あらすじ
――早く僕を愛してください、早く……。
妾の子として冷遇されてきた公爵令嬢アンジュは、
ある日、第二王子ルイとの結婚を命じられる。
だがこの結婚は、王太子よりも優秀で人望の厚いルイの力を削ぐための計略だった。
初夜、ルイの目の前で死ぬよう厳命されていたアンジュだが、
なんと、罠に嵌めるべきルイ自身に命を助けられてしまう。
子どもがほしいと言い、執拗にアンジュを抱くルイ。
アンジュは、何を考えているか分からない彼から逃げようと画策するが……。
家族を求める壊れた王子×肝のすわった薄幸令嬢、
得体のしれない溺愛から逃れられません!?
【目次】
プロローグ
第一章 暴力ですべてを解決する
第二章 王子妃、覚醒せざるを得ない
第三章 愛し合う夫婦かどうか
第四章 変化
第五章 必要最小限度の殺人
第六章 家族の幸せのために
エピローグ
あとがき
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アンジュの心の呟きがツボ
作家さん買いです。
すーっごくおもしろかった!
ヒーローのルイは心がお壊れになっておられますが、それもそういう生き延び方だよな、と共感できたし、何より愛が重くてよい。
そしてアンジュがとてもしなやかで強くて、とっても好感が持てました。
正直だし、心の呟きがいちいちおもしろくて、シリアスな場面でもついふっと笑ってしまう強さがありました。
そして終盤の幻になってもルイを叱責するところは最高でした。
ルイの城で働く人たちもみんな魅力的で、殺人はできないけど働きたいと思いました。
次回作も楽しみです!
頭がいい夫婦
壊れかけのサイコパス×生命力強めの少女=無敵。
ただし、まわりは焼け野原。森羅万象なぎ倒して、己の幸せに忠実な夫。
敵に回すと恐ろしいけれど、懐に入れてもらえればこれ程、心強いものはないでしょう……
打算の副産物とはいえ、ルイが正気に戻ったのは、ひとえにアンジュの「他者を否定しない」スタンスの賜物だとおもいます。
押さえつけるのではなく、受け止めて、ルイが、許容できるところを見極め、少しづつ軌道修正を促したおかげなんでしょうね。
ルイの現実を知っていても、心が認めたくない状況を上手にすくい取っていった結果なのかな~と。
この先、歳を重ねて、絆が深まる中で、きっとアンジュは、今よりもっとルイのたずな捌きが上手くなるのでしょう。
一方で知らず知らずにアクセルにもなってしまうから、本当に、周りの利己的な人々は、この家族に手出ししないでほしい。
用意周到な王子様
側妃の息子ということでヒロインをあてがわれたヒーローでしたが、この王子様が精神的にイッちゃってました。とはいえ、地頭の良いヒロインといい感じに結ばれて、二人にとっての敵を排除していく様子が気味が良いです。
Rシーンのイラストも素敵でした。
やっぱりソーニャ
作者さま買い
この作者さんにはソーニャが似合うと思う。
たしかにヒーローの壊れかたは悲しいけど、ヒロインも壊れてるというかズレてるのがお似合いで、最後うまくまとまったなぁ、と読んでいい気分になりました。
これまで読んだソーニャ作品の中で、一番悲しい壊れ方かもしれない。
その境遇を思うと苦しくもあるが…悲壮感ばかりではないのはヒロインの逞しさ故か。
内容のわりには読後感良く、爽やかにすら感じるラストにほっとする。