あらすじ
誰にも訪れる「死」。しかし、実際にどのようにして死んでいくのかを知っている人は少ない。人がどのような末期を知らないと、虐待に等しい終末期医療に苦しみ、悲惨な死を迎えることになりかねない。肉親が迎えたとき、そして自ら死を覚悟したとき、どのような死に方を選べばいいのか。在宅診療医として数々の死を看取った、作家の久坂部羊氏が、人がどのような死を迎えるのかをリアルに描き、安らかな死を迎えるために、私たちが知っておくべきことを解説する。その日に備えて、読んでおきたい「死の教科書」
はじめに
第一章 死の実際を見る、心にゆとりを持って
第二章 さまざまな死のパターン
第三章 海外の「死」見聞録
第四章 死の恐怖とは何か
第五章 死に目に会うことの意味
第六章 不愉快な事実は伝えないメディア
第七章 がんに関する世間の誤解
第八章 安楽死と尊厳死の是々非々
第九章 上手な最期を迎えるには
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Posted by ブクログ
医療現場の裏話が聞けてかなりおもしろかった。
どうやって人は死ぬのか?という問いについては、人の身体はどうやって弱っていくのか、また医療現場ではどういう考えのもとどういう処置にいたるのかなど、かなり具体的な著者のエピソードを交えて書かれているので、イメージしやすかった。文章も固くないので読みやすい。
私は自分の好きな人たちに会う時には「別れたあとぽっくり死んでも後悔のないように」をモットーに遊んだり仕事したりしているのだが、この考えは本当に大事だと改めて思った。死に際に会えないことも多いし、会えたとして最後にたくさんの言葉を尽くしても言葉を聞き取れているかわからないためだ。元気に生きているうちに、ちゃんと言葉と行動で愛を示そうとまじで思った。
Posted by ブクログ
著者が医師で作家でもある久坂部羊さん。
新書ですが、読みやすくて勉強になりました。
死について、ガンについて、安楽死について等知識を得たい方はオススメです。良著。
以下は自分が付箋を貼ったページ。
P37 助かる見込みがあるのなら、病院で治療を受けたいと言う人は、悲惨な延命治療になるリスクを受け入れる必要があります。助かる見込みがあれば治療を受けたいけれど、悲惨な延命治療は絶対にイヤというのは、両立しないのです。
P109のエンゼルケアの所。看護師が遺体の肛門に指を入れて掻き出すシーンが衝撃でした。
P126 人生百年時代の意味。この言葉の真に意味するところは、「百歳まで生きられる」ではなく、「百歳まで死ねない」ということだと私は思います。それがどれだけ恐ろしいことか。
P136 がんとの共存。がんを根絶しようと思うと、過度な治療を受けて副作用で苦しんだり、場合によっては逆に命を縮めてしまったりします。過激な治療ではなく、ほどほどの治療でようすを見て、治療の効果より副作用のほうが大きくなったら、潔く治療をやめる。これががん治療の要諦です。
P166 海外の安楽死事情。日本では本人の意思より家族の意見、さらには世間の常識が優先される風潮が、未だに強いと思われます。もちろん、死んでほしくないという家族の気持ちもわかります。しかし、それを優先すべきという人は、忘れていないでしょうか。いざ、自分が死ぬ以外にないほどの苦痛に陥ったとき、優先されるのは苦しんでいる自分ではなく、その苦痛を体験していない家族だという事を。