あらすじ
ウイルスさえも生存が許されない地の果て、南極ドーム基地。そこは昭和基地から1000kmかなた、標高3800m、平均気温-57℃、酸素も少なければ太陽も珍しい世界一過酷な場所である。でも、選り抜きの食材と創意工夫の精神、そして何より南極氷より固い仲間同士の絆がたっぷりとあった。第38次越冬隊として8人の仲間と暮した抱腹絶倒の毎日を、詳細に、いい加減に報告する南極日記。
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自粛生活をしてみてから
この本に書かれていた
「生野菜への渇望」が
とてもよく分かります
若いときは 肉とお菓子だけあれば
生きていけると思ってたけどなぁ
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ペンギン友達から貸してもらいました。南極越冬隊の料理人を務めるという希有な体験を、軽妙な文章で読みやすく綴っています。いやホントに面白い。笑える。電車の中で読んでしまって、必死に噴くのをガマン、だけど頬がゆるみっぱなしでした。
題材そのものが興味深いのを、そのままではなく愛情ある視線と独自のスタイルで絶妙な味に仕上げて提供するあたり、さすが本職が料理人! と思います。
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8年ぶりに南極で、それも越冬という過酷な任務に参加することになった筆者。科学者やエンジニアたちを楽しませるため、日々贅沢な素材を使って料理を振る舞う。ウイスキーでさえ凍ってしまう南極のドームでの日々を描く。
映画にもなっていたしなあということで買ってみた。どうやら続編もあるようである。
すべての参加者が何らかのエキスパートであったり、研究者であるはずなのだが、正直なところ全編読んでも、筆者の西村氏が何のエキスパートなのかよくわからなかった。
また、料理人と言うが、全体のエピソードで料理の話は半分足らずというところ。だからといって不満というわけでもなく、南極が我々の想像するレベルのところではないことが、リアルな筆致によって伝わってくるところが醍醐味である。
-35℃で暖かくジンギスカンをやれば湯気が凍っていく。卵や牛乳はあっという間に使い物にならなくなるものの、天然の超低温フリーザーで肉や魚介類は保存が効くなどのエピソードが綴られる。野菜を凍らせられないということだけど、我慢して食べられないものなのかしら。
有名な南極アニメも、かなりこの本をベースに脚本が作られているのだろうというようなところが見られるため、あのアニメを見た人もぜひ一度読んでみるべきだろう。
勢い重視のエッセイのため、主語がないとか、デスマス、ダデアルが一致していなかったり、少々読みにくい部分もあるが、それも醍醐味だ。ただ「二三年」が「にさんねん」なのか「にじゅうさんねん」なのか考え込んでしまう部分も有ったので、そこは要改善というところである。
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第38次南極観測隊ドーム基地越冬隊9人の中で調理担当として過ごした日々のエッセイ。
標高3800m、平均気温-57℃の想像を絶する環境の中で、トラブルあり、笑いあり、ストレスあり、アルコールありの笑って、胸にグッとくる話でした。軽い語り口ですが、その裏にどれだけの苦労があったことか。
どんな時でも、どんな環境でも、食べるって大事だなぁと改めて思えました。そしてそれらを準備し、揃えることの大変さったら、、、。大量の食材を詰め込むところから興味深かったです。
そして、水の調達の大変さと貴重さに驚きました。あんなに雪や氷があっても、極寒の中でそれらを水に変えることは全然別のことなんですね。
それぞれの研究のため、そのサポートのためと集まったエキスパート達ですが、南極で過ごすには、人間力とか生命力みたいなのが必要なんでしょうね。上手く言えないですが。
ちょっと調べてみたら、現在、南極観測隊は第66次隊が活動していて、女性の隊員も、もちろんおられますし、夏隊の隊長は初の女性のようです。
しかも、ドーム基地は雪に埋没して建物の中での生活が危険な状態になったため、通年滞在を中止しているそうです。
昔と状況は変わってそうですが、大変なことには変わりないのでしょうね。
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南極で美味しくご飯を食べるために食材を吟味するところから面白い。こんなこと考えて準備してるんだ!
