あらすじ
虫憑きの力をビジネスに利用しようと、杏本詩歌へ“契約”を申し出た少女・赤瀬川七那。詩歌は“むしばね”の新たな支援者となった彼女と共に、この国の経済を激変させた三つの転機“エンクロージャー”“バブル”“パラダイムシフト”の全ての原因“始原の虫憑き”を落札すべく、命を賭けたオークションに参加する――虫の“根源(ルーツ)”を見つけるために! それは、凍てついた心を魔法のように溶かす、最高で最悪のパンドラ・ボックス!
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Posted by ブクログ
若くして、赤瀬川財団のトップを務める少女・赤瀬川七那(あかせがわ・ななな)が、「むしばね」のアジトを訪れ、「虫憑き」の派遣ビジネスの構想を語ります。「むしばね」のリーダーとなった詩歌は、行方不明となっている協力者の宗像槐路(むなかた・かいじ)を見つけ出すことを条件に、七那との交渉をスタートすると約束します。その後七那は、経済界を動かす12人のメンバーたちが集結する「円卓会」に乗り込み、宗像の行方をさぐりあてます。
さらに七那や宗像たちの前に、サザビィと名乗る男が現われ、「α」と呼ばれる始原の「虫憑き」をめぐるオークションの開催を告げます。かつて「魔法使い」と呼んでいた鬼道(きどう)ツカサという「虫憑き」を慕っていた七那は、みずからの手で「虫憑き」の謎を明らかにしようとして、オークションに参加することになります。
今回は、ビジネスの世界に生きる七那が主役を張っているということで、これまでとはかなり趣向の異なる内容になっています。経済界の大異変と「虫憑き」とのかかわりが示唆されており、意外にもスケールの大きな話になってきましたが、著者がどのように結末をつけることになるのか、期待したいところです。