【感想・ネタバレ】バウドリーノ 下のレビュー

あらすじ

時は中世,十字軍の時代――.神聖ローマ皇帝フリードリヒの養子となった農民の子バウドリーノが語る数奇な生涯.驚異に満ちた東方世界で出会う一本足の俊足スキアポデス,一角獣を連れた美女,胸に顔があるブレミエス族,大耳を広げて滑空するパノッティ族など,史実と伝説とファンタジーを織りまぜて紡ぎだす破天荒な冒険ロマン.(全二冊)

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Posted by ブクログ

ネタバレ

うう〜面白かった〜〜!!!エーコと聞いて難しい?と身構えていたけど、読みだしたら面白くて、あっという間に読んでしまった!感覚としては高丘親王航海記…!

「人生とは、逃げゆく夢の影でないとしたら何?」(p.155)

「神は、存在しない空間であり、そのなかでは、あなたも私も同じなのです、ちょうど今日、この止まっている時間のなかにいるように」(p.274)

彼はそのとき初めて理解した。本当に愛し合う者どうしが最初に愛の言葉を交わすとき、顔が青ざめて体は震え、口をつむぐものだとなぜ言われてきたかが。なぜなら、愛は、自然と魂の力すべてを自らに引きつけるからである。こうして、本当に愛し合う者どうしがささやき合うとき、愛は、身体の全機能を、それが肉体的なものであれ精神的なものであれ、掻き乱し、ほぼ停止させる。それゆえ、舌は話すことを、目は見ることを、耳は聴くことをそれぞれ拒み、体の各部位がおのれの義務を回避するのである…(p.294)

そして最後に
「あなたがこの世で唯一の歴史家だと思わないほうがよい。遅かれ早かれ、バウドリーノ以上に嘘つきの誰かが、それを語ることになるでしょうから」
という終わり方がとても素敵で大好きな一冊になった。

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2025年01月04日

Posted by ブクログ

ネタバレ

いつ死んでもおかしくない年というフレーズにハッとさせられた。
舞台は東方世界へ。奇想天外な種族たちはプリニウスの記述そのまんまだったのだなあ、と。新プラトン主義について曖昧模糊としたイメージだけしかなかったが霧が晴れた感じでした。最後の方で話のなかの「現在」にストーリーが追いつくところとか、ビザンツの歴史家が記述した、というような造りになっているところが憎らしい。老いてまた旅立つのもいいな。冒頭書いたフレーズが上巻下巻のどこにあったかは忘れてしまったが、読んだ時は「この時代だともう死ぬ年齢だよな」などと読んだときは思っていたがその少し後に同年代の友人が亡くなって感想が変わりました。現在でもいつ死んでもおかしくない年齢。そう言う意味でもいろいろ教えられた本。
いやあ、読書ってほんとにいいものですね。

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2025年02月16日

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