【感想・ネタバレ】宿神 第四巻のレビュー

あらすじ

宿敵・源義朝を倒し、ついに天下を手中に収めた平清盛。しかし、時の流れは平家の独尊を許さなかった。
宿の神は、ただそこにあるだけ。亡き者たちを背負って歩く西行の胸のうちは……。
著者畢生の大河伝奇小説の傑作、堂々完結!

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Posted by ブクログ

夢枕獏『宿神 第四巻』徳間文庫。

全四巻から成る大河歴史伝奇小説の最終巻。

自然の摂理と時代の移ろい。人間の権力や地位への欲望は果てしなく、変わらぬものは自然の摂理だけ。欲望の強さが人間を変えていき、世の中を動乱や混乱へと導いていく。

第二巻、第三巻と面白い展開だと思ったのだが、この最終巻は歴史小説の色合いが強くなり、伝奇小説の面白さが薄れたように思う。

保元の乱、平治の乱を経ても混迷は一向に治まる気配は無く、西行は平安時代が滅び行くのを静かに見詰める。祈っても、願いを叶えてくれないという自然の万物に宿る、宿の神、翁、魔多羅神。それでも人は祈らざるを得ない。

死者たちと戯れる西行……

本体価格790円
★★★★

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2022年02月16日

Posted by ブクログ

かつて愛した待賢門院璋子、心の交流があった崇徳上皇、同僚で友人でもあった平清盛。彼らはみなこの世を去った。僧侶になってからも世俗と関わり歌を詠み続けた西行さんも彼らの後を追う。人が生き、亡くなるのは自然の理。

桜の咲く満月の頃。
自分が詠んだ歌のとおりにこの世を去った西行さんはこの世をどう感じたのだろう。
神はそこにおわしますだけ。
日本人の美学を淡々と描いた奥深い作品でした。

0
2024年11月10日

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