あらすじ
第三次世界大戦が勃発し、世界各地で4700個以上の核爆弾が炸裂した。戦争は短期間に終結したが、北半球は濃密な放射能に覆われ、汚染された諸国は次々と死滅していった。かろうじて生き残った合衆国の原潜〈スコーピオン〉は汚染帯を避けてメルボルンに退避してくる。オーストラリアはまだ無事だった。だが放射性物質は徐々に南下し、人類最後の日は刻々と近づいていた。そんななか、一縷の希望がもたらされた。合衆国のシアトルから途切れ途切れのモールス信号が届くのだ。生存者がいるのだろうか? 最後の望みを託され、〈スコーピオン〉は出航する……。読者に感動をもって迫る永遠の名作。/解説=鏡明
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Posted by ブクログ
核戦争後、北半球は壊滅し、南半球にも死の放射能が迫る。オーストラリアに滞在する米潜水艦艦長・タワーズ はすでに失われたはずの家族を心の中で生かし続け、過去に縛られて生きている。彼と出会った モイラは、絶望的な現実を受け入れながら“今”を生きようとする。終末が迫る中、対照的な二人は静かに惹かれ合うが、決して交わりきらないままそれぞれの形で最後の時を迎えていく。450頁超で長かったが、一気読みだった。核戦争のリアルと見えない放射能が迫ってくる中で自分の最期を見つめる。あり得なくもない人間の終末想像だった。⑤
Posted by ブクログ
ドワイトとモイラのあと一歩踏み込めない関係性。
ドワイトの家族はもうとっくにいないことがわかっているが認めたくないという気持ち。
みんなのやるせない思いを抱きながらも、日常を過ごそうとしているのが上手く描かれていた。
合衆国から届いたモールス信号は生存者の出したそれではなかった描写あたりからぐっと本作品に引き込まれていった。
それ以降はもう全員助からないんだなと思い、読み進めるのが辛かった。
章ごとにだんだんと希望は薄くなり、最終章はかなり重たかった。
最後にドワイトがモイラに再度キスしようとして、モイラに拒まれた。
ドワイトはどんな心境で再度キスしようとしたのだろうか?
自分が死にに行くことを決めたから、もう家族はとっくにいないことを認めモイラに情が移ったのか。それともモイラへの気遣いだったのか。
読後感はかなり重めだが自分好みの作品だった。
Posted by ブクログ
某パンジャンドラム界隈で先にお名前を知ってしまっていたので、そうでなくきちんと作品も読んでみようということで読んでみた。いわゆる世界の終末についての作品なのだけれど、作中の誰もが少し先の死よりも、すぐ目の前にある日常のために必死に生きようとしているのが凄く印象的だった。自分だったらどうするんだろう、こんなに落ち着いていられないだろうなと考えてしまう。あとモイラとタワーズの淡い関係が切なくて、でもきちんと線を引いている関係も良いなと思わされた。文章も翻訳によくある難しいものではなく読みやすく、すらすらと読めるのがとてもありがたかった。他の作品も評判がいいみたいだから読んでみたい。
Posted by ブクログ
普遍的な作品
アメリカの潜水艦スコーピオンの艦長タワーズ大佐とオーストラリア在住の女性モイラ。この2人は最後まで一線を越えなかった。タワーズは中盤から、「最後の日は家族が待つ故郷に帰るつもりだ」とたびたび発言するのだが、この状況でタワーズが故郷に帰ることは不可能。家族も亡くなっている。つまり、最後は自決するということを意味している。そしてそれを聞いている周囲の人もそれに対して深い詮索はしないで「そうなんですね」と受け流す。この小説の良さはこんなとこりにある。
ラルフ・スウェインがシアトル近郊で潜水艦スコーピオンから飛び出して、放射能汚染されている自分の故郷に泳ぎたどり着くところも胸にぐっとくるシーンだった。ラルフが「自分はあとどのくらい保ちますか?」という一連のやりとりも良い。
Posted by ブクログ
厚いが読みやすかった。
「自分だけは決して戦いで死ぬことはない」
遠い国で戦争が起こってもどこが人ごとになりやすい。
そんな中放射能はふってくる。
切ないけど、事実はかわらない。
ドワイトとモイラの関係性がもどかしいがそこがよかった。
Posted by ブクログ
世界の終焉を描いているのにここまで穏やかで静かな雰囲気の作品があるとは思わなかったので衝撃を受けた。
出てくるキャラクターもみな(軍人という職業はやや特殊だが)普通でまともな人。フィクションらしくキャラが異常に濃い人間もおらず、ノンフィクションなのではないかと思うほど淡々と日々が描かれる。
