【感想・ネタバレ】人類が知っていることすべての短い歴史(下)(新潮文庫)のレビュー

あらすじ

ちょうどいい大きさの太陽、地球を甘やかしてくれる月、原子社会のセックスアニマル炭素、防護用コンクリートほどに頼もしい大気、そして無尽蔵のマグマ――。地球万歳! ここは生物のパラダイスだ! イギリス屈指のユーモア・コラムニストが徹底的に調べて書いた、最高のサイエンス・エンターテイメント。イギリス王立協会科学図書賞受賞、読めば文系のあなたも「科学通」に。(解説・成毛眞)

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mac

ネタバレ

・「私は闇を見た。全てが夢ではない夢を。太陽の輝きは失われ、星々は道に迷い…」
・深海の本当の恐ろしさはベンズ(減圧症。語源はbend=曲げる)にある。
我々が吸う空気の80%は窒素だ。人体に圧力がかかると、窒素は小さな泡となり、血液や組織に入り込む。
圧力の変化があまりに急激(ダイバーが速く浮上しすぎた場合のように)だと、
体内に閉じ込められたその泡が、栓を抜いたばかりのシャンパンさながらに発泡し、毛細血管を詰まらせる。
細胞から酸素を奪って、地獄の痛みをもたらす。あまりの激痛に体を二つに折り曲げるから、ベンズ。
高圧の環境を完全に避けること以外に、減圧症を防ぐ術は二つしかない。
一つは、圧力の変化にさらされる時間を、ごく短くすること。
・海水が地殻へ導かれると、そこで塩が取り除かれ、真水になって、大煙突(深海熱水噴出孔)からまた海へ出ていく。
・地衣類は菌類と藻類の共生体だ。菌類が酸を排出して岩の表面を溶かし、鉱物を放出させると、
藻類がそれを変換して双方を支えるに足る栄養分を作り出す。
・枕を買ってから6年(枕の平均耐用年数)経過した場合、
その重さの1/10は「剥がれた皮膚、生きているダニ、死んだダニ、ダニの糞」で構成されている。
・ある意味で、全ての生物は遺伝子の奴隷だ。だからこそ、鮭や蜘蛛やその他数え切れないほどの種類の生き物が、
交尾の過程で潔く死んでいく。繁殖し、自分の遺伝子を広めたいという欲望は、自然界におけるもっとも強い衝動だ。
帝国の滅亡、自我の爆発、偉大なる交響曲の作曲。これら全ての背景にあるものはたった一つ。
満足感を得ようとする本能だ。セックスはまさに、遺伝物質を受け渡すよう奨励するための褒賞のメカニズムだ。
・私たちの宿命も慰めも、さらには瞳の色さえも、個々の遺伝子ではなく、連携し合う遺伝子の複合体によって決定される。
・自分たちが現在何をしているのかも、現在の行為が将来にどういう影響を与えるのかも、私たちは知らない。
わかっているのは、地球がかけがえのないものであるということと、
私たちだけが地球の未来を大きく変える力を持っているということ。惑星は一個。実験は一回なのだ。

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2023年02月17日

Posted by ブクログ

ネタバレ

 人類が知っている知恵が短編集のような感じでまとめられた一冊。分野も宇宙論・量子論・地球物理学・進化論・生命科学と、他分野に別れているので飽きずに読み進められ非常に面白かった。さらに、筆者は文系の人間らしいので、かみ砕いて描かれており分かりやすかった。

 宇宙論から始まり、量子論に移り、自然な感じで地球の話に移り、その流れから自然・生命・人間の進化等々の話。

 科学の話を完全に理解できないにしても、科学者一人一人のエピソードや科学の概略は理解できるので、入門書や自分の興味を探す本としては非常に良い一冊だった。これを片手に、もっと難しい科学の世界に足を踏み入れるのもいいのかもしれない。

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2020年08月22日

Posted by ブクログ

ネタバレ

 自然科学に関する、現時点での一般的なことがらについてまとめられた一冊。しかしながら、技術そのものの解説というよりも、それが判明するまでの人々の試行錯誤がメインになっているように思う。悪いという意味ではなく、ものすごい労力を掛けて、こんなことしか分からないのか。あれ?これってまだ分かってなかったの?と思ったりもする。
 これを読むと世界は、宇宙は広いな、としみじみと感じ、自分がいまここに在ることも奇跡なのだなぁと

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2015年02月09日

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