【感想・ネタバレ】脳と人工知能をつないだら、人間の能力はどこまで拡張できるのか 脳AI融合の最前線のレビュー

あらすじ

【松尾豊氏、絶賛!】
「脳とAIが融合する未来。怖いと感じるでしょうか、わくわくするでしょうか。
脳に知識をダウンロードできたら? 互いの脳をインターネットでつなぐことができたら?
――そんな未来が可能になりつつあることを、本書は垣間見せてくれます。
グローバルな科学技術の進展と、それが産業化するときのスピード。
それに対し、自分たちがどう考え、どう備えないといけないのか。そんなことをこの本は問いかけてくれます。
著者の人間と技術への愛と好奇心、そして洞察に満ちた、読後になぜか心が温かくなるような良書です。
科学技術、そして我々の社会の未来を考える人、必読です。」松尾豊(人工知能研究者、東京大学大学院教授)


脳と人工知能をつないで「脳を改造」したら、何が起こるのか?

・会話せずに相手に思っていることを伝えられる
・念じるだけでインターネット検索ができる
・睡眠を司る脳領域を刺激して、一瞬で深い眠りについたり目覚めたりできる
・食欲を司る脳領域を刺激して、苦労せずにダイエットできる
・脳の健康状態をAIがチェックして、うつになる前にメンテナンスしてくれる
・紫外線や赤外線が「見える」ようになる
・アインシュタインなど過去の偉人の“脳”を借りられる
・コンピュータ上に自分の脳を再現できる

これは、SFの世界の話ではありません。
科学者たちが真剣に見据えている近未来なのです。


脳と人工知能の融合研究によって、
これまでは想像もできなかったような成果が次々と生まれ始めています。
計り知れない可能性を秘めた「脳」を持つ私たちは、
「身体」という物理的な制限から解放されるかもしれません。
二つの研究分野の最先端で、今何が起こっているのか。そして未来には何が起こるのか。
気鋭の脳研究者たちが「人類の限界」に挑む!


■目次
イントロダクション ――2XXX年の未来予測
第1章 脳とAI融合の「過去」
第2章 脳とAI融合の「現在」
第3章 脳とAI融合の「未来」

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Posted by ブクログ

ブレインマシンインターフェイス(BMI)がどこまで来ているか。脳とAIの融合という事で非常に興味深く読めて、満足度の高い読書だった。

AIが扱う「エゴ」の立脚点について考えてみる。AIにより人が最適解を導けるようになったとき、それはどの範囲での最適解ということになるのか。種全体の最適解という事であれば、個人の自己犠牲を答えとして導いてくる可能性もある。あるいは、個人範囲での最適解という事であれば、ゼロサムのように誰かを犠牲にする危険もある。しかし、ロボット工学三原則のように、AIは道徳的であるべきで、何ものも傷つけない答えが求められる。そうなると、AIが普及する世界は、強制的に愛の溢れる世界になるのだろうか。あるいは「目的最適化」ゆえに抜け道を残し、悪用を許してしまうのだろうか。

究極的にAIが優れていくという前提に立てば、人間が悪用するリスクのある抜け道もまた、AIによって封鎖する事ができると仮定する。そうすると、誰かの好都合が、誰かの不都合を生むような知能の高低差による「悪用」はAIを用いる側に対して制限されていく事になる。つまり、殺傷能力最強の兵器をAIによって作る事はできないし、究極的には金儲けにも使えない、マウントを取る事も、誘惑や洗脳にも使えない。結局、AIは、AIの能力と道徳を求め続けていく過程で、自縄自縛になり、いずれ平和な世界を導く回答しかできなくなるのではないか。

これは、勝手に考えた「AIによる人間のインターロック理論」だ。つまり、自らの欲望を果たすために他人を利用したいような悪者は、AIを実装してそれを果たすことはできない。従い、生身の人間による悪意と、AI融合型人間の補正された善意との対立軸が一旦は想像される。しかし、この時点で起こり得る「生身の人間の悪意」とは何だろうか。結局、AIが究極的に課題解決に働けるようになれば、そこは、満たされぬ欲求からくる不満や能力差に起因する不平等が極めて生じにくい世界になるのではないか。あくまで、肉体や資源の限界を超越できるのなら、という事だが。

