【感想・ネタバレ】コイコワレのレビュー

あらすじ

大戦末期。東京から宮城の田舎へ集団疎開した浜野清子は、そこで那須野リツと出会った。対立する「海」と「山」の呪縛か、無意識に忌み嫌い合うふたりの少女。だが、戦争という巨大で最悪の対立世界は、彼女たちから、大切な存在を奪ってゆく……。宿命に抗いはじめた少女たちが願う、美しき未来とは――。
特別書き下ろし短篇収録。〈解説〉瀧井朝世

【電子版巻末に特典QRコード付き。〈螺旋プロジェクト〉全8作品の試し読みを読むことができます】

※〈螺旋プロジェクト〉とは――
「共通ルールを決めて、原始から未来までの歴史物語をみんなでいっせいに書きませんか?」伊坂幸太郎の呼びかけで始まった8作家朝井リョウ、伊坂幸太郎、大森兄弟、薬丸岳、吉田篤弘、天野純希、乾ルカ、澤田瞳子による前代未聞の競作企画

〈螺旋〉作品一覧
朝井リョウ『死にがいを求めて生きているの』(本作)
天野純希『もののふの国』
伊坂幸太郎『シーソーモンスター』
乾ルカ『コイコワレ』
大森兄弟『ウナノハテノガタ』
澤田瞳子『月人壮士』
薬丸岳『蒼色の大地』
吉田篤弘『天使も怪物も眠る夜』

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ

戦争の中での少女の精神的な成長が非常に丁寧、繊細に描かれている。
海族と山族その対立の中で相手を思う心、与える心が厳しい現実の中で少女にのしかかる。
その中でお互いに苦しい、嫌な相手のことも受け入れ飲み込みそれでもなお接する心。

内容に入り込んでしまって最後には涙が止まらなかった。
愛、優しさを受け取る側から与える側へ。何かを貰えるか、してもらえるからではなく単純に相手を思う心。それが子どもから大人になっていく、そんな気持ちがした。

0
2025年09月13日

Posted by ブクログ

螺旋プロジェクト8作目
東京から疎開した清子と田舎の寺に住むリツはひと目見る前から突き刺さるお互いの存在を感じた
交わってはいけない海族と山族の邂逅は何をもたらすのか
個人的に本作が一番テーマにドンピシャだった気がする
足掛け3年かかって読破した

0
2025年04月21日

Posted by ブクログ

螺旋プロジェクト、昭和編。
戦時中、疎開地で出会った東京と田舎の少女が海族山族の嫌悪にもがきながら生きる物語。

文章力、表現力がすごい。舞台は疎開地であって戦地は直接描かれないのに、時代の残酷さが実感をもって迫ってくる。
その中にあって嫌い合う少女たちの心理描写が何よりお見事。そして、そういう子に遭ってしまったときに、どう向き合うべきかを教えてくれる。そこは昭和も現代も変わらない、今を生きる子にも大切な教訓と思えた。

ひとつひとつの要素も効果的。母親、疎開地の少年、見守る老爺、御守りの力。ラストの余韻、幾重にも込められたタイトルの意味まで、全てがつながって血が通っている。すばらしかった!

読み終えて、本を持つ手にまで熱が残るような一冊だったなあ…と、余韻を噛み締めながらふと思い出したのが、同時代に、同じように少女として生きていた「窓際のトットちゃん」。そして、「海のものと山のものをお弁当箱に入れること」と説いたトモエ学園の校長先生。
争うことなく海山をひとつに収める人が…いた…!こんなところに!笑

あと、表紙の美しさが印象的。読みながら何度も手を止めてめくり返してしまうくらい好きな絵でした。

0
2025年02月07日

Posted by ブクログ

〈螺旋プロジェクト〉の一冊と知らずに読み始めました。明治後期〜昭和初期の話が個人的に好きなので、今回の設定もとても楽しかったです。

自分では環境を選べず、しんどいなかでもどうやって生きていくかを主人公のお母様の言葉から学びました!

