あらすじ
『少年アシベ』『ここだけのふたり』でおなじみの森下裕美の新境地! 大阪の下町を舞台に繰り広げられる哀歓あふれる短編が、やさしくそしてほんの少し辛味が入って編まれている人生劇場第1弾!
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「大阪のおっちゃんと友達になりたくなる」
「お笑い好き」「ノリ重視」「賑やか」「せっかち」。生まれも育ちも関東の私が、個人的に抱いていた「大阪人」のイメージはこんなところでした。このマンガは、そこに「世話好き」そして「あたたかい」の2語を加えてくれた作品。親との関係、近しい人との別れ、恋愛、自分の未来…。大阪という街で様々なことに思い悩む、ごく普通の(あるいは、普通よりも少し不運な)人々を、独特のパキッとした描線と抑制の利いたテンションで描き出した本作には、『少年アシベ』で有名な作者の鋭くも慈愛に満ちた人間観察眼が光ります。おじいちゃんが孫の境遇を想って泣きながら言う、「子供は毎日、幸せにしたらなアカンのに」という台詞が胸に迫る!(鈴木史恵)
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いろんな意味でこれはこころが震えてしゃーないわ。なんて切ない。
大阪ハムレット
乙女の祈り、おんなの島ー性同一性障害
名前ー不妊治療
恋愛ーあまりにいじらしい
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登場人物がそれぞれにみなコンプレックスを抱えながら、生きて、支えられて、生きてゆく。
森下先生の描く情景に、関西弁が優しく人情を吹き込む。
"そん時は、そん時や。"
森下先生のことばの力は強い。
痛みを知る人にそっと手を伸べるように。
収録されているどの作品もとても素晴らしいです。
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おもしろい!
映画の『大阪ハムレット』は既に見てたんやけど、原作は短編集なのですね。
そして作者が『少年アシベ』と同じ人やったとは。
『少年アシベ』もとても好きなので、この作者のものは好きなんやなと発見しました。
それにしても登場人物が魅力的。
人情味溢れるというか一筋縄ではいかん人間臭さ。
特に表題作に出て来るオッチャンがなんとも愛しい。
映画の岸部一徳も良かったけど岸部一徳ということでちょっと怪しさが付加されていて、原作のいじらしさはちょっと抜けていました。
原作のオッチャンのが好き。
ヤンキーハムレットは映画のが勢いあって良かったですが。
もろもろ、私は映画よりもこちらの方が断然好きです!
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剃り込み入った大阪の高校生がハムレット的立場にあったら、という感じの短編集。スノッブさから程遠い世界なので、ハムレットな主人公もアグレッシブです。
アシベやエンヤとは毛色が異なりますが、ユーモアやキャラクターへの愛情は相変わらず。
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「ボク、女の子になりたいねん」
表紙の左下のコマのとこでグッ…ときました!
世の中の偽善やらを敏感に感じちゃう人は
これ、しっくりくる短編集だと思いますよ
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関西人、大阪府民なら完全「こんな奴おるおる」ってなる人情漫画!
意外とストーリーの登場人物が繋がってたり。
ひとつひとつの物語は重いのに、
底辺から突き上げる明るさのおかげで読んでて笑う。
でも人情ものに弱い人が読むとすぐ泣けてしまいます。
とくに、下の兄弟ができる話は
暗いのに明るすぎて、泣きながら笑えます。
顔がぐちゃぐちゃになるので
電車で読むのはオススメしません。笑
Posted by ブクログ
森下裕美は、「少年アシベ」や、「ここだけのふたり」のように、毒を薄めて一般ウケするマンガがかける人です。もちろん、そのなかで、「そうとしか生きられない人間」をいれていくことで、オブラートに包みながら、いろんなメッセージを込めていく。
でも、それは伝わりにくい部分もあったのかもしれません。でも、いろんな人に読んでもらうという意味では、あのかわいらしい絵柄は、とても、武器になっていたと思います。
「大阪ハムレット」は、今まで武器にしていたもの、特に「かわいい女の子」が、使われていません。
女の子の顔をソーランアレマみたいに記号的な「美人」に描くのは、この人にとって、きっとそれほど大変なことではない。でも、あえて、今回は、そうではない絵柄を選んでいます。
なんだろう、今回の絵柄と「アシベ」の絵柄の1番の違いは……鼻があることかな?
