あらすじ
手塚治虫文化賞短編賞+文化庁メディア芸術祭優秀賞ダブル受賞の本作、待望の第3巻! 2008年冬にはめでたく映画化、大好評を博しました。この第3巻も相変わらず喜怒哀楽てんこ盛り。大阪のおっさん、おじょうちゃんらがエエ味出してます。それどころか凄味増量で鳥肌が立つようなエピソードもそこかしこに。とっても満足させてくれる一冊です。
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Posted by ブクログ
すごい暗い話なのに、笑って読める。
いや、嘲るとかそういうんじゃなくて、
「人生って辛いことばっかしやけど、下ばっかり向いてたらアカン。
笑て、上向いて歩いて行こうや」
みたいな、そんな感じ。
全編泣き笑い。
Posted by ブクログ
泣けるなあ、ほんでみんな、したたかや。
忍者博物館で働いているミキは稼いだお金すべてを、困っている人のために使ってしまう善意のかたまりである兄の一也に剥ぎ取られる日々。自分で「聖人」ゆうヤツはなあ、まあえげつないワ。
誰に対してもキツく当たっていた石田充治は倒れ、話すことも動くこともできなくなったが、ユウくんの「演技でええねん」というアドバイスで、コミュニケーションできる機械で他者への感謝や謝罪を伝えるようになったら…。そのとき妻のちよは。ユウくんは大物や。
探偵のおっちゃん行きつけの店のキャバクラ嬢のアリサは幸せな家庭を持ちたいという執念がありおっちゃんはなんとか幸せをつかんでもらいたいと思う。
■簡単な単語集(一巻目から累積)
【アイコ】三十歳。子どもができないことに悩んでる。
【あいの探偵】京都にある探偵事務所。キャバクラ常連の所長はなかなか鋭い。《かかわった人間 幸せにしてやりたい思うんは 人間としての当然の情 それがワシの人間としての芯や それがなかったらワシなんかただのうす汚い中年のおっさんやんか》p.121
【朝子】喫茶店「カトレア」で働き始めた。夫はパチンコ屋勤務のトシ君ということになっているがワケアリなようだ。
【アリサ】キャバクラ嬢。どうやら幸せな家族というものに憧れがあるようで野村あつしと結婚したいと言い出した。《アタシはな運命待ってるわけやない ちょっとでもそば寄ったらつかんだるわ アタシみたいなコは そうせな幸せになれへん》p.144
【岩井】直子を気にかけてくれる教師。
【エリカ】たぶん西谷エリカ。三村バレエ教室の生徒。ハナコ先生の演技を見てゾクッとした。西谷家は一家揃ってハナコ先生に好意的。
【大鳳太一/おおとり・たいち】ユキオを怖がっていない友人。家は美容室の「オードリー」。妹はルミとセイラ。母。もうすぐ父になるかもしれない小料理屋をやってるゆずる。
【石田充治/いしだ・みつはる】麩を作る会社を経営している。ユウの祖父。絶対君主で他者に厳しい。「死ね」と「殺す」しか言わなかった。
【一也】ミキの兄。すべての金を困っている人のために使う困った人。ミキの稼いだ金のすべて、娘のことみの貯金、すべて。
【久保行雄】→ユキオ
【潤弥】ヒロくんのおばあちゃんが住む島の少年。ヒロくんに一目惚れした?
