【感想・ネタバレ】教養としてのインターネット論 世界の最先端を知る「10の論点」のレビュー

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Posted by ブクログ

現代のインターネットの本質に迫る好著
データ駆動社会を理解させくれる。データの重要性を本質的に理解することがなければ現在のインターネットを理解できない。
ロシアによるウクライナ戦争もサイバー空間における戦争とリアルの戦争の符号的なものであることを理解させてくれる。
「旧」西側諸国のインターネットへの考え方と中国やロシア、そしてグローバルサウスと呼ばれる国々のインターネット思想の本質的な違いを理解できる。そして、われわれは国家の管理管轄ではない現在のインターネットを守り続けより高度に育ってゆかねばならない。

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2023年10月03日

Posted by ブクログ

総務省の役人で、サイバーセキュリティの専門家である著者が、インターネットについてまとめたもの。著者は、学術的な世界や国際会議でも活躍しているため、インターネットの国際的な問題点がよく見えている。欧米と中ソの対立があり、なかなか難しい状況にあることがよくわかった。
「(『e-Japan戦略』IT本部2001)我が国は,21世紀を迎え、すべての国民が情報通信技術(IT)を積極的に活用し、かつその恩恵を最大限享受できる知識創発型社会の実現に向けて、既存の制度、慣行、権益にしばられず、早急に革命的かつ現実的な対応を行わなければならない」p31
「今なお深刻な状況の続くウクライナ紛争から得られる知見は、デジタル技術の活用が平常時はもとより非常時においても重要な位置を占めるようになっている事態が具体的な形で明らかになってきたということです。このため、経済安全保障におけるデータの活用やデータセキュリティ確保、さらにはサイバー空間における国際ルールのあり方などの安全保障問題についても議論を加速させる必要があります」p44
「日本のデジタル投資は「業務効率化・コスト削減」(44.8%)や「既存製品・サービスの高付加価値化」(39.0%)をその目的としています。これに対し、米国では「新規事業の創出」(33.5%)、「新製品・サービスの創出」(33.3%)、「ビジネスモデルの変革」(33.1%)をデジタル投資の目的としています。日本の企業はデジタル投資をコスト削減として捉えがちな守りのデジタル投資であるのに対し、米国の企業はデジタル投資によって新しい成長領域をつくり出す、攻めのデジタル投資をしています(総務省「情報通信白書(令和3年度版)」p57
「データ駆動社会が到来しているにもかかわらず、日本の企業は依然としてデジタル投資を将来の成長を取り込むための戦略的投資として捉えておらず、またデジタル投資においてのデータ活用による企業の成長を実現しようという姿勢にも欠けている状況にあります」p59
「(世界中が高齢化しつつある)日本は「高齢化先進国」であって、アジアの他国と比べても約20年早く高齢化が進んでいるにすぎないのです。日本だけが「高齢大国」になるわけではありません。そう考えると、今後20年の間にソリューションを開発する事業を積極的に展開すれば、他国への展開も十分見込めるということになります」p72
「インターネットの自由が確保されている国は約半分にとどまっています」p166
「途上国は、中露が率いるグループBと連携しています(途上国はセキュリティ技術が成熟しておらず、自国のサイバー空間の実態把握が難しく、自国がサイバー攻撃を行っていると他国からの非難に対抗できていない)」p170
「(中国が提案するNew IP)インターネットのプロトコルにトップダウンの中央統制という形でサイバー主権を取り込もうというのが狙い」p178
「インターネットは情報を広く共有し権力の内情を広く知らしめることで民主化を促すという面が期待されてきた。他方で、デジタル技術は国民を監視し行動抑制を図る上で最も優れたツールになり得る」p253

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2024年01月07日

Posted by ブクログ

この本を読むことで、デジタル化の進展とその背後にある"データと情報"の融合を深く感じた。特に、IOTを活用することで、企業が外部環境のデータと自社の内部データを統合し、更なる質の高い情報を生み出す可能性に目を見張った。筆者の考察には、未来のシステムやインターネットの進化に関する示唆が豊富にあり、期待以上の洞察を得ることができた。特に、インターネットが今や社会インフラとしての役割を果たしていること、その深層での動きや葛藤についての議論は、今後のテクノロジーの方向性を考える上で非常に参考になった。この一冊を通じて、未来のインターネットがどのような恩恵をもたらすのか、そのヒントが見えてきた。

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2023年09月26日

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