【感想・ネタバレ】北条義時 鎌倉殿を補佐した二代目執権のレビュー

あらすじ

北条義時は十八歳で突如、歴史の表舞台に立たされる。義兄の源頼朝が平家追討の兵を挙げたのだ。義時は頼朝の側近として鎌倉幕府の樹立に貢献。頼朝没後、父時政に従い比企氏ほか有力御家人を排斥する。さらには父を追放して将軍補佐の執権職を継ぎ、甥の将軍実朝と姉政子を支えて幕政を主導。後鳥羽上皇と対決した承久の乱で鎌倉勢に勝利をもたらした。公武関係の変遷を辿り、武家優位の確立を成し遂げた義時の生涯を描く。

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鎌倉殿の13人に触発されて読んでみた第二弾。

タイトルは「北条義時」となっているが、平家が栄える保元の乱、平治の乱から、執権を中心とした鎌倉幕府の体制が確立するまでの流れが解説されている。幕府側の視点だけでなく、朝廷内の思惑や対立についても分量が割かれており、鎌倉幕府が創設され、北条氏による執権政治が確立されるに至るまでの時代背景や人物相関への理解が深まった。

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2024年11月03日

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北条義時
鎌倉殿を補佐した二代目執権
著:岩田 慎平
中公新書 2678

華々しい時代の主役より、それを支えて堅実に生きる補佐として、義時は生きた

伊豆の荘園を管理していた領主の息子とは思えない、すごい男なのです

以仁王の乱より、治承・寿永の乱(源平の戦い)、承久の乱までを描くのが本書です

本書で参照される、鎌倉幕府成立期を書いた歴史書は2つ
 吾妻鏡 初代頼朝から六代宗尊親王まで、ところどころになぜか空白がある
 愚管抄 天台僧慈円の歴史書、承久の乱までで、乱の後、一部修正が入っている

気になったのは以下です。

■以仁王の乱

保元、平治の乱にて、勝利した伊勢平氏(平清盛)は、後白河院と組んで朝廷の実権を握った
仲たがいをした、後白河院の皇子である以仁王は、天皇になれないことが分かった時点で、乱を起こした
その時、以仁王とともに、立ったのが、源頼政(源三位頼政)であった

■北条氏はなぜ、源頼朝とともに挙兵したのか

実は、源頼政は、伊豆が知行国であり、その伊豆の実務支配をしていたのが北条氏であった
北条氏は、そのままであれば、平氏から派遣されてきた官人にとってかわられてしまう
当主、北条時政は、流人として伊豆に流されてきた貴人、源頼朝を旗頭として、平氏に対抗し、自ら利権を守ろうとした
同様、平氏によって、官人をいれかえられそうな武士たちを統合して、挙兵に至ったのである

北条義時は、父とともにたち、以後、頼朝と行動を一にすることとなる

■平氏はなぜ敗れたのか

知行国主の交代などで、荘園を守る武士団からは、不平不満がでていた
現場は、平家家人、対、非平家家人という構図になっていく

関東武士団は、平家とは主従関係にあるものもいるが、まとめ役がおらず、家人相互の連携が不十分であり
頼朝に個別撃破されていった

興福寺との係争の中で、東大寺の大仏が焼失してしまう事件が発生する、以来、清盛は、仏敵という汚名を負うこととなる

後白河院以後は、政治を担うメンバーを確保できず、清盛のワンマンであったが、ほどなく、清盛も病死してしまい、後継たる体制を作ることができなかった

■平家追討で、なぜ、義経は、頼朝から見限られたのか

鎌倉殿に味方した兵力は、ほとんど陸路を進撃していたから、水路を負って決戦を繰り返していた義経とちがって、戦功の機会にめぐまれず、胸中穏やかではなかった

頼朝の代官として入京するに加勢した、平信兼を頼朝の命によって殺害されてしまい、義経は面目を失う

頼朝は、畿内の領地を、義経が、横領するのではと疑い、北条時政を調査員として派遣した
そこで、院から、頼朝追討の院宣がでてしまう、これで、両者の仲は決定的に不和となる