それでも、けっして「美人」ではなくても、「魅力的」に人を描くことに成功していると思います。
例えば、宏樹がアキおばちゃんに向ける視線。素敵に見えるというのは、人の外見だけのことではないなぁとよくわかります。
だから、武器を捨てでも描きたかったこと、捨てないと描けなかったことがあるのだろうなと思います。
「大阪ハムレット」には、今までのかわいい森下裕美ではかかれなかった、生の感情がかかれています。
アキおばちゃんは、見る人が見たら、すぐに病気の名前がわかってしまう。そういうリアルなかき方がされているし、「名前」や、「恋愛」の相手に嫌われないかという不安、痛み、どれもけっこう、きついものです。
もちろん、大阪という舞台設定、どくどくの話の運びで、優しく包み込む雰囲気で、重くはなりすぎないのですが……。
そういえば、「少年アシベ」の絵柄になる前、「23のさかな」という不思議な物語を森下裕美はかいていて、ふっと、それを思い出したりしました。
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この表紙を見ただけで、条件反射的に泣けてくる。
が、この作品は決して、「泣けるいい話」ではない。
もうえぐくて、えぐくて、もう勘弁してくれよ、
と何度も思いながら、やっぱり読んでしまう。そんな作品。
映画についてはノーコメント。
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いやぁ、これは油断ならない本です。
重い現実を抱えながら、それでも生きてく市井の人々。
例えば、女の子になりたい男の子とか、中学生であることを隠して大人の女性と付き合う少年の恋とか。
絵のせいか、一見むちゃくちゃ重くは感じません。
でも、読み終わった後、何か色々考えると言うか、胸にずっしり残るものがある。
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いしかわじゅん氏によると「森下裕美」はこの本を書くためにあえてこの「いやな」絵柄にした。で、絵柄ゆえにずっと読まなかったものを単行本で一気によみ、「あー連載中に読んでいればよかった。損した」と思ったそうな。さらに、いまや、双葉社でないと、こんな「いやな絵柄」の連載はできないとのこと。
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大阪弁最高ですよね!ひとつの話がそれぞれとても温かくて切なくて、本当に読んで損はないお話だと思います。柔らかく泣きたくなる。人間て愛しいなぁ。
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オール大阪弁で、ヤンキーくんと母と凶悪顔の継父(亡父の兄弟)の家族とか、女の子になりたい男の子とか、中学生男子と23才女子のカップルとか、の短編集。
女の子になりたい松田くんが、やっぱりつらいこともたくさんで、でも同じくらいたくさんの周りの人の助けを借りながら「心が自由であるために」女の子としての一歩を踏み出すところが、すごくいいなと思った。自分自身の問題とか、個人の能力とか、だけじゃなくて守り合う中で乗り越えてゆく、それって理想っぽく聞こえるけど実はリアルに最短距離でもあるんじゃないだろうか。
Posted by ブクログ
漫画です。ダ・ヴィンチで紹介されてたので買ってみました。タイトルにあるように、舞台は大阪。どこにでもあるようで、それでいてちょっとどこにもないようなお話。人情、というのとも少し違うけれど、読んだから心がほっこりと温まる。そんな漫画。西原理恵子の「かあさん」にちょっとだけ通じるものがあるかな。
よく出来た連作集
表題作は確かに主人公の家庭がハムレットの話に重なる部分もありましたが、結末は割とめでたかったです。
女装したい少年にまつわる話(最後にまた出てきて、海女さんたちも良い)や、年齢を偽って年上の女性と交際している少年の前後編も良いです。
不妊治療の悲喜交々っぽい話なども上手いです。
森下裕美さんの作品、実はちゃんと読んだのは初めてだったかも知れません。
Posted by ブクログ
オンナノコになりたいオトコノコ。
不妊治療にひとり悩む女性。
歳をごまかして、恋愛をするオトコノコ。
みんな、一生懸命。
『少年アシベ』、『COMAGOMA』と愛読。
ただ、この『大阪ハムレット』は私の読んだ2作品と違って4コマ形式ではなく、雰囲気もちょっと違う。
『ぼのぼの』を描いているいがらしみきをさんの『Sink』を読んだ時のように、形式が変わったことによるギャップに”酔う”かも!と不安で、雑誌などで紹介されてどんどん注目されている中、手をつけられずにいた。
(*『Sink』はギャップだけでなく、作品自体が強烈。ネットで公開されている時に全部閲覧していたのですが、毎回ゾォッとしながら読んでいました。非常に怖い!!!)