後半にかけて主人公が自分なりに変わろうとし、行動に移す姿が印象的でした。次は、『蒼色の大地』を読んでみようと思います。

0
2024年01月28日

Posted by ブクログ

海と山で始まりやっぱり海と山で終わるんだ。何か経緯とか歴史が出るのかと身構えたが、それはもう理屈じゃない大昔からあるもの そういう事なんだって事。お互いが嫌悪感に気付きそこにいるのが分かる理解したって凄い でもあってもいい筈。どれもこれも不思議だけど、老木を見つけて掘るのと光のと邪念で割れるのと興味大、清子母が亡くなったのが残念 電車に乗らず命を守るリツと教師になって会いに行く清子 あー良い話だな ちゃんとしてるな 不思議だけで終わらせないなあーって乾ルカさんの守備範囲の広さ。順番付けれんけど、心音 花が咲くとき あの日に帰りたい メグル
わたしの忘れ物 明日の僕に風が吹く 良い凄くいい みんな違うから、思えばてふてふ荘へようこそがスタートだったがよくも見つけて貰えた。

0
2023年11月19日

購入済み

読後、タイトルにハッとした

螺旋プロジェクト7作目。
乾ルカの作品は初めてだったが、とにかく文体や表現方法が綺麗、と言うより最早“美しい”といった印象。ストーリーも然る事ながら、まず描写力に感銘を受けた。特に重要な人物の台詞は訛りが激つよの言い回しだが、何故だか読み易くスッと入ってくるのは、著者が言葉の響きや一文字一文字にかなり気を遣って言葉選びをしているからなのだろうと思う。
それに話の大筋から細かな部分にまで、螺旋プロジェクトのルールが巧みに落とし込まれていて、というかむしろ、一瞬その企画性みたいな部分を忘れさせる程の馴染ませ方が凄まじいと感じるほどだった。
現在、螺旋プロジェクトを通して読んでいる中で、TOP1、2くらいに刺さった。
このシリーズの他作品との間で伏線回収がなされる感じが読んでいて気持ち良かった。
著者の他作品も読んでみたいと思った。

請う者と請われる者。

#切ない #深い

0
2023年04月18日

Posted by ブクログ

・螺旋プロジェクトの1冊
・プロジェクトの8冊の中で、もしかしたら一番好きな作品だったかもしれない
・主人公とリツの、都会と田舎の、対立とも、ある意味でシンクロとも言える関係性が、緊張感もあるし、くすぐったさもあるし、そんな二人の成長の過程に引き込まれていった
・そもそもストーリーのベースとして、螺旋プロジェクトの海のものと山のものの対立構造な設定が、無理なくとっても上手に活用されていて、過去時代作品からのつながりも自然に取り込まれていて、そこにも感銘を受けた
・運命と、葛藤と、成長と、すべてが重なったラストに思いをはせずにはいられない、心に残る作品でした

0
2025年10月19日

Posted by ブクログ


戦時中のお話ってのを抜いても楽しい内容ではないけど、読みやすく分かりやすく面白かった。
フラグも分かりやすい()

0
2025年08月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

目次
・コイコワレ
・九月、急行はつかり車内にて

〈螺旋プロジェクト〉の一冊。

〈螺旋プロジェクト〉とは
「共通のルールを決めて、原始から未来までの歴史物語をみんなでいっせいに書きませんか?」伊坂幸太郎の呼びかけで始まった8作家=朝井リョウ、伊坂幸太郎、大森兄弟、薬丸岳、吉田篤弘、天野純希、乾ルカ、澤田瞳子による前代未聞の競作企画である。
ルール1 「海族」vs.「山族」の対立を描く
ルール2 共通のキャラクターを登場させる
ルール3 共通シーンや象徴モチーフを出す
(中央公論新社HPより)

乾ルカなので、きっと最後の最後でどんでん返しがあって、もう一度最初から読み直さなくてはならなくなるのだろう、と思いながら読んでいた。
けれど、読みながら予想する先の展開は、ほとんどそのとおりになり、多分あーなってこーなって、で、どうなるの?の最後のどんでん返しがなかったことが、最大の衝撃だったかもしれない。
もちろん、最後にもちゃんと驚きの展開はあるけれども。