■鎌倉幕府成立以後

建久3年 1192 頼朝は征夷大将軍に任ぜられ、鎌倉幕府が成立

頼朝死後、2代頼家の時代となり、13名の合議制が始まる
 梶原景時失脚
 二代頼家は、比企を守ろうと時政追討を命ずるも失敗、支持を失い殺害される
 比企能員失脚
 比企から嫁をもらっていた、義時は、妻と離縁

3代実朝が征夷大将軍へ、このとき、後鳥羽院の強い影響下に置かれていた

 畠山重忠の滅亡 乱の鎮めたのは義時であり、重忠は冤罪であるとした

 牧氏事件 牧の方が、時政とはかって、実朝を排斥し平賀朝雅を将軍を擁立する事件がおきる
 北条政子と、義時はこれに対し、父を排するという事件である

 1219年実朝は頼家の子公暁に殺害され、1221年に武家から実権をとりもどそうと、義時討伐をねらった承久の乱がおきる

 これを北条政子とともに、鎮めたのが義時であった
 実質の鎌倉殿は、北条政子であり、それを補佐したのが、執権、北条義時である

 承久の乱以後は、武士と公家の立場が逆転、
  後鳥羽院は、隠岐に配流
  西日本が鎌倉幕府の支配下に
  六波羅探題による、武家の公家への監視
  御成敗式目の制定

 と歴史は流れていく

 幕府創設の時代に調整役として、義時は生き、その死後は、子の泰時が3代執権として義時の作った体制を
 継承していくこととなる。

はじめに
序章 伊豆国と北条氏
第1章 流入源頼朝と北条氏
第2章 平家追討戦
第3章 幕府草創
第4章 鎌倉殿源頼家と北条義時
第5章 実朝・政子・義時
第6章 後鳥羽院政期の鎌倉幕府
第7章 承久の乱
終章 新たな公武関係
あとがき
主要参考文献
北条義時略年譜


ISBN:9784121026781
出版社:中央公論新社
判型:新書
ページ数:248ページ
定価:820円(本体)
発行年月日:2021年12月
2021年12月25日初版
2022年02月25日3版

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2024年07月27日

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ゆるやかな同盟やチームは、組織が大きくなって、外の敵対勢力と必死になって戦わなければならなくなると、もっとも堅牢な芯を求めて切磋と削ぎ落しが始まる。それは組織が成長と継続を求める上での必然としての構造の純化なのかもしれない。時代の変換点にあたって、当初、頼朝の旗に集まった頭目たちは、権力構造の明確化に向かって一人また一人と消えていく。

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2022年03月28日

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詳しく書かれて、人生の前後がわかります。頼朝も義時も嫡男でなくいつの間にか源氏棟梁と北条家執権になっている。

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2022年03月12日

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大河ドラマの予習に。義時の話にたどり着くまでに遠回りをしているが、丁寧でよい。所々理解が難しいところもあったが、私の不勉強なので大河が終わる頃にまた読みたい。

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2022年02月22日

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『鎌倉殿の13人』の予習も兼ねて手に取りました。教科書では公家対武家の争いの中で武家が力を手に入れる時代、というイメージでしたが、そんな単純なものではなく、様々な利害関係が渦巻いた結果に成立した鎌倉幕府の姿がよくわかりました。

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2022年05月07日

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大河ドラマの主人公北条義時を中心に鎌倉幕府成立前後が描かれる。頼朝の死ぐらいで源平の知識って深ぼられないのだけれど、大河の影響もあって執権政治の成立までを理解できるのはすごくいい機会だと思う。本書でも描かれているように、頼朝の死後の幕府内外の内紛が夥しく、極めて北条得宗家での支配確立までが危うい道を辿ったものだったのかが窺える。義時と政子の兄弟のタッグ、そして三浦義村の助け、大江広元との連携がキーだったんだろう。また、京都でも院政は引き続き続いていたという点は確かにその通りで後白河院が力を持っていた時代から遠く離れたわけでもないので、幕府の力というのはその点でもかなり危ういし、実朝死後の源氏嫡流が不在の時の承久の乱はヒヤヒヤもんだったのではないか。
現在大河で仲良く?やっている彼らが仲違いをしていくと思うと複雑な気持ちにもなるが、先を見るのが楽しみでもある。