この本をもとにした映画もゆるくて面白かったけど本も面白いです。
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第38次南極観測隊ドーム基地越冬隊に料理担当として参加した海上保安官さんのユルくてとても面白いエッセイ。
この方は第30次の観測隊にも参加されているので、変なオジサンみたいな態だけど実はスゴイかたなのだと思います。
知識として昭和基地は知っていたけれど、それよりも千キロもの内陸の標高3800メートルの高地にペンギンもアザラシもウイルスさえも生存しない基地があったとは知りませんでした。
今ではコンプライアンス的に難しい表現とされちゃうものもありそうだけど、男だけのムサクルシイ世界というものも必要なもののように思いました。
知らんけど。
とにかく自分が知らない世界だし、文章もとても面白くて一気に読んでしまった。
そして、何か料理を作ってみたくなる本でした。
続編も読もう。
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富士山より高い標高3800m、年平均気温-57℃、酸素も薄い過酷な環境の南極ドーム基地での8人の仲間との一年の暮らしを綴った1冊。
おもしろかった!
そしてラストはしっかりグッときた。
「そんな極寒地で人間って生きられるんだ」という驚きと笑いの1冊でした。
全然笑い事じゃない体験がいっぱいなんだけど、著者の語りが実に軽くて楽しげだから生死に関わる緊迫感が希薄で笑ってしまう。
南極観測隊のみなさん。
研究員と設営(サポート)隊員が派遣されるとのことで、著者は調理担当として海上保安庁から派遣。
著者の数々の料理や観測の様子、遊び心満載の仲間たちとの暮らしぶりが覗けます。
食材は信じられないくらい豪勢だけど、代わりに一年間この生活をするかと問われたら…御免被りたい。
特殊すぎて恐らく本書でしか味わえない体験ばかり。
-36℃で「今日は暖かいな」と感じる南極感覚。
人間の適応能力もすごいけど、彼らの肉体的・精神的タフさに拍手をおくりたい。
あと、知られざる冷凍食品のラインナップにも衝撃を受けました。
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映画「南極料理人」の原作。
おじさん丸出しの文章ではあるが、非常にユーモア溢れると共に、それぞれの登場人物の個性も引き立ち、とても面白かった。
何より、食事風景がとても素敵だった。
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これは面白い。本を読んで笑い転げたのは久々である。
ウイルスさえも生存を許さない極寒の地、南極。第38次越冬隊の男たちの笑い溢れる生活がここに描かれる。
想像を絶するほど過酷な状況だと思うのだが、それを笑いに変換できるメンタルに平伏した。まずこの状況、自分ならば日本に帰してくれと泣いて喚くかもしれない。
それでも男たちは創意工夫と選り抜きの食材、美味しそうな料理でもってその状況を乗り越えるのだ。8人の仲間たちとの抱腹絶倒の日々を皆さんもぜひ。
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いかにもおじさんの文体なので、
苦手な人は苦手でしょう。
でもおじさんって言っても30〜40代くらいなんだよね…
思ったよりレシピ要素は強くなく、
日記的要素が強い。
料理以外のことがたくさん書いてあって、
それはそれで面白いけど、
もう少し料理の話を突っ込んで欲しかったな。
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読み始めてから入り込むまで時間がかかったけど、最後まで読んでよかった。映画でもそうだったけれど、出てくる料理がとにかく美味しそうで、でもそれは体力的にも精神的にも一般人にはとてもじゃないけど耐えられない環境にいる隊員たちに与えられる数少ない癒しや活力のようなものだったんだろうなぁ。極限状態にいるのに、(いるからこそなのか?)屋外でのジンギスカンやソフトボール大会、度々の宴会など、きっと全員超人であろうオジサンたちが楽しく過ごそうとしているのがかわいい。と同時に尊敬する。個人的には福田ドクターのキャラクターが好きでした。
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南極といえば昭和基地。それと白瀬中尉かな。ドームふじ基地は知りませんでした(みずほ基地もあすか基地も)…いつか行ってみたいな、南極。
それにしても環境が過酷。…なはずなんですが、食材の調達や料理、宴会やみもふたもない隊員紹介(笑)が多いので、極地、それも半端ない地の果てでの生活がどういうものか、を垣間見ることができて貴重です。もう、ほぼSF笑、38次ドームふじ越冬隊。
オゾンホールを見つけた日本隊(原因を突き止めたのはアメリカで、その功績によりノーベル賞。ちょっと悔しい…)。現在は62次隊が、そして今年63次隊が11月に出港します。63次隊では第3期ドームふじ氷床深層掘削の新しいシステムを持ってくので、世界最古(80万年前)の更新に期待できますね。掘削したアイスコアから過去の気象を知り、現在の気候変動に対処する手掛かりが得られれば…頑張ってください!
