あらすじ
幸之介の義母・富江は心の底から喜んでいた。息子が文壇最高の賞「日本文芸大賞」の候補になったのだ。これでもう思い残すこともないとまで思っていた。息子を気遣ってか富江は忽然と姿を消してしまった。幸之介が賞の発表を待つのはご存知プリズンホテル。特別な日にもかかわらず、この夜も因縁つきの人びとが泊り込む。懲役五十二年の老博徒から、演劇母娘など、またしても起こる珍騒動。物語は笑って泣ける大団円へ。
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Posted by ブクログ
主人公「僕」のDVの違和感。
「人を思いやること」は
体験のないものにとっては
理解することも、その大切さを想像することもできないのかもしれない。
私たちにとって当たり前の人との関わり方。
主人公「僕」のDVは
彼の環境から得た成長の果てだったと思った時
単なるめめしい被害者意識だと
自分も、主人公を、自分の価値観に落とし込んで
随分と見下していたことに気がついた。
他人を尊重することは、案外と難しいことなのかもしれない。
清子さんの純真さ、富江さんの温かさ。
おそろしく時間はかかったけれどなんとか届いて良かった。
はちゃめちゃな展開のあちらこちらに
グッとくる言葉がきらきらと散りばめられていて
昭和の匂いも満開にプリズンホテル、
楽しませていただきました。
Posted by ブクログ
富江はすでに亡くなっているのだろうか?血は繋がらない孝之介の全細胞には富江の愛情が沁み渡っているに違いない。富江との人生の和解の日、プリズンホテルには暖かな南風が吹いていた。和解のきっかけは孝之介の日本文芸大賞受賞の報告とともに懺悔することで、富江に残された短い時間で孝之介は幸運にも間に合った。このやんちゃな孝之介が富江からそうされたように清子・美加には今後最大の愛情を注いで歩むべきだ、富江との和解に誓って。4巻通して、人生にけじめをつける者はプリズンホテルに集い、南風とともに去っていく。⑤
Posted by ブクログ
木戸孝之介は、極道小説の売れっ子作家である。今回日本文学大賞にノミネートされたという。その候補作品は、極道小説の「仁義の黄昏」か、それとも恋愛小説の「哀愁のカルボナーラ」か。二つの出版社の編集担当が競う。また木戸孝之介の母代わりの冨江は何処ともなく消えた。同じころ、五十年以上の懲役を務めた小俣の弥一は府中刑務所から出所した。これらの出来事が錯綜して、またまた極道ホテルでは大騒動となるが、最後はいかように…。プリズンホテル・シリーズの結末はいかに。