような人はどこの会社にもいると思います.でも立花のような信頼出来る人がいることで井岡も力が発揮できるのでしょう.証券化等の経済用語が頻出していてやや理解できない所もあったが,企業小説として面白く読めた.
Posted by ブクログ
若干8年ほどだけど、商社で、偉い人たちの移り変わりを見てきたので、企業の人事のしがらみや哀愁はなんとなく、ピンとくる。だから息子に、サラリーマンでなくて誰にでもはできない必要とされる資格を身につけなさい!と言いたくなる。たいへんなのはどんな仕事も一緒だろうけれども、ならば自分の力で勝負できる世界にいなくちゃあ。親の欲張りかな?
Posted by ブクログ
【虚像】 高杉良さん
オリックスをモデルにした経済小説。
行動力があり、押しが強く、政治力にも長けている
ワンマン社長の加藤。
その加藤に仕え、一介のノンバンクだったワールド
ファイナンスを巨大なコングロマリットへと成長させる
一翼をになった井岡堅固。
大泉首相と竹井経済相が推し進める規制緩和と強引な
不良債権処理でワールドファイナンスは巨額の富を得た。
留まるコトを知らない拡大路線を辿るワールドファイナンス
と加藤。
加藤の飽くなき欲望に多少の嫌悪感を持ちつつも
卓越した経営能力と判断能力に感服する井岡。
しかし米国発のサブプライムローン問題が、発展を続ける
ワールドファイナンスの頭上にも降りかかってきた。
サブプライムローン問題を「対岸の火事」とみなし、
さらに拡大路線を突き進もうとする加藤。
だが、拡大路線をとりすぎたワールドファイナンスは、
資金調達が困難になりつつあった。
☆
登場人物が現実の人物をモチーフに書かれています。
わたしは経済には詳しくないですが、書いてあることは
そのまま現実に当てはまるようです。
1990年からの経済をよく知っている人には
より以上に面白く読めるかもわかりません。
「不良債権処理」という言葉はよく聞きましたが、
どういう流れで債権回収会社へ渡ったかよくわかりました。
金融庁の監理のないノンバンクは引当金を積み立てる
必要が無いので銀行の債権を買い叩いたんですね。
そして、コングロマリットの強みを生かし、
グループ会社で再開発を行う。
大企業の一社独占ではなく、昔のように小さな工務店や
左官屋さんなど、末端にまで仕事が行くような仕組みを
為政者には考えてもらいたいと思います。
Posted by ブクログ
オリックスがモデルの企業小説。ほとんど実名が想像できる。高杉良だからかなり真実なのだろう。オリックスなんてあまり気にしたことなかったけど、調べたら、S39年に3商社と5銀行により設立された「オリエント・リース」に源を発する「多角的金融サービス業」。連結子会社が730社、総資産8兆、純利益700億。「虚像」といタイトルからは想像できない企業実績を上げ続けているし、オリックスバファローズも手放していないし、、、まぁ、勉強にはなった訳だが。反面調査のため、登場する日本郵政の北山社長(元三井住友BKの西川頭取)の「ラストバンカー」も読んでみよう。