あらすじ
「明日死ねたら楽なのにとずっと夢見ていた。
なのに最期の最期になって、もう少し生きてみてもよかったと思っている」
「一ヶ月後、小惑星が衝突し、地球は滅びる」。学校でいじめを受ける友樹、人を殺したヤクザの信士、恋人から逃げ出した静香。そして――荒廃していく世界の中で、人生をうまく生きられなかった人びとは、最期の時までをどう過ごすのか。滅びゆく運命の中で、幸せについて問う傑作。
〈巻末対談〉新井素子×凪良ゆう
感情タグBEST3
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Posted by ブクログ
汝、星の如く、星を編む、流浪の月に続き、同著者のこちらを手に取りました。
とても良かった。1-3章までは視点は変わりつつも一続きの話。お母さん視点で語られる章が1番好みだった。4章はさらにまた別の視点から。
それまでどこか自分を偽ってきた人生を歩んできたそれぞれの登場人物が、地球が滅ぶという間際になり、不幸なはずの世界でシャングリラ=理想の場所を見出す話。
人の心の動きとか矛盾した感情とかままならない思いとかを描いている作品が好きなのでおもしろかった。
暴力描写あり。
Posted by ブクログ
シャングリラって、ユートピアのことなんだって。
小惑星衝突はやっぱり避けられました、みたいなオチになると思ったけど
ちゃんと滅びるみたい。
確実に自分の人生が終わるその日に向かって
どう生きるか、というのが書かれていておもしろかったです。
腐敗していく社会や人もいるんだけど、
目力、ZUKA、江那くん、藤森さん、LOCOはシャングリラの中で過ごせたのかな。
LOCOが恋人を殺しちゃうのは寂しかったけど。
1つ1つのエピソードはもちろんおもしろいんだけど、
それらがつながって1つのエピソードになった時に、おもしろさが倍増した。
滅亡という最悪のことなのに、全員が自分を取り戻し、生きる意味を見つけ、大切な人や毎日を大切にしようとしているのがハッピーエンドにすら感じる。
ラストの掌編小説のイスパハンを読んで、
藤森さんが願った通り、滅びた後のあっち側の世界で、しあわせで満ちたりて穏やかな世界であってほしいと願った。
凪良ゆう大先生の本にはずれなし!!!
Posted by ブクログ
★★★★☆星4一ヶ月後小惑星が衝突し、地球は滅びる。
シャングリラ、江那友樹、17歳、クラスメイトを殺した
パーフェクトワールド、目力信士、40歳、大物ヤクザを殺した
エルドラド、江那静香、40歳
いまわのきわ、山田路子、29歳、恋人を殺した。
パーフェクトワールドの章を読み始めて、あれ?違う話かな?ヤクザの世界のチンピラにはあまり共感できないなと思ってた。静香の再会シーン、物騒だけど二人らしくてクスッと笑えた。MVPは静香に。
SOS地球、こちらぼく、緊急事態発生、今すぐ爆発して人類を滅亡させて下さい
Posted by ブクログ
最初は、ふーんこんなものかと思って読んでた。
中盤の静香さんらの再会や、locoの話から割と好きになった。この作者の描くストーリーはいつもそこまで響かないけど、心情描写は好きだなと思う。
Posted by ブクログ
世界が終わる。それに向かっての人々の行動とか心情を細かく書いてて、本当に世界が終わるんだとしたら、こんな感じなのかなぁと想像しました。
男の子の純粋で真っ直ぐな恋心で、物語は始まるけど、色んな人からの視点でストーリーが進んで行くので感情移入しやすく、また、登場人物の心情がほんとに細かく繊細にかかれてて、ずっしりと来た。
ただ、終わり方がなぁ……。バットエンドでは、無いのだろうけど、幸せになって欲しかったなぁと。
Posted by ブクログ
地球が滅亡する一ヶ月間を描いた話。
静かに終わりを迎える話かと思いきや、無秩序になって崩壊していく日本の話だった。その時点で最初に抱いた印象と違う(笑)
凪良ゆうといえば、神さまのビオトープとか流浪の月みたいに、みんなに寄り添う話を書くと思っていたので。
一話目のいじめられっこの話は「ん~」と思ってたけど、二話目の荒くれ者の話読んで「なるほど、こう繋がるか」と納得。そこから何週間か放置して、次に静香の話が来て一気読み。好きなの、強い女。
最後の路子ちゃんの話も面白かった。芸能界の汚いところが見えて。
やはり私は凪良ゆうの心理描写と比喩表現がとても好き。堪能させていただきました。