あらすじ
つまずきの原因を「読解力が足りない」で済ませては支援につながらない.著者らは学習の認知メカニズムにもとづいて,学力の基盤となることばの知識,数・形の概念理解,推論能力を測るテストを開発.その理念と内容,実施結果を紹介し,それで測る力が算数・国語の学力とどのような関係にあるのかを質的・量的に検討する.※この電子書籍は「固定レイアウト型」で作成されており,タブレットなど大きなディスプレイを備えた端末で読むことに適しています.また,文字だけを拡大すること,文字列のハイライト,検索,辞書の参照,引用などの機能は使用できません.
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Posted by ブクログ
タイトル+今アツい著者ということでメルカリで購入+読破。
懇談でも「うちの子、文章題が苦手で…」という声はよく聞く。全体的に話や出てくる言葉が難しいと感じる部分もあった(今井むつみ先生の本は基本そんな感じする)が、納得・共感できる部分も多くあった。
つまずきの原因として挙がっている中で、特に共感したのは、原因7「問題を読んで解くこと」に対する認識。この説明の中で、何のために算数を学ぶのか分かっていない、学習性無力感という言葉が出てくるが、自分なりに言い換えると、
算数のテストなんて適当に答えといたら良い(というか、丁寧に見直しまでしなくて良い)
という子どもの思いが主原因だという点である。
著者は、本人のやる気の問題…といったものではなく、「1年生から学習を続ける中で、抽象的な算数の概念と自分のスキーマがぶつかって混乱する=つまずく」としている。
しかし、自分としては、やる気が低いと言い換えても良いのではないかと感じる。
それは子どもが悪いという単純な話では決してなく、そこまでやる気を高める環境を設定できなかった教師にも課題があるという認識のもとで言っている。
やる気を高めるということは、わかる・できるということに直結している。
わかる・できるから、丁寧に取り組む。
ここは教師として常に意識しておきたい。
イメージ化が苦手な子に対する支援、学力は単純にテストだけで測ることはできない、簡単なものばかり取り組むと誤ったスキーマを作ってしまう…
この辺りも印象に残った。まぁ、読んでよかった。
Posted by ブクログ
学力不振=問題演習の不足という単純な話ではない。
「理解力不足」という状態を、より具体的に細かくどのステップでつまずいているのか、分析が秀逸。
「生きた知識」であることの4要件:
(1)システムの一部となっていること
(2)身体の一部になっていること
(3)絶えず修正され、アップデートされること
(4)自分の理解の程度が過大評価されておらず、自分は何がわかっていないかがわかっていること。
問題解決のパーツはできていても、複雑な問題を解けない子には、認知的な負荷を軽減できるような方法を自ら状況に合わせて見出せるようになるための支援をすると有効。
テストの点数だけを見るのではなく、解決に至るプロセスを見る。文章題が苦手=文章に書かれていないことを補って自分で状況のイメージを作ることが苦手。
Posted by ブクログ
今学校や入学試験で問われている学力は本物の学力ではない。学力は知識の単純な足し算で構成される物ではない。
表層的な知識の有無を問うことを主眼とした学力テストは見直すべきだと筆者は問う。
学力とは新たな情報を認知能力と推論能力を駆使して自分が持ってる知識体系に組み込み、統合し、拡張すること。
ことばのたつじつん、かんがえるたつじんは小学2年生くらいまでの生活、遊び、読書などで培われた知識や認知能力、推論能力を測るためのテスト。
知識が断片的で、学んだ知識になっていない。
→足し算の手続きの意味がよくわかっていない。
誤った知識をもっている。
→1の固定化、全体、単位が理解できていない。時間、分数、単位など。
推論と認知能力がかみあっていない
などなど。
ほんものの学力をうむ家庭環境とは、、、
家庭に身近に本があること
日常的な読書週間
就学前からのひらがな、数へ興味
生活の中で時計を見て、時間を意識させること。