Posted by ブクログ
面白かったです。
著書のおおらかさ、人柄の良さにとても楽しい気分で読むことができました。
想像できないような極寒の地、南極。昼夜の概念がなく、自律神経乱れそう・・・それどころか標高は富士山よりはるかに高く少し作業するだけで酸欠状態になる・・・そんな過酷な状況で1年間過ごす、想像つきません。
著者はそんな過酷な中、隊員のお腹を満たす料理人。
こんな極限状態、毎日の楽しみってお料理ぐらいじゃないでしょうか。
著者は和食・イタリアン・フレンチ等リクエストがあればなんでも作りこなす。
隊員の心の支えになったことは間違いないと思います。
女性陣にも役に立つ“お料理“情報が載っていますので、普段全く料理しないズボラな私も適当にやればなんとかなるんだ!と学ぶことができました(笑)
そして、著者含め、隊員のみなさまのキャラの濃いこと。
何度か「ふふっ」と笑ってしまいました。
公共の場で読む場合はご注意ください。
Posted by ブクログ
ウイルスさえも生存が許されない地の果て、南極ドーム基地。そこは昭和基地から1000kmかなた、標高3800m、平均気温-57℃、酸素も少なければ太陽も珍しい世界一過酷な場所である。
とにかくこんな場所に住む、ということからして想像を超えるんだけど、そこに一年間も滞在し、料理するとは!
まず設定からもう既に持って行かれ、更に軽妙な文体にまた持って行かれ、気がつけば一気読みしてしまっていた。
さすがにここまでの極地ともなると命に関わる危険とも隣り合わせ、満足にお風呂にも入れず、精神的にも肉体的にも限界ギリギリの生活のはず、なのに筆者の文体はあくまでお気楽、のほほんとした軽妙な筆運び。
この本の魅力としては色々挙げられるが、印象に残ったのは次の通り。
個性豊かな人間模様。特にドックにぐいぐい惹きつけられる。
観測隊のいろいろ。選ばれるまでの経過、それぞれの役割、研究内容など。
南極のいろいろ。寒さへの対策やそれぞれの基地、オーロラやペンギンのことなど。
生活のいろいろ。お風呂は?電話は?休暇は?自室は?などなど。
上記と一部被るけど、料理のいろいろ。南極では何が食べられるの?どんな食材が手に入るの?どれくらい食材を持っていくの?どうやって調達するの?どんなメニューを作るの?またそのレシピは?
