あらすじ
「深沢さんはアクマのようにすてきな人でした」。斬り捨てられる恐怖と背中合わせの、甘美でひりひりした関係を通して、稀有な作家の素顔を描く。
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Posted by ブクログ
アウトローとはいかないまでも、アウトサイダー的な生き方をする文人に強く惹かれるのが嵐山。
ラブミー牧場に深沢七郎を初めて訪ねたのは1966年、嵐山24歳の時、深沢は52歳。深沢に心酔し、「オヤカタ」と呼ぶようになり、招集がかかれば駆けつけ、行動をともにするようになった。
しかし、このオヤカタはかなりヘソ曲がり。人の好き嫌いも激しい。それまで親しかった者を、理由も言わずに斬り捨てる。晩年にはそれがひどくなる。1985年、嵐山にもついにその時がやってきた。しかし、なにが悪かったのか。思い当たる節はいろいろあれど、なにが決定的にお気に召さなかったのか、それがわからない。
真夜中に急に思い立って、タクシーを飛ばして親方の家まで行き、「オヤカタのバカヤロー」と叫んで引き返すシーンが印象に残る。
嵐山が親しかったもうひとりのアウトサイダー、『漂流怪人・きだみのる』と比べて読むのも一興。
Posted by ブクログ
誰かに対して心酔して師事することがあまりなく、描かれていた関係性が楽しそうで、羨ましかった。深沢七郎が魅力的だった。作品も面白そうだ。
解説がたっぷりあって、ますます深沢七郎が気になったし、僕の表現もその影響下にあることを強く感じた。先日読んだ、尾辻克彦『肌ざわり』もモロに影響されているようだ。
また、僕も急に人に対して嫌気がさして一方的に絶交してしまうことがあった。若いころのことで、ある時反省して、自分から人を排除するようなことは絶対にしないことにした。なにしろ失礼だし、相手を傷つける。そんな苦いことを思い出した。