あらすじ
マネジメントが下手だから会社が傾くのではない。マネジメントなんかに頼ろうとするから会社が傾くのである。本業で稼げない時に人事制度や情報システムを精緻化させて何の意味があるのか。どんなに見栄えのよい事業計画を作っても、経営者に「意志」がなければ机上の空論である。日本企業は今こそ、「マネジメント信仰」をすてて、愚直に「ビジネス」と向き合うべきなのだ。組織人に覚悟を促す警世の書。
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Posted by ブクログ
日本企業が元気がなくなったのは、マネジメント理論が幅を利かすようになったのと同時に、経営者が無難な選択ばかりで、自分の勘や経験に基づく意志決定をしなくなったことと時期を一にしている。ビジネスを作り出して稼ぐことよりも、マネジメント手法による管理自体が自己目的化し、評価されるようにもなった。日本の経営者はもっと自分に自信をもってリスクを取るべきだし、リスクをとって新規事業に挑戦する人材を評価する仕組みを整備すべき。
著者の主張は尤もだし、著者自信がコンサルタントでありながら、ここまで欧米流のマネジメント手法を酷評するのは、ある意味痛快でもある。確かに現在は、経営者がリスクを取らなくなっているのは現実にそうだと思うし、身近な事例もある。だが、同時にそれだけが日本企業凋落の原因ではないだろう、という気もする。
東西冷戦の終結と旧社会主義国の労働力の大量発生、同時期に中国のWTO加盟と巨大市場と巨大工場の発生。こういったマクロ的な、歴史的な流れの中で従来のやり方を維持し、グローバル化に乗り遅れた日本が徐々に力を失ったのは必然的だろう。
反マネジメント論は小気味良いので本書は好きだけど、実際の問題はもっと根深いものがあると思う。
Posted by ブクログ
本来手段であるマネジメント(手法)が目的化するのが問題といえる。その解決策が「勘と度胸でビジネスを進める」と筆者は主張し、確かに一理あるとは思うが、実力のないものが勘と度胸で突っ走っても失敗のリスクが増えるだけであり、なんら新しい解決策は提示していないと思う。
イノベーションのために新たなルールを作り、それが守られているかにばかり気をかけるのは結局責任逃れをしたいだけ、とは耳が痛い。「審判ではなく監督になれ」は心がけたいところ。
世にひしめくマネジメント信仰に一石を投じる。たまにはこんな本も読んだ方がバランスが良いのではないか。