理屈ではなく、もっと本能に近いところで湧き上がる、嫌悪や憎悪。
東京から疎開してきた清子も、疎開先の村にいたリツも、周囲の人たちからいじめられていたけれど、これほどの憎悪を感じる相手は今までいなかった。
理屈ではないので、嫌うことを止めることはできない。
けれど、それを律することを学べ。
二人はそれぞれ信頼する大人から、そう言われる。

大切な人、大好きな人と別れる、失う。
大きな痛みを抱えたからこそ、相手の気持ちを慮ることができた。
決して好きにはなれなくても。

「嫌いだという感情をただぶつけるのは、お腹が空いたから泣く赤ん坊と同じ。憎しみを抱いても、争わないでいることはできるはずです。」
清子の母も、世間の冷たい目に晒されながら生きてきたが、それでも清子にそう伝える。
命を繋いでいくときに、争いは繋がずにすむように。

途中、清子が夢見た未来に唐突に出てくる「みやこ」という名前。
カタツムリをモチーフにした怪物のイメージ。
そうか、こういう形で世界がつながっていくのか。

書き下ろしの短編は、『コイコワレ』の後日譚であり、作者の別なシリーズのスピンオフでもあるようだ。
後日譚としては必ずしも必要と思わないけれど、その後を知りたい人もいるだろうから、サービスとして受け入れます。

0
2025年07月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

浜野清子
母と二人暮らし。東京から宮城県の寺「高原寺」へ集団疎開する。六年生。

清子の母

清子の父
食堂を営んでいた。蕎麦粉を買い付けに行った帰り、事故で死亡した。

今谷源助
山男、山翁。山中に一人で棲んでいる。

那須野リツ
五年生。とがった耳が特徴。山犬と言われる。清子と仲が悪い

那須野健次郎
炭焼きの爺つぁんが拾った捨て子。高原寺の養子として育つ。

和夫
リツの同級生。五年生。

三郎
リツの同級生。五年生。

タマ
住職の母。

住職
四十路。

金井
清子の疎開に付き添う先生。

サト
住職の妻。

ハナエ
清子の同級生。

松田雄介
召集令状で出征することになった青年。

信行
住職の息子。

晃由
住職の息子。

節子

コウ



0
2025年05月29日

Posted by ブクログ

文章が好き ◯
作品全体の雰囲気が好き ◯
内容結末に納得がいった ◯
また読みたい
その他◯

螺旋プロジェクト。
二人の少女の心理戦というべきか。
なぜか憎み合い、決して心通わせることのない二人の物語。
読み応えありました。

0
2024年12月13日

Posted by ブクログ

螺旋プロジェクト6冊目。
「コイコワレ」というタイトルの意味が分からないまま読み始めた。読み終えると、このカタカナの5文字の意味が分かった気がした(正解は分からないけれど)。私もどうしても好きになれない人はいたことがある。でも気になって不器用にお互いが近づこうとしたこともあった。でも結局本当に理解できない理由で去っていった。憎い相手にほど親切にしなさいという清子の母の教えは普段「全員に好かれる必要はないよ」と娘に声かけている私をハッとさせた。

0
2024年11月04日

Posted by ブクログ

螺旋プロで小生初、乾ルカさん。こんな温かい話が書ける方なんですね。昭和初期の女子小学生同士の海と山の戦い。苦手な人にどう接したら良いか、大人になって読んでも、ハッと気づかされました。

0
2024年08月12日

Posted by ブクログ

ネタバレ

苦手な人とは距離を置く。挨拶と最低限の会話はするけれど、必要以上に近づかない。笑顔を見せない。それが最善だと思っていた。

物語の中で源助老人はリツをこう諭す。
「本当に強い者は、憎しみを相手さ向げね。その、自分の憎しみど戦う。」と。
清子の母親はこう語りかける。
「嫌いな相手には特に意識して、誰よりも丁寧に、親切になさい。」と。

この二人の言葉を肝に銘じたい。

0
2024年08月05日

Posted by ブクログ

私にとっての螺旋プロジェクト第一弾最後の作品!!!