【直子】東直子(あずま・なおこ)。初登場時中学一年生。姉が不倫している。本好きで将来小説家になって大金持ちになるつもり。核シェルターを買って自分だけ入るつもり。岩井に勧められ高校の文芸部見学に行って短歌にハマる。東直子って歌人おるけど関係ないと思う。
【波江】伊藤波江。十九歳の海女。潤弥の近所のお姉さん。
【野村あつし】大工とか左官とかそんな感じ。童顔。母親と同居している。
【のりこ】坂本のりこ。三村バレエ教室の生徒。すみっこでうずくまっているだけ。三村先生《のりこちゃん アタシは アンタとあっしょや》p.48
【ヒロくん】松田宏基。小学四年にして「女のコになりたい」とカミングアウトした。
【ヒロくんのおかあちゃん】優しい。
【ヒロくんのおばちゃん】故人。アキちゃん。父の妹。ヒロくんが大好きだったおばちゃん。かわいいカッコが好きだった。
【ヒロくんの担任】たぶん福田正宣の兄。
【福田正宣】久保行雄の担任。「りゅうのすけ」というあだ名は吉本さんトコのハムスターに似てるから。
【史子】エリカの母。
【マーくん】中学生やけど大学生くらいに見える。側溝にハマりそうになったお姉さんを助けてデートすることになった。
【マーコ】松田宏基がシンデレラをすることになった劇で王子様役になった女の子。宝塚の男役になりたくて練習している。
【松田宏基】→ヒロくん
【ミキ】忍者博物館で働いている。いつもお兄ちゃんの一也に給料を巻き上げられる。ユキチくんと付き合っている。
【みっちゃん】アイコの同窓生。
【充/みつる】ユウ君の従兄弟。小さくて可愛い。石田充治のために身体が動かなくてもコミュニケーションできる機械を持ってきてくれた。
【美濃】松田宏基を応援してくれたクラスメート。
【三村ハナコ】バレエ教室を開いた。母が自分を認めてくれず悩んでいる。
【三村花代】ハナコの母。娘をみとめようとしやい。
【ユウくん】六年生のボス。ヒロくんのことを「こいつカッコエエやん」と言ってくれた。
【由加さん】マーくんが助けたお姉さん。二十三歳。プライベートでは甘えん坊。
【ユキオ】久保行雄。ヤンチャな中学生。乱暴やけど気のええヤツではある。先生にハムレットやなぁと言われて気になって読み始めた。八重歯あり。
【ユキオのおかあちゃん】父の死後おっちゃんといっしょになった。看護師。スナックでも働いている。
【ユキオのおっちゃん】父の死後おかあちゃんといっしょになった。ユキオは意外になついてる。
【ユキオのお父ちゃん】故人。ユキノリという名前。あだ名は「干しネズミ」。
【ユミコ】キャバクラ嬢。子持ち。
【善江】アイコの夫の妹。ヨシ君を連れて出戻ってきた。
【ヨシ君】アイコの夫の妹の息子。気を使う優しい子でもだが学校では(たぶん)ヒロくんをいじめた子でもある。
【よしの】エリカの友だち。父は宇都宮で餃子作りの仕事をしていたが妻に逃げられ叔父のところに転がり込んできた。
【よしののおじいちゃん】正確には父親の叔父。リサイクルショップを経営しているようだ。《子供は毎日幸せにしたらなアカンのに》。
大阪
大阪人情ものって感じです。
短編オムニバスですがこの中では「あいの探偵」が面白かったです。
汚い部分も綺麗な部分もあってこその人間だよなーと思います。
Posted by ブクログ
1,2巻も良かったのだけれど、この3巻がぐっときました。特に最後のお話……。ちょっとやそっとの恵まれない境遇に嘆いている人っていると思うけど(私もかな?)、なにがなんでも幸せをつかんでやるという執念の塊のような女性にあきれつつも頼もしさを感じました。
キャバクラ出身のお嫁さんなんて、旦那側の両親からすればうれしくないですよ? 負い目もすぐに過去のことになって薄れていくでしょう。でも結婚して子供までできてしまえば、こっちのもんよ!って感じなんでしょうね。嫁いびりなんて、絶対に負けなさそう。
このお話、とても気に入りました。
Posted by ブクログ
「あいの探偵」、いいなぁと思いながらも、けっこう、しあわせな人って、負い目のこともすぐに忘れてしまうということもちょっとおもったりした。
ちょっとシリアス入った物語集なのですが、本質的なところは、「ここだけのふたり!」とそんなに変わっていません。
「ここだけのふたり!」の笑いの中にかすかな悪意を感じたように、「大阪ハムレット」ではかすかな悪意の中に優しさを感じたりもします。