あらすじ
2022年7月8日、選挙演説中に凶弾に撃たれ、非業の死を遂げた安倍晋三元首相の肉声。なぜ、憲政史上最長の政権は実現したのか。一次政権のあっけない崩壊の後に確信したこと、米中露との駆け引き、政権を倒しに来る霞が関、党内外の反対勢力との暗闘……。乱高下する支持率と対峙し、孤独な戦いの中で、逆風を恐れず、解散して勝負に出る。この繰り返しで形勢を逆転し、回し続けた舞台裏のすべてを自ら総括した歴史的資料。
オバマ、トランプ、プーチン、習近平、メルケルら各国要人との秘話も載録。
あまりに機微に触れる――として一度は安倍元首相が刊行を見送った36時間にわたる未公開インタビューの全記録。
感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
ただただ、涙・・・。
2023年7月読了。
出版されて直ぐに買ったのに、どうしても手が伸びなかった一冊。
先日、「元番記者」を自称する元NHK解説委員の方の『実録…』とやらを読み、「それでは本人自身のお話を伺いましょう」と決意し、本を開いた。
読み始めて直ぐに、あの懐かしい舌っ足らずで、幾分セカセカと話す口調の、故人の声が聞こえてきて、一気に読了した。
まるで安倍さんが目の前で喋っているのを聞いているようだった。
「回顧録」として読むには幾分生々しい話題が多く、「もう済んだ事」として受け止められない部分は有るが、もう二度と話を聞く事の出来ない人の語りだと考えれば、より多くの善男善女に読んでほしい一冊だと、強く感じた。そして、総理大臣と云う、孤独とプレッシャーに絶えず晒され続ける激務を、病と戦いながら二度も務めた故人の「政治家としての執念」、そして勝ち得た輝かしい功績を思い、改めて涙が溢れた。
先に上げた「元番記者」の著書によれば、当時、故人が公にあれだけ強く否定していた「三回目の登板」も、実は視野に入っていたとのこと。
かえすがえすも、この国にとって「多大な損失」だと痛感すると同時に、今なお「神格化を許すな」「明かされていない闇は多い」等と、
故人に石を投げる事を止めない「人として許しがたい」偏った人々に対して、心から憤怒の念を禁じ得ない。
「死んだ孔明にいつまでも振り回されて、遠吠えを続けていろ」と、心から不快に思う。
この本を「今年の一冊」に選ぶことは出来ないが、故人を偲ぶ意味で、「死ぬまで手元に置いておく一冊」が出来たと感じた。
安倍さん、ありがとうございました。あなたの事は忘れないよ!!!