といった具合に興味を掻き立てられるネタが尽きず、どの角度から読んでも面白かった。
しかしながら、個人的な愚痴や批判もところどころ漏れ出ていて、私はあんまり見たくなかったかな〜。
というか、その方の処遇やその方との関係性に悪影響がないかが心配になった。
そして著者本人も時効とはいえ色々カミングアウトしちゃってるのでちょっと心配。
南極観測隊の予算が減らされたり、税金の無駄遣いだと批判を浴びないことを願うばかり。
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以前、映画化された時に1度読んでいた。今回、久しぶりに映画を見たので、本も久しぶりに読みたくなって読み始めた。
ゲラゲラ笑うことはないけど、クスっと笑える本。
南極越冬隊と言えば昭和基地のイメージが強いけれど、それよりもさらに過酷なドーム基地。想像もできない過酷な土地で黙々と日々をこなす隊員たち。
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映画やドラマにもなった南極料理人の西村淳さんのエッセイ。何がびっくりしたかといえば、文庫化の解説が、大好きな作家の佐々木譲氏である!佐々木譲さんの解説がまた分かりやすく面白い。知り合い(故人)に設営部門での南極越冬経験者がいるけど、まさに佐々木譲さんの言うような精神的にタフな人だった。亡き知人を思い出しながら読む南極生活楽しいです、面白いです、お腹が空きます(笑)でも、どんなに高級食材食べれても(しかもタダ)絶対こんな場所で一年も生き残れない!南極とは人を選ぶ地である。
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南極での、それも昭和基地よりも過酷なドーム基地での越冬(1年間!)の記録。一見コミカルに書かれているけど実際ものすごく過酷なことだろう。
なんで毎晩毎晩豪華なディナーなのかと最初は思っていたけど、他の娯楽がない場所では食は唯一のエンターテイメントだろうし、「解説」にもあったけど9人が円満に過ごしていくのに食事の場というのが肝になっていくんだろうな。
出張先の打ち合わせでどんなにいがみあっても一緒にディナーを囲めば雰囲気が和らいだり、喧嘩していてもお腹いっぱいになれば急にどうでもよくなってきたりってあるもんな。
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この本を原作とした映画を観たので、原作の方も読んでみました。
個人的には映画より原作の方が面白いと思います。
南極の寒さが厳しいのは当然ですが、著者にとって2回目の越冬隊として過ごしたドームふじ基地(つまりは本書の主な舞台)は、日本の南極観測基地の中でも特に寒さが厳しく、それゆえの苦労について、面白おかしく書かれています。
また、ドームふじ基地では、家族以上の濃厚な人間関係を構築せざるを得ないのですが、その様子は「自分には耐えられそうにない」と思いながら読み進めました。
ちなみに、南極観測基地には、基本的には娯楽はないわけで、そうなると、最大の楽しみは「食」にならざるを得ないと思うのですが、そこを考慮してか、南極観測基地には、豪華な食材がたくさん持ち込まれていたのですね(この本の舞台は、今から20年ほど前)。
もし、現在、リアルタイムで、豪華な食材を使った南極観測基地での料理の内容が発信されたら、「税金の無駄遣い!」とか言う人がネット上にたくさんいそうな気がします。
そんなわけで、20年ほど前は、様々な苦労や環境に対して、まだまだ気遣いできる時代だったのかもしれない、などと思った一冊でもありました。
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標高3800m,平均気温-57℃、昭和基地から1000km離れた南極ドーム基地。
そんな過酷な条件下で一年間の生活を過ごす南極越冬隊の珍日記。
極限状態で男達5人が、学術的観測をしながらも日々を楽しく過ごすオッサン達の様子が克明に綴られる。
読み物として面白いのは間違いないが、南極越冬隊の暮らしぶりが事細かに知れるので、ぜひ読むことをお勧めしたい。
食生活に関しては恐ろしく豪勢な料理を食べいてあるようである。
しかし、一年間も下界と隔離され、たった9人で毎日を暮らすとなると、そのストレスは想像を絶する。
そんな中で、詳細に記された料理のレパートリーはプロ顔負けの品々だ。
食というものが、どれ程に重要なのかがひしと伝わる。
未読の方はぜひ、ご一読されたし。
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普通に生きていたら出会えないような
楽しくて愉快で豪快でちょっとむさ苦しい(笑)
オジサンたちに会える本
オジサンたちに本の中に会いに行くのが
密かな楽しみになっていた
それくらい世界観に引き込まれる
南極観測隊のことを知れるという意味でも
本を通して貴重な体験?ができる一冊
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再読
テレ東でドラマを放映していたので本棚から引っ張り出して再読。
ドラマは7人、実際は9人。
ドラマみたいにハチャメチャではない。
しかし、平均気温マイナス50℃、ウイルスさえ存在しない環境で、好例が外でのジンギスカンというのが、さすが北海道人といったところか。
有名な昭和基地から1,000kmも内陸に入り、標高も3,800mという環境での料理や生活はすごい経験だと思う。
1,000kmといったら、東京から札幌までの直線距離。
何かあってもすぐには行き来できない。
現在は越冬はしていないとのことだが、過去この基地で科学の進歩に貢献した人を称賛する。
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映画南極料理人、ドラマ面白南極料理人を見た後に読んだので、新鮮味はなかった。双方に出てくるドーム基地の個性あふれるメンバーが実在するのが驚く。
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映画とドラマが良かったので、原作も読んでみた。
果たして映画とドラマ、どちらが原作に近いのだろうと期待いっぱい!