長かった、実に長かった・・・

伊坂幸太郎さんや朝井リョウさんの作品はサクッといけたのにその後少しテンポが悪くなり、今に至ります。(全部私の不徳の致すところです)

第二弾もあるようですが、もちろん其方も読みたいと思います!!!

実に、8巻は長かった!!!



時代は大戦末期!
東京から宮城の田舎へ疎開する事になった浜野清子は運命の相手、那須野りつと出会う・・・

螺旋プロジェクト既読の人はわかると思いますが,この二人が今回の海と山!

今回はこの二人が物語のダブル主人公!!
そんで、螺旋プロジェクト屈指の対立度合い!!!

偶々ですが、本作を螺旋プロジェクトの最後に読んで良かったと思えました!!!

0
2024年04月10日

Posted by ブクログ

螺旋プロジェクト、いよいよ昭和に入ってきた。年代順にいくと、次が伊坂幸太郎さんの『シーソーモンスタ』になる。再読してから、次の『死にがいを求めて生きているの』を読もうかと思案中。
本作も物語に引き込まれ、楽しめた。海族と山族の因縁の対決が、どのように昇華していくのかを示唆しているような作品だと感じた

0
2023年08月19日

Posted by ブクログ

ちょっとずつ、頑張って変わっていこうとする清子とリツに心打たれました。
その関係性や関係性の変化は、理性ではなく本能によるものだから、さらに魅力を感じたのだと思います。

0
2023年07月27日

Posted by ブクログ

面白かった。
螺旋プロジェクトの内の1冊。読むのは本作で4冊目ですが、読めば読むほど繋がりが見えてきて面白くなってきました!

本作は昭和前期の戦時を描いた作品。
高源寺で暮らす山の民のリツ。そこに東京から疎開してきた海の民の清子。
出会う前、相手の存在を知る前から、お互い得体の知れないピリピリした嫌悪感を敏感に感じ取っていた2人。
もうこの時点で何かが起きる気配がして期待感でドキドキ…。

反発し合う孤独な2人に、ある日起きた決定的な出来事。その後、自分を律することで起きる周囲の変化や自身の気持ちの変化。
まだ幼い二人の少女が自分と向き合い変わろうとする姿が印象的でした。
清子のお母さんの言葉も深い。

あっという間に物語に引き込まれ、ほぼ一気読み。
作品を通して改めて「戦争」について考えさせられたし、大きな不安や奪われる日常、大切な人のことを想像した。
分かりやすいハッピーエンドじゃないけど、きっとこの先も彼女たちの未来は続いていく…。
そんなふうに思えるラストが結構好きでした。

0
2023年07月24日

Posted by ブクログ

「みんなで一斉に書きませんか?」
伊坂幸太郎さんのひと言から始まった螺旋プロジェクトの第五弾。

螺旋プロジェクトとは
◇「山族」と「海族」の対立を描く
◇共通のキャラクターを登場させる
◇共通シーンや象徴モチーフを出す
という、共通ルールを決めて8人の作家さんにより書かれた原始から未来までの物語

山族、海族という独特で何だか難しいテーマを、それぞれの作家さんがどういう風に物語に落とし込んでいくのかが見どころ。こういうの楽しい〜♬

螺旋プロジェクトの作品を読むのはこれで3作目だけど、読んだ3作の中では1番このテーマが自然に馴染んで描かれていた気がした。


戦争により疎開してきた清子と、疎開先に住むリツはひと目合った瞬間から気配だけで、理由も分からずお互いを忌み嫌い合っていた。
血が騒ぐというか、そこにはルーツの違いによる先祖からの深い因縁があった。
世の中、相容れない相手とも関わっていかなければならない事もたくさんある。
そりの合わない2人の少女が、自分自身の心と対峙し成長していく姿がとても良かった。
好きにはなれなくても、相手を尊重する気持ちって大切だな〜と思わせてくれる話だった。

