あらすじ
石田三成とは、何者だったのか。加藤清正、片桐且元、福島正則ら盟友「七本槍」だけが知る真の姿とは……。「戦を止める方策」や「泰平の世の武士のあるべき姿」を考え、「女も働く世」を予見し、徳川家に途方もない〈経済戦〉を仕掛けようとした男。誰よりも、新しい世を望み、理と友情を信じ、この国の形を思い続けた熱き武将を、感銘深く描き出す正統派歴史小説。吉川英治文学新人賞受賞。(解説・縄田一男)
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新しい視点からの戦国絵巻!!
2022年6月読了。
新しく見付かった一次史料等も織り込ませて、「もう書く事が無いだろう」と云うくらいに沢山の小説や映画で取り上げられてきた秀吉~家康の時代を、全く新しい発想・視点から描き出した、大変に優れた連作短編集である。
確かに「賤ケ岳七本槍」自体は有名だが、その一人一人に着目した小説は意外と少なかったかもしれない。
その七人の青春時代(出逢い)から人生や様々な想いに至るまでを緻密に描くことで、実はその七人と密接な関係に有った「八人目」の石田三成を、鮮烈なイメージで浮かび上がらせる、この着想が先ず素晴らしかった。
主題の七人も、それぞれ複雑な事情やコンプレックスを抱えて何とか生き延びてきたが、過去を振り返る時には必ず傍には佐吉(=三成)が居て、「今にして思えば…」と感慨を持つ者や、「あの時自分が賛同してあげたら…」と後悔する者も居て、最後には「佐吉が、この日本と云う国に本当に必要だと云うもの」とは…が浮かび上がってくる結末には、気宇壮大な理想が表され、感嘆せずには居られなかった。
勿論、現実に石田三成がそんな「日本の未来は〇〇〇〇が良い」とまで考えていたとは、全く思わないが(その時点の南蛮国にすら欠片も無い思想)、何かと評価を貶められがちな彼であっても、これだけの事を実行し、後世の事まで考えていたのかもしれないと云う歴史小説ならではの浪漫は、読者の心を掴んで離さないだろう。
歴史小説の世界を全く新しい視点で照らし、「まだまだ我が国も(歴史も)捨てたもんじゃない」と思わせてくれた作者には、最大級の賛辞を送りたい。
「幸村を討て」はかなりミステリーの要素が強かったので、本書は「これぞ新しい時代の歴史小説だ」と万人にお奨め出来る作品だと強く思った。