あらすじ
「食物繊維は体にいいから消化もいい」と語っている学生に、そもそも消化ができないものを食物繊維ということを説明すると、では「消化できないものが体に必要なのか」ときかれて、これは正しい食の知識が必要だと感じた著者。
体にいい、悪いで語られがちな食べものについて、多くの人がわかっているようでわかっていないという実態を感じて、現在わかっている食の科学を理解し、正しい情報の受け取り方ができるようにという思いで執筆した1冊。栄養学的な面と、複雑な体の代謝のしくみをなるべくやさしい言葉で解説します。
食品によっては、時代的背景も関係していたり、健康ブームの空気にのって「良い食べもの」になっているものも。食と代謝はまだまだ解明されていないことも多いのですが、わかっていることをクリアにしながら、誤った認識に陥らない方向を示します。
序章 食べ物、その正体とは
第1章 食べ物に含まれる栄養素の真実
第2章 消化と吸収から考える食べもの
第3章 体のなかで栄養素はどんな働きをしているのか
第4章 血液という体液から考える食べもの
第5章 筋肉、骨、皮膚と食べもの
第6章 脳と神経に作用する食べもの
第7章 健康な食べものは本当に体に良いのか
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Posted by ブクログ
栄養学関係のテレビなどで流される情報は、極端なものが多いので、こういったしっかりとした内容の本で知識をつけなければと思いました。正しい情報に基づいて、自分で食材を考えて料理をするのが大事ですね。
健康意識を高めたい人
科学的根拠に基づき、栄養素や代謝の仕組みをわかりやすく解説されています。
食物繊維や脂質など、誤解されがちな食材の効果を明らかにし、ダイエットや病気予防に役立つ知識など、初心者向けで実践的な情報が多いので、健康意識を高めたい人に最適。
Posted by ブクログ
人間の体を作っている食べ物がどのような経路を辿って分解され、栄養素としてどんな効果を発揮するかを説明している。栄養学とあるが、料理や調理法についてではなく、食べ物の成分が体に及ぼす影響を学ぶことができる。
最も印象的だったのは、人間の体が栄養素を再吸収したり、様々な手段で糖を作り出して、体内のいたるところにエネルギーを送り届ける仕組みがあることだ。効率的な成分の扱い方が自然に生まれたからこそ、狩猟採集民の時代を生きてこられたのだと思う。
食物繊維や短鎖、中佐脂肪酸、GABAが注目される理由は、ただ生きることよりも、快適に過ごすことが重視される時代になったからである。特に、血液脳関門は、本書のキーワードだと感じた。
Posted by ブクログ
バラバラに分解することを消化といい、吸収してエネルギーを取り出したり必要なものに変えることが代謝。
さっかりんの発がん性は、不純物によるものだった。チクロはEUや中国などでは使用可能。
ビタミンは、体内で合成不可能なもの。ビタミンFは必須脂肪酸とされる。MやBCは今は葉酸と呼ばれる。
消化に悪いは体に悪い、ではない。
乳酸菌によって腸内環境が整えられる。
プロバイオティクスやプレバイオティクスは腸内細菌叢の開園、バイオジェニクスは、直接生体に作用する。
酵素とは、化学反応に対して触媒として機能するもの。栄養素ではない。体内で製造される。外から取り込むものではない。酵素ダイエットは疑似科学。
運動エネルギーは、ATPを使う。解糖系は酸素がなくてもATPを作る代謝回路。クエン酸回路は有酸素運動の際に使われる。
カルチニンは体内で合成できる。肉や牛乳に含まれる。サプリは必要ない。ケトン体はアシドーシスの状態を引き起こす。中鎖脂肪酸でケトン体が作られる。ガンはケトン体を利用できない。
米にはたんぱく質も含まれる。ただしリジンは少ない。
たんぱく質は平均80日、筋肉は180日、血球は10日で入れ替わる。
毎日2%のたんぱく質が分解される。1/3は排泄される。その分を補う必要がある。体重60キロなら、180gのたんぱく質が分解され、60gが新たに必要になる。
肝臓の数値では、ALTとASTも大事。
肉は糖の代謝に必要なB1を含むことから肉を食べると元気になる。
褐色脂肪細胞は脂肪を代謝させエネルギーを算出する。
ベージュ細胞は寒冷だと現れる。
肥満によって脂肪細胞の数が増える。
塩分は95%は尿中に排泄される。腎臓が調整している。