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2022年04月05日

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ちょうど大河ドラマ「鎌倉殿の13人」を見ているので、歴史が気になり本書を手に取った。
本書を読んではじめて、「鎌倉殿の13人」の意味がわかった。
はじめ、鎌倉幕府を創建するのに貢献した13人のことかと思っていたらそうではなく、幕府ができたあとに幕府中枢で運営していく13人のことだと知った。
と、すると、今回の大河ドラマは、いったいどこまでが描かれるのだろうかと思った。
主人公の北条義時が死ぬまでだとしたら、そのストーリー(人生)は悲しすぎると思った。
政略のために、たくさんの人が死んでいくからだ。
歴史を知らない僕はこの本で、義時にどういう人生が待ち受けているかを知った。
仲間として戦ってきた戦友と次の戦いでは敵になるかもしれない。
そんな時代を生きた人々がとてもかわいそうだと思った。
本書では、ひとつひとつの出来事はざっくりとしか紹介していない。小説仕立てではなく、吾妻鏡を中心とした史料をもとに事実がたんたんと述べられている。
少し物足りないと感じはしたが、何が起きたかを簡潔に知るには良書だと思う。
ただ、事実だから仕方ないが、登場人物が多すぎて理解するのが大変だった。

どちらにしても、この先、大河ドラマを見るにあたって、基礎知識ができて見方が少し変わるので、本書を読んで良かったと思う。

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2022年04月04日

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テレビドラマに合わせて~~面白く読みました。前半の貴族社会や天皇家の抗争はよく理解できなかったけどネ。ドラマの行く末を見ちゃった

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2022年03月16日

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大河ドラマの予習として読んでみた。
義時以前からの院政や平家のこと、関東周辺の関係などが時系列で丁寧に説明されており、初心者にはたいへんわかりやすい。

しかし思っていた以上に目まぐるしい、激動の展開にびっくり。予習なしでドラマを楽しむのもいいけれど、知ったうえで三谷さんがどう描くのか観ていきたいかたはおすすめです。

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2022年02月26日

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私は大学で日本近世史を専攻している。しかし、大河ドラマを見るにあたって、北条義時に関する文献を探した。この本に出会い、もう一冊と悩んだものの、この本の筆者が専門になさっていて、さらに最新の研究が反映されていると感じた。中世の公武関係が関わる本に関しては2冊目だが、筆者は深くさまざまな関連文献を読み込んでいるように感じた。我々は北条氏と聞くと、なんとなく良いイメージを持たないがそう言った内容を払拭するようなものであった。一部の史料に基づいたものではなく、さまざまな史料を結びつけ、論を展開している。また、鎌倉幕府将軍でなく、あえて鎌倉殿としている副題も読むことでわかる。本著の内容を読み込めば1192論は不適切であると感じる。公武関係に関しては河内祥輔、新田一郎『天皇と中世の武家』講談社学術文庫もおすすめであり、双方を読むと深まる。

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2022年02月09日

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大河ドラマで話題の人物の新書。だいたい、源頼朝の旗揚げから承久の乱の収拾までの時代を、とくに北条氏が権力を得ていく過程とともに叙述したという趣。史料から確実に言えることに叙述を絞りながら筆を進めていくというのが基本姿勢となっており、評伝的な要素は少ない。北条義時個人の人柄を云々するよりも、関東の武士団の縁戚関係と鎌倉幕府草創期の混乱がどうリンクしているのか、という話が主となっている。