当たり前だが、映像化された作品にはストーリーがあるが、原作は一年を通して大きな流れはあるもののひとつひとつのエピソードという感じで、急に話が飛んだり場面や人物が把握できないこともあった。
文章も小説家が書いたものと違い読みにくいところもあったが、それを補ってリアルな南極生活を知れたことはあまりある。
映像ではイマイチ何をしているのかよくわからなかった気球を上げることや観測の様子も理解出来たし、それぞれの仕事やその目的もわかりやすかった。
一番驚いたのはドックのはちゃめちゃな元気っぷりが本当のことだったことだ。
超人の域で身体も精神も強い。
全ての医者がそうではないだろうが、人の生死を左右する仕事を続けている人は並の人とは基本が違うのだと感心した。
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今、ドラマ面白南極料理人を見ている最中で、本を読んでみる気になりました。昭和基地から内陸に一千キロも入った高地、標高三千八百メートル。富士山より高い場所に小さなドームを設置した基地で男9人だけで1年を過ごす。気温はマイナス80度、半年の間は昼がなくなる。
精神のタフさと「いい加減さ」がないと、できるものではないと思いました。ドラマで面白おかしく描かれているエピソードの写真を見ると思った以上に男臭い。雰囲気が悪くならないように過ごす為に、ひとりひとりの誕生日、季節ごとのイベント。宴会を楽しくする為に限られた材料で工夫をして楽しく過ごせるようにガス抜きをする。
普段、思いやりとか雰囲気を察するって事に鈍感になっている私にとって良い刺激になった本でした。
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抱腹絶倒極寒南極グルメ日記。
ウイルスさえも生存を許されない極寒のドーム基地で、料理人として生活する日々を描いた日記。極限の閉ざされた環境の中で人はどう生きるのだろう。高尚な哲学や人生論ではなく、適度に緩く、たまにシモく、欲望には忠実で、だからこそリアルな南極の日々が描かれている。
堅物の大人が読んだら眉をしかめるだろうけど、意外とこういう赤裸々な体験談が、越冬隊への夢を膨らませるのではないか。
解説で指摘されていた著者が越冬隊に選抜された理由の推測が興味深い。著者は巡視船勤務の海上保安官で「狭い男の職場」に慣れた人である。メンバーに苦言を呈したことも書かれていたが、確かに彼の言動は(私が思う)「狭い男の職場」ではルール違反だ。
ここで描かれた第38次越冬隊から20年が経過している。さすがに女性も進出しただろう。通信環境も冷凍技術も防寒対策も進化しただろう。今の越冬隊について知りたくなった。
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男、男、男。
男まみれの本である。
山極寿一先生のゴリラ関係の本(中にオスゴリラだけで構成された群れの話が出てくる)、映画『御法度』(大島渚監督作品)、箱根駅伝の「男だろ」問題、森前会長の失言を巡るドタバタ。いろーんな男社会のうんじゃらもんじゃらが頭の中で煮込まれている私が読むと、まぁ、この本、令和の世では出版に漕ぎ着けるのは難しいだろうなぁ、と思えてしまう。井上ひさしさんの『四捨五入殺人事件』や『吉里吉里人』を読んだ時も同じことを思った。
軽妙洒脱な語り口と美味しそうな料理の話に引っ張られて、するーんと最後まで読んでしまうのだけど、やっぱりこの世界、というか空気感、女性を「銃後の守り」に設定してそれを疑わない価値観が広く共有されてないと成立しないと思う。いわゆる旧制中学バンカラ校卒の私には懐かしい空気感(体育祭の後夜祭は女人禁制、応援団幹部に女子はなれない、男子だけが踊る踊りがある、などなど。theホモソーシャルの世界)の漂う本だったけど、今の高校生はこれ読んでどう思うんだろう?