【感想・ネタバレ】焦土の刑事のレビュー

あらすじ

東京は壊れつつある。見慣れぬ街に変わりつつある――。

1945年。B29による空襲の翌朝、防空壕の中で女性の遺体が発見される。首には刃物による切り傷が。無数の遺体と目の前のたったひとつの遺体。

これは戦争ではない。個人に対する犯罪だ――。

捜査を進める京橋署刑事の高峰は署長から思わぬ言葉を聞かされる。「あれは、空襲の被害者だ」。殺人事件のもみ消し――そしてまた殺人が起きる。

高峰は、中学からの同級生で特高に籍をを置く海老沢とともに、終戦をまたいで「戦時下の殺人」の犯人を追い詰めていく。

警察小説の旗手が満を持して描く、壮大な警察大河シリーズ、ここに開幕。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

舞台は終戦間近から戦後
『戦争』が『何を』変えるのか、作り出すのか考えられる作品

二部制で描かれており
一部の隠されたものは
平和な時代しか経験していない私には
情景が浮かばず、学校で習ったことを繋ぎ合わせ
そこに、物語の事件を追加していく
…難しい、読み終えられるか不安になった

二部の暴かれたものも
全く事件が繋がらず、この時点では星は2


主人公は高峰と、幼馴染の海老沢
高峰視点が多いが、海老沢もキャラ立ちしていて面白く
2人が主人公だと感じた

2人とも警察組織に所属して
高峰は刑事、海老沢は検閲の業務を行なっている
業務内の関わりはほぼ無く、
プライベートは非常に仲良し
終戦後は同じ組織だったとは思えない程、別の道へ

立て続けに起こる事件を解決しようと
高峰が海老沢に協力を仰ぎ
2人が傷つきもがき苦しみ、立ち向かう様はとても泥臭く、熱いものがあった

犯人も黒幕も暴かれた後、
今度は自身の道に立ち向かっていく様子に
嬉しさと期待が高まった


読み終えた時には、感じていた読みづらさは全く無かった
あそこにも触れたい!が多く、感想を書くのが楽しかった

0
2022年04月27日

Posted by ブクログ

ネタバレ

【320冊目】堂場瞬一さんの作品は「震える牛」しか読んだことがなく、硬い空気感で進むのかなぁと思っていた。

 もちろん時代背景や事件は悲惨で、主人公のひとりである海老沢に降りかかる不幸もまた辛いのだけど、全編を通してどこかエネルギーに溢れていて前向きであり、苦もなくスッと読めた。
 それは、高峰のまっすぐな正義感と、戦火や組織の理不尽さにやられても立ち上がる強さのおかげだろう。節子との淡い恋模様も清涼剤として読みやすさに貢献している。

 それにしても、戦争中に死体はたくさん出ただろうし、実際にはどさくさに紛れて埋もれてしまった殺人事件もたくさんあったのだろうな。とかく戦争中の警察といえば本書にも登場する思想警察たる特高を思い浮かべるけど、いわゆる高峰のような殺人刑事や泥棒刑事はどこまで仕事ができていたんだろうな。そんなことに思いを至らせてくれる作品だった。

 あと、海老沢のような警視庁保安課の検閲官と作家の関係性について考えたこともないし、戦争中に警察の評判を目一杯傷付けた特高所属の警察官が戦後どんな目にあったのかも気にしたことがなかった。実際には海老沢のように公安警察に戻った者も多いんだろうけど。

0
2023年10月22日

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