あらすじ
塩が世界を埋め尽くす塩害の時代。塩は着々と町を飲み込み、社会を崩壊させようとしていた。その崩壊寸前の東京で暮らす男と少女、秋庭と真奈。世界の片隅で生きる2人の前には、様々な人が現れ、消えていく。だが──「世界とか、救ってみたくない?」。ある日、そそのかすように囁く者が運命を連れてやってくる。『空の中』『海の底』と並ぶ3部作の第1作! 番外編も完全収録!!
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Posted by ブクログ
突如降ってきた塩の塊の影響で、世界中で人が塩になってしまう病気が蔓延する世界の話。
愛する女性を守るために世界を救いに行く自衛官と、そんなことしなくて良いし世界が滅んでも良いから無事でいて欲しいと願う女子高生の話。
男は、女は、といったステレオタイプでも良く語られているやつ。
子供扱いされたくない女の子の心情、年下のパートナーと恋愛をする時の、年の差ゆえに自分が置いていかれてる双方の感情、子どもだからこそ周りが見えていない状態からの、それに気づいていく過程の描写、失うものは何も無い合理主義でサイコパス味のある男性の心理描写、自分のことが結局大事だから他者に心無い言葉を浴びせてしまう、そんな自分に気づいて嫌気がさすという強い女性、などなど。繊細な心理描写が多くてそれも素敵だった。いろんな角度から色んな視点で地の文が書かれていて面白かった。
Posted by ブクログ
✶印象に残った言葉↓
「誰もいなくなっても__毎日。世界中のすべての人がいなくなっても。海も空も太陽も、誰かに見せるために朱に染まるのではない。綺麗な景色に意味などなく、それはただ綺麗というだけのことだ。美しいと誉めそやすのは見ている側の勝手な評価で景色は美しくあろうとして美しいわけではない。」
「元々世界なんかお前が思ってるより適当でいい加減なもんだぞ。」
「何とかなるのかどうかは分からない。だが、少なくとも自分が手を伸ばす自由はある。手は動くのだ、自分が伸ばそうとさえ思えば。たとえ、それが届かなくても。__恋は恋だ。」
「誰かを片側から思う時間は苦しくて楽しい。あの人はこちらを振り向いてくれるだろうか、笑ってくれるだろうか、自分をどう思っているだろうか、自分があの人を好きなように、あの人も自分を好きになってくれるだろうか。その人の仕草、言葉、表情__すべての端々に一喜一憂して、一喜一憂することが苦しくて、楽しい。いつか想いが叶うといいなんて夢をあてどなく見ながら。」
「きっと、最後の瞬間まで恋をしていた人たちはいっぱいいる。そのうちの一つの恋が、世界を救ったのだ。世界を救うなんて大上段な使命感ではなく。
ただ好きな人を守りたい、という願いがきっと一番強いのだ。きっと世界を守りたいなんて思って世界を守る人はいない。好きな人がこの世界にいるからだ。好きな人を守りたくて、守り切ったらついでに世界も救っていた。きっとそんなものだったのだ、この世界が救われたのは。」
「寒いと思っただけで温めにくる恋人とはたぶんいろんな呼吸が合っているし、愛されているとも思う。」
Posted by ブクログ
明日、急に大切な人がいなくなるかもしれない…
恋人、夫婦…片割れを失っては生きていけない、失うのがこわい…倫理観もなくただ、ひたすらに、一緒に
生きていたい。そんな世界で人々は出会い、その中で恋をした。たった1つの恋が世界を救った。秋庭さんカッコよかったなあ〜笑 塩害中に出会ったタカハシノブオが最後に書籍出してるところ、その記事を読んだ時に、なんかすごい感動というか込み上げてくるものがあり号泣しました
大好きなお話。
大好きで何度も何度も何度も読み返しています。いつでも読めるように電子でも購入しました。
優しくて不器用な自衛官と強くてか弱い女の子のお話。真奈の軽い荷物であろうとする姿にとても非常に共感します。
世界の運命をかけた大恋愛。大好きなあなたしかいらない、という真っ直ぐで熱い気持ちが響きます。
Posted by ブクログ
間違いなく世界をかけた大・恋・愛‼︎です‼︎
