あらすじ
【デジタル着色によるフルカラー版!】デッカい男のせいで、辺り一帯がメチャクチャ! 「主のもとへ」って、死柄木? ……ダメ! こいつが街に降りたら、ひとたまりもない! 雄英生も危険じゃない! 蛇腔病院側で何が!? い・い・か・ら、止まれぇぇええええ!! “Plus Ultra”!!
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Posted by ブクログ
JUMPの漫画を今まで読んできて、ここまでライバル同士の分り合いを丁寧に描いていた漫画はあるか?と思った。自分が腐女子であることを差し引いても、かっちゃんとデクのここまでの道のりは、作者の人間関係を構築する真摯な姿勢を表したものだと思う。
JUMPの漫画では、君たちほんとに15歳?16歳?って思うほどに達観した子達が出てくることがある。だからだろうか、
•デクがヒーローを目指しているのに体を鍛えていなかったこと(憧れるているけれど絶対にヒーローなれないと分かっている状況で、子供がそれでも絶対になるって決意を抱いて身体だけストイックに鍛えられるだろうか?)。
•かっちゃんが小さい頃からなんでも当たり前に出来て人の上に立っていることに意味を見出していたから、ヒーローとしての真の素質をもったデクの存在が許せなくて理解出来なくて虐めたこと(自分にとって異質な存在を排除しようとするのは子供が純粋に行ってしまう)
•この関係性を保ったまま高校生になっていること
これらについて読み始めた当初はかなり居心地が悪く感じた。(かっちゃんがいじめっ子側なのにすぐに泣いてしまうのも結構驚いた)
けれども巻を追うごとに、そうか彼らはまだ思春期の発展途上な子供で、ヒーローとしての成長と精神面での成長を丁寧に描くつもりなんだなと理解した。そこからは本当に面白い。
(NARUTOのサスケとナルトもライバル同士の分り合いが最終テーマだったと思うが、相手に惹かれていることを自分で理解しつつも反発していた。この『自分の感情を理解出来てる』というところが大人びているなと感じるし、ナルトみたいに構ってほしくてあそこまでやんちゃをするのはこれはこれで突き抜けてるので、普通はここまで行けるかな?とも思う。デクとかっちゃんはその辺にいそうな、ある意味普遍的な子供達じゃないだろうか。いや、ナルトとサスケの最後の喧嘩は涙なしには読めなかったけども。)
かっちゃんが、デクvsかっちゃんを乗り越えて、自分の気持ちを理解するだけではなく、デクのいいところ(助けるというヒーロー性)を見習って更に強くなろうとする。デクの危うさに気づいて戦闘面でフォローしようとする(贖罪も兼ねて訓練に協力する)。その積み重ねが、彼のオリジンであるオールマイト(勝って助ける最高のヒーロー)が言う、『身体が勝手に動いていた』を体現する行動、つまりデクを身を挺して庇うシーンに繋がった…1人の少年の心の成長を描ききったんじゃないだろうか。
他にも切島君と芦戸さんのトラウマと克服、やおももちゃんの自己肯定、相澤先生の合理的決断、ミッナイ先生の心意気…今回の巻は登場人物の人間性として貼り続けた伏線を見事に回収していった。
ここから先の本誌をチラ見する限り、ここからはデクの人間性やエンデヴァーの葛藤が描かれるようだけれど、本当に読み応えのある漫画だ。
個人的にはエンデヴァーがヒーローとしてNo.1を追い続けた結果、家族にしてしまったことにどう向き合うのかが物凄く興味深い。彼が子供にしたことは、いち母親として許容出来る内容ではないので、その部分ではもっと断罪されるべきだと思うけれど、彼がその罪をどう乗り越えて贖うのか。
興味が尽きない。