あらすじ
豊かな海をはぐくむサンゴ礁にも、日夜潮だまりで砂を噛むナマコにも、あらゆる生きものには大切な意味がある。それぞれに独特な形、サイズとエネルギーと時間の相関関係、そして生物学的寿命をはるかに超えて生きる人間がもたらす、生態系への深刻な影響……。技術と便利さを追求する数学・物理学的発想ではなく、生物学的発想で現代社会を見つめ直す画期的論考。
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Posted by ブクログ
非常に興味深く、知的好奇心をくすぐられる一冊だった。
筆者が研究の専門としている海洋生物・ナマコの話はもちろん、個人的には動物同士の共生や珊瑚の話が面白かった。また、ミミズやイソギンチャク等の無脊椎動物が有する静水力学的骨格の話にも大変刺激を受けた。
生物を知っていく上で、今後もこの本はバイブルにしていきたいと思う。
Posted by ブクログ
例え話などをうまく使って、生物の性質をコミカルに説明する一方、時間や命など大きな観念を捉え直そうとする大胆さもあり、面白かった。
印象的だったのは、時間とエネルギーに関する記述。現代は、石油を燃やしてエネルギーを使い、恒常的な環境(温度も明るさも一定の環境)を作り出して生産性を高めている。しかし実はこの恒環境をひとつの環境問題と捉えるべきではないか(著者はこれを「時間を速める」と表現する)。私たちは、時間を速めることもゆっくりすることもできる。時間を意図的にデザインできる。私たちは時間というベルトコンベアに乗って運ばれているだけの存在ではなく、自らのエネルギーを使ってベルトコンベアを回す主体なのだ、と