清子がまだ6年生だというのに立派すぎたな〜。
この時代と清子の境遇がそうさせたんだろうな。
結末はなんとなく察しはついたけど、ショック
戦争の残酷さと人の命の脆さを痛感しました。

巻末の清子とリツの後日譚がとても好きだった〜
この終わり方だからこそ良かった♡

中央公倫新社さんのご厚意で読ませて頂きました♡
とても良かったです!!
ありがとうございました✌︎(๑˃̶͈̀◡︎˂̶͈́๑)✌︎


0
2023年04月25日

Posted by ブクログ

ネタバレ

【収録作品】コイコワレ/九月、急行はつかり車内にて-書き下ろし特別収録短篇-

競作企画「螺旋プロジェクト」の昭和前期編。書き下ろし短篇が読みたくて再読。清子のその後と、リツとの後日譚。

0
2023年04月24日

Posted by ブクログ

螺旋プロジェクトの中の1つ。以前、薬丸岳さんの物語を読んだ。東京から宮城の田舎へ集団疎開した清子は、そこでリツと出会う。お互いに一目会った時から嫌いあい、憎み合う関係だが、その感情を律しながら少しずつ距離をつめていく…
話の展開が遅くて、最後のオチも予想できたものだったので少し飽きてしまった。

0
2025年10月18日

Posted by ブクログ

螺旋プロジェクト第二冊になります。
戦時中の国家間の争いも、海族と山族野争いも同じく感情をコントロールしなくては、悲惨な出来事しかない。エゴイズムでの争いである。
源爺の目の蒼さは海族だが、口減しに捨てられた山族の赤ん坊リツ救っている。戦時中での種族の争いを超えた平和が永遠のテーマの作品である。
おる。おおる。この泣き声は平和な未来の歓喜の産声なのか、争いが始まる憎しみの狼煙なのか!?

0
2025年02月17日

Posted by ブクログ

海と山というファンタジーはあるものの、現代にも通ずるところはあるのかなと思った。
嫌い、苦手な人というのは誰しも感じるものがあって、けれどそれを自分の中で戒め律するのが大切。攻撃はしてはいけない。今もSNSとかですぐ攻撃する世の中だから今一度自分を顧みて欲しいし、顧みたいと思う。

0
2024年10月23日

Posted by ブクログ

今回は戦時中のお話。
決して交わらない海族と山族の2人の少女が本能的に憎み合いながらも、自制心を身に付けることでそれを乗り越えて成長するというストーリー。
海と山の対立はあくまで脇役に留めているところが他の作品と違うところで、螺旋プロジェクトシリーズの中にこういったテイストがあっても良いなと思いました。

0
2024年10月03日

Posted by ブクログ

伊坂幸太郎さんの螺旋プロジェクトの一部な大戦末期が舞台の

こちらの物語コイコワレ

文庫本です。

企画を持ってきたのは伊坂さんで

数名の作家さんの中の1人。乾ルカさん。

数人の作家さんが同じテーマと違う時代の山の民族と海の民族の対立ということだったので

てっきり

人も自然界の自然の一部に過ぎないぜ!的にまとめられてると思っていた(予測)

東京から疎開してきた子供達の中にいる蒼い目の少女

VS

山に捨てられた孤児の少女

互いに忌み嫌う一目で憎しみあい

殺意まで芽生える、その歴史たるは何なのか?