確かに、『大阪~』には『アシベ』の時のようにキュートで愛らしい、というポイントはないかもしれません。
でも、読み終わった時に、口元が緩んでしまうようなお話。
そして、涙腺も緩んでしまう。
そんでもって、時々笑ってしまう。
”笑い”は『アシベ』とやはり似たようなところがあるかも。
アシベのはつらつ!とにかく明るいところがスキ!というひとにはもしかしたら受け入れにくい作品かもしれませんが、私はOKでした。
けっこう奥深い、確かに良い、この本。
Posted by ブクログ
森下裕美といえば「少年アシベ」で、少年アシベといえばゴマフアザラシのゴマちゃんで、森下裕美はゴマちゃんの漫画家として認識されることが多い。
でもそれは森下裕美の魅力を表していないし、かえって魅力を覆い隠してしまっている。森下裕美の魅力は、市井の人々の生活、日常の悲喜劇を活写することにこそある。嬉しいことも楽しいことも辛いことも醜いこともすべてを引き受けるからこそ、少し意地の悪そうな四頭身のキャラたちがリアリティをもって描かれる。
市井の人々の描くという点、美醜ひっくるめた引き受け方という点において、森下裕美の立ち位置は業田良家に近いかもしれない。最近の業田良家が市井の人々をとりまく社会の制度やシステムに関心を移しているのに対して、森下裕美はどこまでも市井の人々に寄り添い続ける。
そうした意味で、この「大阪ハムレット」は森下裕美の魅力が存分に発揮された代表作だと思う。一話一話読むごとにほんと泣きそうになる。
Posted by ブクログ
大阪で暮らす、クセのある子どもや大人たちの哀歓。なんやけど、適度にええかげんで、おおらかで、すぐ発散するし、わりとなんでも受け入れてまうんで、めちゃくちゃ深刻には(いまんとこ)なってへんとこが大阪らしいんかもね。地元民としてはなんとなく気分はわかるかもしれへんです。
■簡単な単語集
【アイコ】三十歳。子どもができないことに悩んでる。
【久保行雄】→ユキオ
【潤弥】ヒロくんのおばあちゃんが住む島の少年。ヒロくんに一目惚れした?
【波江】伊藤波江。十九歳の海女。潤弥の近所のお姉さん。
【ヒロくん】松田宏基。小学四年にして「女のコになりたい」とカミングアウトした。
【ヒロくんのおかあちゃん】優しい。
【ヒロくんのおばちゃん】故人。アキちゃん。父の妹。ヒロくんが大好きだったおばちゃん。かわいいカッコが好きだった。
【ヒロくんの担任】たぶん福田正宣の兄。
【福田正宣】久保行雄の担任。「りゅうのすけ」というあだ名は吉本さんトコのハムスターに似てるから。
【マーくん】中学生やけど大学生くらいに見える。側溝にハマりそうになったお姉さんを助けてデートすることになった。
【マーコ】松田宏基がシンデレラをすることになった劇で王子様役になった女の子。宝塚の男役になりたくて練習している。
【松田宏基】→ヒロくん
【みっちゃん】アイコの同窓生。
【美濃】松田宏基を応援してくれたクラスメート。
【ユウさん】六年生のボス。ヒロくんのことを「こいつカッコエエやん」と言ってくれた。
【由加さん】マーくんが助けたお姉さん。二十三歳。プライベートでは甘えん坊。
【ユキオ】久保行雄。ヤンチャな中学生。ハムレットやなぁと言われて読み始めた。八重歯あり。
【ユキオのおかあちゃん】父の死後おっちゃんといっしょになった。看護師。スナックでも働いている。
【ユキオのおっちゃん】父の死後おかあちゃんといっしょになった。ユキオは意外になついてる。
【ユキオのお父ちゃん】故人。ユキノリという名前。あだ名は「干しネズミ」。
【善江】アイコの夫の妹。ヨシ君を連れて出戻ってきた。
【ヨシ君】アイコの夫の妹の息子。気を使う優しい子でもだが学校では(たぶん)ヒロくんをいじめた子でもある。
Posted by ブクログ
映画を見たばかりで比較しながら読むと面白い。次男のユキオ君は原作でもいい味です。けど映画のほうがいい。性同一性障害のヒロ君のエピソードでは、映画ではシンデレラの舞台を無理やり感動の場面にもっていってたが原作ではそうした必要がないのであっさりしていて好感だ。
目と目の間が広いヘタウマなタッチは登場人物のエキセントリックなキャラとよくあってゆるい面白い世界が広がっている。
ただまぁあえて入らなくてもいい世界で他に読むものがないときに読む程度ですかね。
『ハムレットなんかグジグジウジウジのただの甘えんぼちゃんやんけ!』
Posted by ブクログ
森下作品の進化は凄い。悪意ギリギリの善意、そして根底には人間に対する大きな愛が、そこにある。大阪を舞台にした様々な男女の悲しくもおかしい生活。
Posted by ブクログ
森下裕美って誰?って思うかもしれないけど、この作品は絶対知ってるでしょう。なんと「ゴマちゃん」を描いた方です!!!
その森下さんが絵柄を変え大阪を舞台にした物語。
おもろーです。