あらすじ
「人生100年時代」の生き方を構想し、
「日本社会のこれから」の指針を示した
世界トップ経営学者リンダ・グラットン。
彼女が本書で描くのは「働き方の今」と「近い未来」だ。
新型コロナが私たちの働き方にもたらした変化は重大だったが、
まさに現在進行で現われつつある「大きな潮流」を詳らかにし、
また、世界中のさまざまな企業の現場事例をもとに、
私たちの「仕事のあり方」、ひいては「働く意味」
「人生の豊かさ」を“リデザイン(再設計)”していく。
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Posted by ブクログ
1自社の重要な要素について理解する
あなたの会社では、どのようなスキルや人的ネットワーク、職種が生産性を向上させるために重要なのか。社内の知識の流れはどうなっているのか。社員は仕事と会社になにを求めているのか。人々は生涯を通じてどのような職業人生を経験するのか。
2未来の仕事のあり方を新たに構想する
これらの点に関する深い理解を土台に、最適な仕事のあり方を設計する。オフィスを協力の場と位置づけ、社員同士が会話を交わし、人と人が偶然出くわす機会をつくってもいいだろう。あるいは、それぞれの社員の自宅を健康と活力の源と位置づけてもいい。
勤務時間のあり方を工夫することにより、集中と調整を促進してもいい。
3モデルをつくり、検証する
構想したアイデアモデルをつくり、潜在的なリスク要因に照らして検証する。そのモテルは、未来に適応できるか。短期的、中期的、長期的に見て、時代遅れになることなく、目的を果たせるか。そのモデルは、すでに始まっているテクノロジーの変化を可能にし、社員がそれに応じたスキルの転換を成し遂げる後押しができるか。そして、すべての社員が公平で正義にかなうと感じられるものになっているか。
4モデルに基づいて行動し、新しい働き方を創造するこのステップでは、新しい働き方のモデルを自社の慣行に組み込み、企業文化に根づかせる。そのためには、リーダーの行動、そしてリーダーが語る物語が大きな意味をもつ。具体的には、リーダーはマネジャーの役割がきわめて大きいことを理解し、マネジャーたちが役割を果たせるよう支援しなくてはならない。それに加えて、社員とのコ・クリエーションを大々的に推進し、新しい働き方のデザインを選択する過程に社員を参加させ、変革のプロセスに社員を関わらせる必要がある。
ここでは、4つのステップを1~4という順序で並べたが、実際にはどのステップから始めてもいい。たとえば、仕事のあり方を新たに構想するステップから開始し、そのあとで社内の職種や社員や人的ネットワークについて理解を深めるステップに移行して展開する。
時間を新たに構想するー課題に超・集中する
新しい働き方を設計しようとするときはたいてい、どこで働くかにもっとも関心が払われる。コロナ禍では、とくにこの点が際立っていた。新聞や雑誌では、オフィス勤務か在宅勤務かがしきりに議論された。しかし、場所のことばかり考えていると、もうひとつの重要な要素を見落とす。その要素とは時間だ。私たちの職業生活で、1日の、1週間の、1カ月のリズムを生み出すのは、しばしば時間配分とスケジュール設計なのだ。
まず、非同時型の働き方について見てみよう。このような働き方をする時間には、ほかの人とつながらず、目の前の課題に集中することにより、生産性を向上させられる可能性がある。
知識労働者にとって、集中して業務に取り組む時間は非常に重要だ。カナダ年金制度投資委員会の投資アナリストたちは、企業のデータとさまざまな調査レポートを詳しく検討し、それを基に説得力ある報告書をまとめ上げる。自分の仕事に集中できる時間があるからこそ、資産の投資運用成績を大きく左右する可能性をもった助言ができるのだ。
難しいスキルを体得する新しい方法
ほかの人の立場に立ってものを考える能力など、基礎的な人間的スキルは多くの職できわめて重要だが、その種のスキルをはぐくむのは非常に難しい。テクノロジーを活用した研修を手がけるマージョン社のマーク・アトキンソンCEOは、リーダーの人間的スキルについて調べてきた。アトキンソンは、私にこう語っている。
人間的スキルの面で優れたリーダーの条件は、ちょっとした行動により、同僚や顧客から最良の行動を引き出せること。真の「積極的傾聴」を実践できるリーダーは、集団内の感情面の緊張をやわらげ、人々の間で合意を形成し、多様性の高い集団をマネジメントできます。優れたリーダーは、内向的な人たちに能力を発揮させることも上手です。
内向的な人たちは、深い思考をもっている場合もある。そうした人たちの類いまれな才能を理解し、そのような人々が活躍できる場をつくるのです。
基礎的な人間的スキルは、多くの認知的スキルや技術的スキルと異なり、なんらかのルールを学ぶ形では習得できない。この種のスキルを身につけるためには、くり返し練習することが不可々なのだ。しかし、ある人が人間的スキルをどれくらい発揮できているかという点は、明確な指標によって把握できる。アトキンソンによれば、「声紋の感情分析により、対人関係をうまくおこなえている人を見わけることができる」という。
この種の感情分析は、たとえば病院の救命救急センターにおけるコミュニケーションを分析するために用いられてきた。スタッフが互いに対して、どれくらい尊大だったり、無礼だったりするか。スタッフ間のうなずきや視線のパターンはどうか。スタッフが偶然、同時に同じ言葉を発したり、同じ行動を取ったりすることがあるか。比喩的に言えば、スタッフ同士が一緒にダンスを踊っているか、それとも格闘しているか。こうしたことを調べるのだ。一緒にダンスを踊っている人たちは、より質の高い意思決定をおこない、協働を成功させ、成功の指標でも高い成績を挙げている。
では、どうすれば、そのためのスキルをはぐくめるのか。アトキンソンはこう述べて