その正体は?的に読んでいったんですが、

そんなことは、いっさいなく過ぎていきました。

少女たちが殺したいほどに憎しみ合う

その時、その時で

周りの大人たちが起こした行動にのみ救いがありました。

この大人たちの行動が

現代に成り立つだろうかと思ったこと。

好きな相手には自然と思いやれるもの。

嫌いな相手にこそ親切にしろと言って東京空襲で死んでいった清子の母親。

子供にはそう言っていたけど

清子の母親が相手にとった行動は親切よいうより

敬意だったと思います。

本当に憎い相手とは

ずっと接してはいられないので

一期一会のその時こそ背筋を伸ばし

ゆっくりと敬意を表す。

接客業の技にもありますよね。

乱暴な相手にこそ

わざと尊敬語をゆっくり話すと。

相手にひれ伏すとは、また違うやり方。

母親が娘に諭した

その指導により

清子の聡明さが山の捨て子な彼女の生命力も伸ばしたという

そういう話でした。

あんまりね

没頭できるような話ではないんですよ。

ずっと謎に憎しみ合うから共感できないし
(虐められたとか好きな人を取られたとかでないから)

一目惚れみたいに一目で憎しみ殺意を抱くって

到底、納得できないでしょ。

だから山と海の話が続くか思ったら

そうもいかないし

山の子供らや爺さん婆さんは

おしん口調ですから読み辛いし。

でも今一度、自分の胸に問いかける問題提起としては

大事なことが書かれてありました。


0
2024年07月08日

Posted by ブクログ

疎開先での清子とリツの対立と成長の物語。母と爺からの、憎しみの気持ちを相手に向けず自分に向けてそして勝て、というメッセージ…しっかり受け取りました。びっくり展開はないものの、吸い込まれるように読みました。

0
2024年05月31日

Posted by ブクログ

太平洋戦争中、東京に食堂を営む父、母と暮らす蒼い目を持つ清子。
父は突然不慮の事故で死んでしまう。

食堂は母が一人で切り盛りする中、戦争が激化し清子の小学校は宮城に疎開する。

疎開先の寺で地元のリツという少女と出会う。リツは存在自体が清子をざわつかせる。リツも同様に清子の存在を明らかに意識してしまう。

0
2024年04月15日

Posted by ブクログ

螺旋プロジェクトは2冊めだが、海族山族にはやはりどうしてもなじめなくて、なじめないまま終わった感じ。

0
2023年11月18日

Posted by ブクログ

本質的な部分で分かり合えない相手と出会ったり、関わったりする場面は誰にでもあると思う。
「嫌いだ」「苦手だ」というネガティブな感情を制御するには、とにかく相手のことを考えて、分からなくても分かろうとすることが大事なんだと思った。

0
2023年08月13日

Posted by ブクログ

螺旋プロジェクトから、初めて著者の作品を読んでみて。
螺旋プロジェクトを知らずに、これを単作として読んだ場合、違和感を感じると思いました。
まず、顔を見る前から(出会う前から)、近づいてきただけで空気が刺してくるように不快になる人物、という設定に感情移入しにくい。
これは、螺旋プロジェクトの海と山の対立を知っていなければ、ただ不思議な設定に感じられます。

螺旋プロジェクトは、好きな作家から読み始めたことで、未来から逆に時代を遡る順で読み進め、本作で4冊目でしたが、プロジェクトの背景をなぞるだけの構造で、作者なりの内容や伝えたかったであろうことは、ただ表面をスルスルと滑っていくだけで、深くまでは浸透しませんでした。

0
2023年07月14日

Posted by ブクログ

「螺旋」プロジェクトの6冊目。初読みの作者さん。今度は昭和初期、戦時中の児童疎開によって出会った二人の少女の物語。

蒼い目の清子ととがった耳のリツ。血の呪縛の宿命に理由も知らず互いを嫌悪するふたりの対立と微妙な心の変化が描かれる。
『螺旋プロジェクト』ではなく単品で読んだとしたらこの対立の背景が分かりにくい気がするが、訳もなくがっつり忌み嫌いあうふたりが螺旋のお守りをキーにして距離を縮めていく様にはこのプロジェクトの底流にあるものがしっかり描かれていたように思えた。
素直な筋立てにはちょっと物足りないところもあったが、言いたいことが言えない戦時下の状況や、それでも自分を律して生きることの美しさや、敵対する相手であっても自分の気持ちをそのままぶつけることなく自制することの大事さなども描かれて、佳い話になったようにも思う。なんとなく青少年向けという感じだったけどね。

0
2023年06月25日

「小説」ランキング