あらすじ
珊瑚(70代)は急逝した兄の跡を継いで、神田神保町で小さな古書店を営んでいる。親戚の美希喜(20代)が右腕だ。作家志望の悩める青年や、老母のために昭和に発行された婦人雑誌を探している中年女性など、様々な想いを抱えた人々がやって来る。てんぷら、うなぎ、カレー……美味しいごはんと思いやり深い人々、人生を自由に豊かにしてくれる本の魅力が沢山つまった極上の物語。ショートショート「桜の小径」と神保町を巡る楽しい対談も収録。
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Posted by ブクログ
古書店に併設されたカフェスペースとはなんて素敵と単純に思っていたけど、
実際につくろうとなると起こってくる様々な問題や課題がめちゃくちゃ大変そうで、
特に本棚裏に発生していた大量のカビについては、その有り様を想像しただけでゾワゾワするし、頼む業者さんや費用、工事期間中の営業について等々問題が山積みで読んでいるだけでげんなりした気持ちが伝染してくる。
前作からみききちゃんとさんごさんがもっともっと仲良くなっている様子が、ふたりの会話を通じて伝わってくるのが嬉しい。
だからこそブックフェア以降の2人の関係にすごくドキドキしてしまった。
みききちゃんがさんごさんの部屋を訪れた際、彼女の詳しい感情の描写は無いものの、無意識にさんごさんの生活を探してしまったり、その思いに反して綺麗すぎると感じてしまう部屋の描写だったりで、みききちゃんが抱いている不安感や不穏な気配がよく伝わってくる。
それらを経たふたりの会話が、ふたりともが自身の本心を真っ直ぐに伝えていて、だからこそ切なくて胸がぎゅっと苦しくなる。
ふたりの仲は変わらずとも、みききちゃんの求めている以前の関係にはもう戻れないんだなと思うとなんとも切ない。
でも番外編のふたりの姿がすごく無邪気で楽しそうで、物悲しさは残っていたけどそれはそれとして素直にすごく嬉しかった。
Posted by ブクログ
続編なので、ページを開くとすぐにあの神保町の世界に引き戻され、最後まで安心して楽しむことができた。
人生につまずく人々へ極上の選書と美味しい料理で道を照らすシリーズの芯は健在だ。前作が本の文化という「変わらぬもの」の良さを描いたのに対し、今作は若い世代の視点を通して「時代と共に変わりゆくもの」にフォーカスしている。店内のカフェスペース提案など、登場人物たちの「その後」の人生が新しく動き出す姿が瑞々しい。
また、森瑤子をはじめとする忘れられがちな昔の良書や映画・映像作品など、埋もれた名著を現代に再び届ける意義にも深く触れられており、本好きの心をくすぐる。作中に登場する天ぷらやカレーといった神保町グルメの描写も絶品で、湯気や匂いと共に、食を通じた人と人との温かい繋がりがリアルに伝わってきた。
前作の大きな節目を経て、変わらないぬくもりの中に新風が吹き抜ける。メンタルもお腹も優しく満たされる。