DASH食=高血圧患者向けの食事。カリウムやカルシウム、食物繊維が多い。
食事のコレステロールが多くても、影響はない。異常はエネルギーの過剰、運動不足、飲酒のほうが影響が大きい。卵は1日1個は根拠がない。
赤ワインのおかげでLDLコレステロールの参加が抑えられている。
アミノ酸スコアは、卵、肉、マグロ、牛乳、大豆は100、白米は61。
BCAAの摂取で、筋肉の分解が少なくなる。ホエイプロテインなど。運動前後の摂取で筋肉痛や疲労感が減る。
BCAAやイミダゾールペプチドが有効、の可能性がある。
干しシイタケは生よりビタミンDが多い。
コラーゲンは半分くらいはペプチドで吸収される。皮膚の機能を保つ。
地中海食は味付けや食材がシンプルなために研究しやすいが、日本食は複雑なので、研究しずらい。ご飯とみそ汁、1975年の食事が適度。
単糖のブドウ糖や数分で吸収される。学習時に力を発揮するが、甘みが少なく摂りすぎる危険がある。
カフェインはコーヒー、玉露が多い。苦み成分。
糖質過多になると、ビタミンB1で、今でも脚気になる。
アリナミンは最初は医薬品だったが、医薬部外品になった。ビタミンB1があるので脚気の克服に役立った。
ソーセージやハムのボツリヌス菌で多くの死者が出た。岩塩を使うと肉の色がきれいで食中毒を防げる。のちに岩塩の中の亜硝酸ナトリウムや硝酸ナトリウムが効いていることがわかり今は食品添加物となっている。
Posted by ブクログ
章分けが、血液に関するもの、筋肉と骨に関するものなど、具体的にイメージできてわかりやすかった。
話題になった健康法についても触れており、これってどうなの?と日常で思うことについて説明してくれている。
【感想】
栄養素ごとの代謝の流れについてよく説明してくれている。ここでの脂質は何を指すのかなど定義の説明があり、丁寧な解説だった。
疲れにはビタミンとよく聞くが、ビタミンはあくまで補助で、三大栄養素をしっかり取らないとまず始まらないと学んだ。高校生物の知識がここで役に立った。
Posted by ブクログ
「1週間で勝手に瘦せていく体になるすごい方法」の裏付けになる知識が得られるかも知れないと思い読んだ。
次のような、読んでみたくなる問いかけにも惹かれた。
・脂質の正体-良質のあぶらとは
・むしろ「悪者」だった食物繊維
・「消化が良い」の意味
・「野菜を先に食べる」はダイエットになるか
・太る原因は脂肪なのか糖なのか
・血液サラサラの意味
・コレステロールは体に悪いのか
・「ポリフェノールは体に良い」はなぜ広まったのか
・コラーゲンは食べても分解されるから美肌効果は無い、は本当か
・魚を食べると「あたまが良くなる」⁉
・機能性表示食品、トクホ、サプリメント…その違い
・健康食品を食べても健康でない人
体に良い/悪い食べ物や適量は、時代や世の中の流行りなどによって変わる。
食べ物も人体の仕組みも複雑すぎて、解明されていないことだらけだからだ。
昔は「卵は1日1個まで」が常識だったが、今はたくさん食べても良いとされている。
もう少し瘦せようと思っているので、関係あるところで得た知識は、
「野菜を先に食べる」食べ順ダイエットの効果は明確ではない。
「ポリフェノールは体に良い」は、抗酸化物質として近年クローズアップされているから。
植物繊維とは、消化されない成分のこと。
消化が悪いとは、体に悪いことではなくノンカロリーということ。
食べたものが脂肪になるのはなぜか … 答えは「食べ過ぎだから」に尽きる。
太る原因は脂肪なのか糖なのか。糖も余れば脂質になり蓄えられる。何を食べても食べ過ぎれば太る。
砂糖業界はかつて脂肪を悪者にして砂糖の消費量を減らさないようにしたのだとか。
その対抗で、糖質制限ダイエットは、脂質やタンパク質は好きなだけ食べていいとしている。
どちらも、適量の摂取が必要。
ダイエット以外では、
健康的な血液として「血液サラサラ」が流行ったが、サラサラは血が固まりにくくなるので出血しやすくなる。
コラーゲンは食べたら分解されるから美肌効果は無い? … あるかも知れない成分が見つかっている。
魚を食べると「あたまが良くなる」⁉ … 脳が活性化されるので、そうかも。
機能性表示食品、トクホ、サプリメント … 健康食品に含まれる成分の評価は動物実験レベルの結果にすぎず、ヒトでの効果や適切な摂取量は分かっていない。
専門的な内容も多くて正確に理解することは無理なので、斜め読みして、気になる箇所だけじっくりと濃淡付けて読みました。