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2022年01月25日

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義時を中心として語ろうにもなかなか史料的な裏付けが得にくい人物であることがよくわかる。いきおいその前提となる歴史的な背景に多目にページが割かれる。本書も第3章(頼朝没、ページで言えば86ページ)まではほとんど義時は登場してこない。本文は197ページまでなので、義時が鎌倉幕府政権の中心として出てくるまでに全体の半分ほどの紙幅を費やしていることになる。しかし、逆にそれゆえに前提となる話がしっかりと頭に入ってきて、それ以後の話も辿りやすくなっているかと思う。

「鎌倉殿の13人」と呼ばれる合議制から次第に有力御家人が排除され、政子と義時に権力が集中していく中で重要な役割を握る続けるのが朝廷であるが、その朝廷が最後に下手を打って幕府が本当の意味での統治権力となっていく。武家の時代の始まりであり、その優位の確立である。本書は京の動向に終始目を配りながら、そのダイナミクスをわかりやすく解説した良書と言えよう。

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2022年01月13日

Posted by ブクログ

歴史書や学者の研究を紐解きながら鎌倉幕府の仕組み作りに重要な役割を果たした北条泰時を描いた本書は、人気脚本家によるキャラクターを鮮やかにしたドラマに比べれば全く面白くはない。それでも大河ドラマを見終わった後で、歴史の解釈を知ることも悪くはないと思って読んだ。ドラマでの名場面となった和田義盛の戦いや平賀朝雅の立ち位置など新たに知ることができる。

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2023年01月10日

Posted by ブクログ

『北条義時』というタイトルだが、義時の前の時代の話が長く、少々もどかしく思った。しかし、義時が生きた時代を知るには必要な歴史的背景の説明だったのかな、とも思う。
義時自身の話というよりは、義時が生きた鎌倉幕府草創期の話という方が適当かもしれない。
私にとっては、ドラマ『鎌倉殿の13人』がなかったら、ずっと注目することがなかっただろう人物なので、義時のことを知る良い機会だった。

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2022年12月24日

Posted by ブクログ

著者が「はじめに」で書いてあるように、北条義時はどこか影が薄いという。

実際には、草燃えるでほぼ主役で演者が松平健、鎌倉殿の13人で主役で演者が小栗旬、と大河で取り上げられているわりには、確かに日本史上影が薄いと思う。

また義時は、若年の頃の活動を裏付ける資料に乏しく、鎌倉幕府の制度上特筆大書すべき事績が見当たらないとのこと。

よって、新書一冊を持たせるほどのネタがなかったため、『北条義時』という名の本のわりには、北条義時が出てこない。そして、義時が・・・という義時を主語とした行為の記述もあまりない。
これはやはり不満につながる。

とはいえ、それが現実なのだと思う。

中世の武士の特徴は「王権守護」と「自力救済」と端的に表現することができ、その文脈のなかで北条義時と鎌倉幕府創成期を語り切ったところに当書の意味がある。

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2022年10月25日

購入済み

大河ドラマの勉強をかねて

大河ドラマ・鎌倉殿の13人、をより深く理解したいと思い購入しました。
初めてこのような形の歴史上の人物の話を読みましたが、単語なども知らないものが多く、自分にはまだ難しいなと感じました。
ですが歴史の流れはつかむことができたので、読んで良かったです。

#タメになる

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2022年06月24日

Posted by ブクログ

あまり資料が残っていないせいか、本人よりもその生きた時代の背景説明にスポットが当たっている。
本書を北条義時の個人伝ではなく平安末期から鎌倉草創期の政治史と見れば読み応えは十分にある。当時の武家と朝廷は相互に絡み合う関係で日本史の教科書にあるような単純な対立関係にあったわけではないことが改めて分かった。

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2022年06月05日

Posted by ブクログ

構成上致し方ない気もするが、特に義時の出番がほぼ無い前半部において、前後関係の叙述を省略し過ぎではと思うところも。諸事件の解釈や背景の考察について、新たな視点を得られたものもあった。

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2022年03月04日

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