【感想・ネタバレ】日本語の発音はどう変わってきたか 「てふてふ」から「ちょうちょう」へ、音声史の旅のレビュー

あらすじ

問題「母とは二度会ったが父とは一度も会わないもの、なーんだ?」(答・くちびる)。この室町時代のなぞなぞから、当時「ハハ」は「ファファ」のように発音されていたことがわかる。では日本語の発音はどのように変化してきたのか。奈良時代には母音が8つあった? 「行」を「コウ」と読んだり「ギョウ」と読んだり、なぜ漢字には複数の音読みがあるのか? 和歌の字余りからわかる古代語の真実とは? 千三百年に及ぶ音声の歴史を辿る。

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

このページにはネタバレを含むレビューが表示されています

Posted by ブクログ

ネタバレ

「発音の変遷」というよりも「音と文字の不一致がどのようにして生まれてきたか」という観点でとてもおもしろく読めた。
文字(漢字)が伝わる前にも日本語は存在していたが、漢字が伝わったことで音に相当する漢字を割り当てるようになった。それが万葉仮名としてある程度整理される。その段階では、同じ「い」の音でも排他的に2グループの漢字群が割り当てられていて、「い」の発音にも2種類あったことが分かる。そんな漢字で当時の母音は8種類あったことが分かった。
しかし音声は変わっていく。音節の少ない原始的な日本語が、より複雑な節や語を含む言語に発展していくにつれて、微妙な音の違いで意味を区別する必要が薄れていく。すると発音は手を抜く方向に変化していき、母音は今と同じ5つに集約されていく。pで発音された「は」行もより楽なΦ(歯は使わず、唇を合わせるだけのfのような音)に変わっていく。
鎌倉時代にはすでに平安時代の和歌がまともに読めなくなっていて、藤原定家がそれを体系的に整理して読めるようにした。これが今に伝わるいわゆる古典の原型になっている。
漢語は外国語としてそのまま日本語に吸収される。現代において英語がカタカナで日本語に吸収されるのとまさに同じように。漢語が伝わった年代によって、中国の政治的中心が異なるため、同じ漢字でも発音が異なる。だから漢字の音読みは複数あることが多い。また中国語の発音そのままでなく、日本語が持つ音体系の中から発音が割り当てられる。これも現代そのまま。
さらに契沖、本居宣長らが現代の五十音を整理する。

実は書いてある内容はかなり専門的であり、正しく理解できている自信がない箇所が結構ある。なので上記はかなり雑なまとめであり、間違いもあるかもしれない。
でもとにかく日本語という言語が1000年以上も前に成り立っていて、それが大きく形を変えることなく綿々と伝わってきているということがとても実感できた。

0
2024年01月02日

Posted by ブクログ

ネタバレ

 「国語」学の教科書のような新書。
 良い意味で、とても懐かしい一冊だった。
 今の大学生は、こういう手堅い入門書を楽しく読めるのだろうか。

0
2023年03月26日

「学術・語学」ランキング