あらすじ
30年以上にわたり樹木たちのコミュニケーションを可能にする「菌根ネットワーク」を研究してきた森林生態学者が明かす! 木々をつなぐハブとなり、次世代を育む「マザーツリー」の驚くべき機能とは? 気候変動が注目されるいま、自然のなかの「秘められた知性」に耳を傾ける一冊!
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Posted by ブクログ
1. 森とは調和の取れた全体的のこと(p73)
2. だがいったいキノコはなぜ木の根に水を渡してしまうのだろう?(p97)
3. 林業界は、苗床園で苗木を育てて植樹する方法を編み出したものの、木と協力関係にある菌根菌もまた育てる必要があるということを完全に失念していたのである。(p102)
4. 菌根菌がリンと水分を、植物がつくる糖と交換できるようになっていると書いてあった。土壌にリンが少ない乾燥した気候の土地で植物を助けるためだ(p112)
5. 人間よりももっと物静かで、包括的で、精神性の高いものを、私たちは軽んじ、無視したのである(p126)
6. そう、それは単純明快な考え方だった。競合を排除せよ。自生植物を殺すことによって日光、水、養分が使われなくなれば、高く売れる針葉樹がそれを吸い上げてレッドウッドと同じくらい早く成長するはずだ。ゼロサムゲーム。勝者がすべてを手に入れるのだ。(p154)
7. 「ファストフード式林業」森の生態系は様々なのに、そのすべてに一様の大雑把なやり方を適用するのは、同じハンバーガーを、ニューヨークだろうがニューデリーだろうが、あらゆる文化圏に届けるようなものだ(p229)
8. この森の若い木々は、年長の木々のネットワークのなかで成長しているのだ(p391)
9. 「ウッド・ワイド・ウェブ」(p392)
10. そう、マザーツリーだ。マザーツリーが森を一つにつないでいるのだ。中心にあるマザーツリーを実生や若木が囲み、さまざまな色や重さを持つさまざまな種類の菌糸がそれらを幾重にもつなぎ、強靭で複雑なネットワークを形成している。(p398)
11. 植物が、神経系に似た生理機能を使って周囲の環境を認識するということは、すでに広く認められた事実だった(p401)
12. だが私は、自分のやり方を押しつけて答えを要求するのではなく、ただ耳を傾けることでもっとずっと多くのことを学んだのだ(p498)
13. 私はあらためて感じたのだ。人々が母親、父親、子ども、家族とつながり、木や動物や、その他自然界のあらゆる生き物と一つにつながることが、どれほど自然で重要なことであるかを(p509)
14. 人間が再び自然とつながることが必要だ(p515)
Posted by ブクログ
私は、木々が失われ行く田舎で育ったが、病院通いのために都会へ移り住んだ。そうしてーーいやずっとというべきだろうかーー「森へ行きたい、棲みたい」と強く願い続けている。
本書を手に取ったのは偶然と、訳者・三木直子さんのお名前に惹かれたためだ(三木さんは私の棚の一番上に常にある『植物と叡智の守り人』も訳されている)。5年以上あたためている物語のテーマが「森」で、片っ端から読んではいたけれど、これほど、「ああ、私が森を希求して、もがきながら得たいと思っていたのは、(スザンヌ・シマード(著者)の)このマッピングを知りたかったからだ」と思い得た本はない。
死にゆくトウヒの苗木に、「どうしてこんなことが起きるのか絶対に調べる」と誓ってそれから研究のレンズを手に取り、森を調べて行き、様々な人生の出来事を体に受けながら、その森の力に気付かされて、森のネットワークは西洋的研究(そのレンズ)の及ばぬところにあると悟った。そういう本だ。子供の辞書並みに厚いが、ぜひ読んでほしい。