あらすじ
ミステリをこよなく愛する〈マーダー・ミステリ・ブッククラブ〉に新たなメンバー四人が加わった。顔合わせを兼ねた読書会。課題書はクリスティの『そして誰もいなくなった』、亜熱帯雨林の山中に建つ過去にタイムスリップしたかのような山荘に泊まりこみで行なうのだ。ところが現地に到着してみると、散歩中に大きな石が落ちてきたり、翌日支配人が死体で発見されたり、さらに電話線が切断されて外部と連絡がとれず、山荘の周囲では山火事が起き……。読書会どころではない事態に、ブッククラブの面々はどう立ち向かう? 好評シリーズ第4弾。/解説=♪akira
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Posted by ブクログ
4.5くらい。面白かった。
多視点なところやクローズドサークル具合、因縁などは『そして誰もいなくなった』を彷彿させる。特にそれぞれ山荘に向かう時の場面とか。
トリックやアリバイについてはそんなに。それぞれ皆がどんな嘘をついているか、どんなことを隠しているか暴いていく話だった。
多視点でそれぞれが情報を握っているので、読者としてはそれをどう繋げるか大変だった。情報共有しようにも取捨選択や伝言ゲーム状態になったりするので。
山火事というクローズドサークルの作りも良かった。崖の橋が崩れて~や落石で~はあるあるだと思うが山火事は避難すべきかどう避難すべきかで考えることが多い。
面白い舞台装置だ。
次作の課題図書が北欧ミステリー。読んだことが無いので予習しておきたい。なんでこれ選んだんだろう?
Posted by ブクログ
山火事で孤立した山荘に取り残されたブッククラブのメンバー、迫り来るタイムリミットと、クローズドサークルミステリーの王道とも言える設定。そしてさらに、ブッククラブが今回選んだ本はアガサ・クリスティの『そして誰もいなくなった』。それだけでもワクワクしないはずがない。
主人公はブッククラブ主催者のアリシアだが、彼女の視点に絞られないのでそれぞれの思惑が渦巻く様が巧みに表現されている。ある意味これは好みが分かれる書き方だと思う。
クローズドサークルミステリーと言えば、息の詰まるような閉塞感や次に誰が犠牲になるか分からず登場人物たちが疑心暗鬼に陥るような展開が特徴だが、少なくとも犯人と犠牲者は新参者か山荘のスタッフだろうなと察しがついてしまうのはある意味シリーズものの宿命。ブッククラブの面々が基本的に明るいキャラクターであることも相俟って、さほど緊迫感や焦燥感はない。
ただ、犯人は「ミス・マープル」ポジションでこの先も活躍するのだろうなと思っていたフローだったのでそこは意表を突かれた。推理で追い詰めると嬉々として話し出すなかなかサイコなキャラクターだった点も。スノーウィーはまだしも、ヴェイルとフラウニーを殺した理由はめちゃくちゃだと思ったが、やり場のない憎しみや悲しみが爆発すると起こり得る悲劇なのかもしれない。
個人的にはクレアが卒業してしまうのが悲しいのと、次回の課題書がクリスティではなくなってしまうのが少し残念。