あらすじ
ブレない人、正しい人と言われたい、他人に認められたい……集団の中で、人は常に承認欲求と無縁ではいられない。ともすれば無意識の情動に流され、あいまいで不安な状態を嫌う脳の仕組みは、深淵にして実にやっかいなのだ――自身の人生と脳科学の知見を通して、現代社会の病理と私たち人間の脳に備わる深い闇を鮮やかに解き明かす。五年にわたる思索のエッセンスを一冊に凝縮した、衝撃の人間論!
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Posted by ブクログ
・こう変わってくれたらいいのに、ともしも誰かに対して思ったとしたら、その時点でもうその人のことを強要してはいないのだ。変わったあとのその人はもう、今見ているその人ではない
・内側前頭前皮質では、倫理的に正しい行動を取れば、活性化され、快楽が得られる仕組みになっている。この良心の領域では、自分だけでなく、他人に対する正しさまで求める。正義の鉄槌を寄って集って、奮いたがる。
・規範意識が高いところほど、いじめが発生しやすい。
・未来を考える力がある人の方が裕福になる確率が高い。一方で未来のネガティブな予測にも苦痛感じなければならい。苦痛になるくらいなら、と思う人が多いようだ。現に人類のうち、土地を蓄積していない人が大半なのだから
Posted by ブクログ
テレビで有名な脳科学者の方のエッセイ。
第6章の「やっかいな私」は、著者自身の過去を告白する内容でとても面白かった。ここに、孤独願望を強化する働きをもつホルモンは、男性ホルモンのテストステロンで、この値が高いと他人から干渉されずに一人で過ごす事を好むようになる、とあり自分に当てはまるようであった。
逆に女性は基本的に寂しく、常に誰かがいる事で安心する傾向がある。安心感をもたらすセロトニンの合成能力は男性の3分の2程度らしい。女性が感じる寂しさの肌感は独特で、理由の分からない漠然とした不安や哀情が浮かび、誰か他にやり取りできる人がいさえすれば、一時的に抑えることができるとある。そこで手近な夫などにぶつけてみても、理解されず相手にされないことが多く、それが主婦の目立った不満として集約されるらしい。勉強になった。
ちなみに男性は、銃を手にするだけで唾液中のテストステロン濃度が100倍にも上昇するらしい。他にも筋トレや闘争状態、不倫などのステディでない相手との性行動、高級スポーツカーに乗る事でも分泌が促される。
男女ともホルモンに振り回されている感があるが、それも進化の過程で身に付けた性質の名残が断片化されたものだとあり、諦めるしかない。