いる。
仕事に役立つ対人関係スキルを身につけるためには、没入型の学習体験が女かせません。
実際の仕事にできるだけ近い状況でリハーサルし、たっぷり練習する必要があります。
そのプロセスでは、試行錯誤を重ねることになります。なんらかの行動を取り、まわりの人たちの微妙な反応を手がかりに振る舞い方を修正し、また試みるのです。訓練をくり返すことにより、いわば習慣の筋肉がつくられます。
学習テクノロジーを活用して、大勢の人たちに重要な人間的スキルを学ばせる方法が見いだされはじめている。そのようなアプローチでは、莫大なコストを費やして教室でセミナーをおこなったりはせず、人間の研修講師とバーチャル・リアリティ(VR=仮想現実)およびAIを組み合わせる。
たとえば、気難しい顧客や社員の話を聞き、対応するスキルをはぐくむためのブログラム。基本的には昔ながらのロールプレーイング形式の研修だが、そこに登場する気難しい顧客や社員は、VRによる仮想のキャラクターだ。強いストレスを感じる場面をりアルに再現し、受講者の脳がVR体験を現実と勘違いするよう仕向けている。受講者はAIのキャラクターとのやり取りを通して気難しい顧客と会話し、さまざまな場面の練習を重ね、試行錯誤をくり返す。そして、どれくらいスキルが向上したかという客観的なフィードバックと主観的なフィードバックを受け、基礎的な人間的スキルの核を成す
りゅうちょう
流暢な会話をする能力を高めていく。
アメリカに拠点を置くホテル運営会社ベストウェスタン・インターナショナルは、こうしたことを非常に重んじている。同社はこの種の研修により3万5000人を超す社員のアップスキリングをおこない、顧客への共感を表現し、顧客の困りごとをただちに解決するために行動するスキルを強化してきた。
Posted by ブクログ
リンダグラッドンにより、新しい働き方。今までの職場の重要性から、働く人を大切にする考え方へ。2時間かけて通勤する日本では絶対的に有効な2時間✖️5日で10時間、月であれば30時間以上。年間となると300時間以上を無駄にしてきたと言える。もちろん、その時間を読書やポッドキャストに費やした人はいい。
タタのチャンドラセカランさん、非常に優秀な多々グループの創業家一族で、素晴らしい方だと思うが、オンライン学習の可能性を感じさせるコメントも印象的。働き方は全く新しいフェーズに移行していくべき時期に来ている。
まず、働き方を柔軟に、という考え方は、子供との時間、勉強する時間、といったプライベートな時間を確保できるようにしてくれている。一方で、常時ネット環境、仕事環境につながっていることから、結果的に仕事をずっとやらなくてはならない。オフィスと家庭の差は、通勤という概念によって区切られていた。これが曖昧になっている。
人的ネットワークも非常に変化している。同僚との偶然の遭遇はない。人と話すことで救われることがとても多いことに気がつく。また、ディストリビュートされた各家庭が職場となった場合には、孤立感が起きる。マネージャーとの間のコミュニケーションというよりも、よりプロジェクトごとのリーダーを指名して、その進捗を測っていくことで、より自主的な動きを活性化させることができるかもしれない。会社の飲み会はなくなる。そのかわり、チームが顔を揃えて話をするということがいかに大事かと気がつく。
ウェルビーイングを重視することで、成果に直結する動きを評価する。そのアプローチをチームでどのように盛り上げていくかがマネージャーの仕事。人を大切にするということを、ゆるい会社にせずともできるのか。これが問われている。
Posted by ブクログ
富士通は2週間の間に6万人の社員を在宅勤務にした。
今までの3ステージの考え方から、マルチステージの生き方へ変化。
カウフマン起業活動指数からみると、55~64歳の起業家は増えている。長寿化の時代は年齢で区切るのは難しい。
間仕切りの高さがだんだん低くなり、大部屋になりつつある=部署横断型のチームが増えた。
オフィスで過ごす時間が減ったことを歓迎する反面、不安も感じている。
IBMは2009年には40%がリモート勤務、その後利益の落ち込みでオフィス勤務を再開した。イノベーションとコラボレーションが損なわれているという見解から。
オフィスの定義を広げる=シェアードオフィス、サテライトオフィス、ハブオフィスを設ける=富士通の方法。
人間が交通機関の利用に費やしてもいいと感じる時間は一日60分=ローマなどの都市が直径5キロより大きくならなかった理由。アメリカ人の通勤は平均すると片道27分。
通勤による切り替えスイッチの作用を再現する=仕事部屋を作る、着替えをする、庭に出る、など。
自分の場所と時間をコントロールすること。
ジェンダーの力学=在宅勤務になると女性の家事労働の負担が増える。男性は定型的な用事を担うのに対し、女性は非定型的な用事をすることになりやすい。その結果家事は女性の役割という固定観念が強くなる。在宅勤務では女性の昇進が遅くなる。
集中力を発揮する方法
睡眠をとる、マルチタスクをしない、集中する時間をスケジューリングする。
マルチタスクをしがちなのは、情報を遮断しないことで安心したいから。
顔を合わせることは価値がある=テクノロジーオタクを集めてホワイトボードを与える、これより優れた方法はない。
オフィス勤務と在宅を組み合わせると、週の半ばの3日間出勤し、月と金に在宅することを好む。
対面の会議は、必要性を常に疑うこと。必要だと思ってもスタンドアップミーティングで済ませようとする。
テクノロジーが仕事に及ぼす影響は、非定型的で肉体的な仕事ほど少ない。逆にいうと人々が好む定型的で事務的な仕事は代替的。
コロナがなければリモート勤務でサービスを継続することなど考えもしなかった。強制的に実践することでそれが可能であることがわかった。