あらすじ
日本の問題は、「経済」と「環境」にある。そんなのは、コロナにならなくったって、虫を見ていればわかること。虫が生きにくい世のなかは、人間も生き物も生きにくい――。
コロナ禍で一転、イタリアとの行き来が途絶え、日本生活を余儀なくされた根っからの昆虫好きのヤマザキマリが先輩として慕う養老孟司。コロナ以前から箱根の養老昆虫館に足を運んだ4年間、話は虫を通じて見えてくる世界の複雑さ、気候変動とともに変わりゆく生態系、来るべきAIの世界、すっかり脳化が進み「戦時中と似ている」という日本を覆う空気まで。そして養老さんに訪れたまるの死と病。はたして想像力と突破口はどこにある?
世の中との「ズレ」を感じ続けるふたりが、その違和を一つひとつ解きながら、いつしか微視的スコープで文明の深奥までを眺め見る対談。
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Posted by ブクログ
自分の人生を計画したい人があまりにも多すぎると。そうではなく、人生はひとりでに「なる」のだということ。
自己とははじめからあるものではなく、生きて行くうちにひとりでにできていくものなのだ。それをやる前からそれをすれば何を得られるのか、それは自分のためには必要かなど考えてしまうのは、現代病の一種だなと思う。
自分の知りたいことだけを知りたい、ジャンルに括りたがって、自分のなかで簡潔に完結させたがる。予定調和な人生を望む・・。私含め現代人に当てはまることが多くて、どきっとさせられた。仕事だけでなく生活でも効率化を求めるあまり、人生も効率で考えるようになってしまっているのかな・・。
自分の人生も思考も、計画的にレベルアップさせたいというような。
さらに刺さったのは、日本人は「何か自分のかわりに言ってくれる人を書籍やメディアの中でいつも探している」ということ。日本人は人の活字化された言葉の中に答えを探す民族で、出版文化が発達しているのもその影響では、と。けれどそれは自分の思考を放棄していること、その責任を持ちたくないということに繋がる。読書は好きだけれど、自分で考えず好きな言葉をただ追っているだけの読書をしているのは、とんでもなく怠惰なことなのだと気付けた。
読書の目的も、もうちょっと考え直さないとだな。
もっと自分自身で考えて、自分の言葉で生きていかなければ、所詮は借り物の思考、借り物の言葉で生きることになり、魅力的な人間にはなれないなと思った。