世界が終わってしまうことよりも、その人を失う方が辛い!と思える相手に出会えるなんて奇跡だと思うし、自分のことしか考えられなくなってしまうような異常事態下でも、相手の方を思いやれる秋庭さんと真奈ちゃんの姿が心に刺さります。でもこれは世界の崩壊よりも「相手には生きていてほしい」という自分の想いを押し通そうとする壮大なワガママなのかな笑
相手のためなら自分を犠牲にする覚悟が出来ている、そんな人達の強さを感じました。
Posted by ブクログ
・一本の映画を観たようだった。
・塩の結晶によって「塩害」になり死んでしまう世界で出会った、主人公の高校生真奈と、自衛隊員秋庭の物語。
・本編は塩害被害を食い止める話で、その前後談として高校生が自衛隊基地?で出会った女性隊員と夫、自衛隊員のサイコパス同級生、ルポライターを目指す中学生との出会い、自衛隊員の父などが登場する短編集で構成される。
・この話は2004年刊行とのことだけど、東日本大震災やコロナ渦を思い出してしまった。ガラッと変わってしまった環境や大事な人を失った世界で、新しい大事なものができたり、改めて大事なものに気づき、今度こそは後悔しないように行動したり。
・大事な人を大切にして、最期の時は安心の中で過ごしたいと思った。
・文庫本版とハードカバーで描かれたりそうでなかったりがあるよう。今回ハードカバーで作戦実行部分が端折られてるとのことなので、いつか文庫本バージョンで読んでみたい。
Posted by ブクログ
巨大隕石(塩の結晶物体)により人々が塩化する災害にみまわれた世界で、元自衛官と彼に助けられた女高生を中心に彼らに関わる人々と世界を災害から救う物語。
序盤は塩害によって人生を翻弄される「終末のフール」(伊坂幸太郎著)を思わせる切ない話だった(涙涙)。
その後は何となく恋愛小説的なお話となりちょっとだらけたけれど、天才科学者が登場すると話が面白くなった。私は、中学生の頃、よくSF小説を好んで読んでいたから。
主人公(彼)が、命をかけて塩害の元となるものに立ち向かうのだけれど、天才科学者曰く
「彼が作戦を成功させるとしても、彼は世界なんか救ったんじゃない。君が先に死ぬのを見たくないってだけの、利己的な自分を救ったんだ。そしてその感情の先に繋がってる君を救う。僕らが救われるのはそのついでさ。君たちの恋は君たちを救う。僕らは君たちの恋に乗っかって余禄に与るだけさ。」
これっていいよね!
Posted by ブクログ
SFと恋愛って感想が多かったけど、私にとってはあんまりそうは見えず。
これを書いた時は、きっとコロナ禍を経て世界がすごく変わること、想像もしてなかったんだろうなぁ、と思ったり。ただ似たような未曾有の何かに立ち向かう小説って多いから、自分が渦中にいたから覚えてるだけでそれぞれの時代の人がその時代ごとの大きななにかを思って書いているんだろうな。
自分がコロナ禍に看護師として働く上で、やっぱり耐え難いとか酷すぎる別れっていうのは本当にいくつもあって、面会制限もそうだし、コロナがなかったら死ななかったであろう人も、最後の瞬間に医療者しかそばにいれない事も、死んでもなお時間がたたなきゃ会わせてもあげられないことも、やっぱり重なっちゃうなぁと思った。だから私にとってはSFってよりはほぼ現実。原因がわからない、未知って本当に怖い。本当にこの防具でウイルス防げてるのかな、私は一人暮らしだからいいけど、家族がいる人、家に疾患持ちの家族がいる人、まだ小さい子供がいる人、みたいに守るべきものがある人はほんとうに怖かっただろうなって。自分に何も無かったから、まぁ実家に帰って家族に会えないのも、少し具合が悪い時にもしかしたらって怖いのも、自分が媒介して間接的に患者に移してるかもしれないって怖いのもそりゃあったけど、やっぱり独り身ってすごく楽しいと同時にすごく自由で。こんな風に愛だけで好きな人じゃなくて世界も救えちゃうの、普通にヤバすぎる。そして守るべきものがあるって、本当に人を強くさせるんだな、、、
短編で出てきた人それぞれにフォーカス当たって、読んだあともそれぞれの背景とかが色濃くなってよかったしわ一人一人が大好きになれちゃうの、すごくいい。
コロナ禍の前にも読みたかった、、、