【感想・ネタバレ】オルクセン王国史~野蛮なオークの国は、如何にして平和なエルフの国を焼き払うに至ったか~(サーガフォレスト)2のレビュー

あらすじ

オークの国オルクセンの王グスタフ・ファルケンハインは、聡明かつ穏健な牡(おとこ)である。
だが、オーク族の悲願達成と、自らを頼りとする臣下国民のためならば、ときに狡猾な策をも弄する。それが、今回の対エルフィンド開戦にまつわる「奇策」だった。
エルフたちの国――故郷エルフィンドで卑劣な虐殺と迫害の憂き目に遭い、白エルフたちに復讐を誓いオルクセンに身を寄せた黒エルフの氏族長ディネルース・アンダリエルは、今や名実ともに「王のもの」となった。愛する牡との充実した幸福感に包まれる日々は瞬く間に過ぎ、水面下でじわじわと準備を進め牙を研いでいたオルクセンは、ついにエルフィンドに宣戦布告を行うのだった……。
圧倒的な筆致でえがく「銃と魔法」の異世界軍記ファンタジー、待望の第2巻登場!!

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

このページにはネタバレを含むレビューが表示されています

Posted by ブクログ

ネタバレ

『オルクセン王国史2 ~野蛮なオークの国は、如何にして平和なエルフの国を焼き払うに至ったか~』は、単なるファンタジー戦記の続編にとどまらず、国を築くとは何か、指導者の責務とは何かを問う重厚な一冊でした。

本巻では、戦争へと至る「前夜」が精緻に描かれています。軍の編成や演習、兵站の整備といった実務的な側面が、淡々としながらも臨場感をもって綴られ、読者はオルクセン王国がいかにして「力」と「知恵」を兼ね備えた国家へと変貌していくかを、息を呑みながら追体験できます。特に、グスタフ王の冷静さと決断力には圧倒されるばかりで、彼が単なる武人ではなく真の王であることを強く印象づけられました。

また、ディネルースの存在が物語に人間的な陰影を与えています。復讐の炎を抱えながらも、王と共に歩む道を選ぶ彼女の姿は、個の感情と国家の大義が交錯する場面に奥行きをもたらし、単なる戦争譚を超えた普遍的なテーマを浮かび上がらせています。

読み進めるうちに、この物語は「野蛮なオーク」と「平和なエルフ」という単純な対立を描いたものではなく、むしろ「歴史とはいかにして紡がれるか」を示す壮大な叙事詩であることに気づかされます。国を守り、未来を切り拓くための選択と犠牲。その重みが一行ごとに刻まれており、ページを閉じた後もしばらく余韻が胸に残りました。

次巻でついに火蓋が切られるであろう戦争の行方を思うと、今から待ちきれません。オルクセン王国史は、ただのファンタジー作品にとどまらず、「歴史を物語る」ことそのものの意義を問いかける、稀有なシリーズだと確信しました。

0
2025年09月18日

「男性向けライトノベル」ランキング