だからこそ登場人物全員の気持ちが理解できる。皆死ぬことは決まっているのに信じられない気持ち。そして死が目の前にやってくるギリギリまで自分の仕事をして、日常生活を送る姿は、実際に人間がこういう状況に置かれたらこうなるんじゃないかと納得がいった。
そんな静かなストーリーだからこそ所々にそっと描かれる悲しみや悔しさが際立っていた。
メインとなるタワーズ大佐、モイラ、ピーター・ホームズの3人がとても好きで、もっと長生きすべき人たちなのに…と切なくなってしまった。
戦争をしている国のトップに読んで欲しい。
ストーリーの性質上やや単調なのと船に関する専門用語が多くて少し読みづらかったが良作。⭐︎3.7〜4くらいかな。
Posted by ブクログ
70年前の名作SF。徐々にこの世界観がどんなものかわかってくる。
核戦争が発生して、北半球はすでに壊滅。徐々に放射能が南下してきているオーストリアが舞台。アメリカ所属の潜水艦がでてくるが、本土には生存者はなく、帰る場所を失いながらも軍属の登場人物が規律に倣って生活してるのがなんともいえない。よいしょよいしょに現実逃避している発言は見られるがそれでも冷静に事態に対処している。
自分たちがこの先死ぬことがわかっていながらも、混乱をおこすことなく、落ち着いて日常を過ごす。予想外に静かな世界な終わりを感じた。
Posted by ブクログ
オススメしていただいて読んだ、静かな終末のお話。
北半球の国々が核爆弾を各地に落とし、濃い放射能が漂う世界になってしまった。
そんな北半球と連絡が取れないまま、南半球にあるオーストラリアは懸命に情報収集していく。
そして、確実に世界が終わるとわかってしまう……
人はいつか死ぬとわかっていても、だいたい「そうは言ってもまだまだ先の事だろう」と思うから生きていけるんだと思います。
このお話は、人生を閉じるとき、強制的に閉じさせられる時がわかってしまった。
それでも、少しの暴動や略奪や喧嘩は起こっているみたいだけれど、だいたいの人はやれる事をやったり、先へと続いていく庭を作ったり生きていくためにスキルを身に着けたりと、少しの希望と自棄っぱち、たくさんの諦念で静かに終わっていくのが壮絶でした。
こうなったら仕方ない…と。オーストラリアだけで生き残っても、というのもあったのでしょうか。
モイラとタワーズの関係が好きでした。2人の間にあるのは友情よりもちょっと好意に傾いてると思うけれど、世界が終わりかけているのに人の道は外れないという慎み…素敵です。
タワーズ、哀しかった。
Posted by ブクログ
・あらすじ
第三次世界大戦により北半球は壊滅し、南半球の生き残った人類も数ヶ月後には南下してくる放射性物質によって滅亡することが決定している世界。
アメリカ海軍の潜水艦の艦長であるドワイトはシアトルから届くモールス信号の謎を調査するため北半球を目指すことになる。
カウントダウンが迫るオーストラリアを舞台に、世界の終わりをどのように人々は過ごすのか。
・感想
すごく高潔でお綺麗な作品だったな、という印象。
面白かったんだけど、星4にするには私にはロマンチックすぎたかもしれない。
とくにドワイトとモイラの関係にイライラしたな(ここがメインなのに)
正直、モイラは完全に男に都合の良い女だと感じた。
滅びに向かう世界にあっても信念や倫理観を捨てずに、高潔に生きるかっこいい男と愛を求める女性の精神的な繫りを書いた…のかな?
でも「奥さんに私の事伝えてね、何もやましいことは無いんだから」「ああ、あいつも分かってくれる」みたいな台詞はなんじゃそりゃって思ったw
モイラが死ぬ(多分感動的な)ラストシーンもドワイトの乗る艦をみながら、艦が沈む時間に合わせて「先に行っても私を待ってて」と言いながら死んでて、は?って思っちゃって。
なんだろうなーー高潔な理想に殉じる男の背中をみながら一歩引いて困る我儘は言わず耐えて尽くす女をみるとイラっとするみたいな…?時代だな。
夏への扉もロリコン主人公に対して結構ひどい感想を書いたけども、古典作品にあるこういう都合のいい女性描写とそれに肯定的な描写見ると流石にシラけるかも。(男尊女卑描写はほとんど気にならないんだけど)
面白かったんだけど、SFにあんまりこういうセンチメンタルさというかロマンチックな感じは求めてないので、これはもう完全に私むけでは無い作品だった。
シアトルのモールス信号の謎はそこまで重要じゃなく、あらすじに書かれてある事から予想するよりミステリー要素が主題の作品では無かった。
こういう薬あるの良いよなー私もほしい。
あと50年後にはこういう薬使うのが普通の世界になっててほしい(この感想で締めていのかわかんないけど)