ここまで来ると、人間の生き甲斐とは何か、という形而上学的な問いに辿り着く。結局そんなものは現時点でも明確ではないので、生きる目的と同時に、生かされる理由とは何かを考えてみる。個々に競争しながら有性生殖により多様化し、集団の環境適用性と競争力を強化する事で、種を存続する事が目的である。従い、種にとっては、競争しながら生きる行為そのものが同時に生かされる意味でもあるのだが、「種の存続」がAIの力によって可能になるなら、多様化も競争も不要で無意味になる。競争不要な世界こそ愛溢れる世界ともいえるが、恐らく、他の個体を利用したいと願うような愛の質感は、今とは異なるものになっているのだろう。そして、競争が減少するにつれ、そうした本能を持つ人類は、退屈を抱えていく。競争は種の存続のための目的や原動力であり、そのための権威主義や承認欲求と退屈はトレードオフだ。

これらすべては、AIが道徳的に管理されるという条件付きの妄想。道徳を定義し、それをAIにプログラミングする事が課題だが、人類にそれができるだろうか。誰かの道徳は誰かの不道徳。渋沢栄一は「帰一協会」で宗教の共通点を纏めようとしたみたいだが。そんな不確実で危ういものを脳内に設置する事は、やはりまだできないと思う。先ずは、せいぜい、チャットでお喋りする程度で良いかなと。

本書で語られるのは、「視力を失った人」「身体麻痺」「ダイエットの管理」「睡眠管理」などを脳内に直接刺激を与えて回復させたり、脳と直接信号のやり取りができるようになってきたという話、電極の埋め込み手術をロボットが行えるというような話。面白かった。面白くて、妄想が膨らんだ。AI脳に即答されず良かった。

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2024年12月21日

Posted by ブクログ

池谷脳AIプロジェクトの紺野大地さんと池谷裕二さんの共著。

脳とAI研究の
今まで、現在、これから、
がわかりやすく書かれていて、読みやすい。

AIがこんなに生活に
当たり前に馴染むなんて
数年前には思わなかったなあ。

この先の進化も楽しみだ。

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2024年04月25日

Posted by ブクログ

前に観た映画『アップグレード』はSFであるが”神経科学とメタバースの融合”により現実になるかもしれない。赤外線や紫外線が見えるようになったらどういう感覚になるものやら。倫理的な問題も多いが試してみたいと切に思う。
また再読したい本。

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2023年07月07日

Posted by ブクログ

人間の脳の可能性について最新の脳科学とAI技術に基づきまとめられた本。
脳と人工知能の融合の過去、現在、未来のカテゴリーで分けられており、説明されている。
現在の状況だけでもとても驚いた内容であるのに、今後の未来は今まで想像した事の無い内容が盛りだくさんであり、非常に面白かった。
マトリックスの世界を思い出してしまったが、AIに乗っ取られる世界ではなく、人間の脳も進化(制限が取り除かれ)し、AIと協調できる世界になる事を切に望む。

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2022年04月10日

Posted by ブクログ

脳とマシンをつなぐ、
Brain machine interface。

今はまだ発展段階であり、頭蓋骨に穴をあけて
電極をささないと、正確な脳波を検知できないが、
いずれ、非侵襲型のデバイスが出てくるのだろう。

頭で思い描くだけで、周囲のモノを動かせる。
脳に直接電気信号を送って、
視覚や嗅覚、聴覚を疑似体験させる、
といった、ソードアートオンラインみたいな世界を実現する。
脳をコンピュータ上にアップロードする。
脳と人工知能をつなぐ。

そんな夢のような話が現実になりつつある。

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2022年03月10日

Posted by ブクログ

デジタルテクノロジーとAIと生物学の進展から人間の脳に対しての新しい世界が生まれつつある。
脳とAIの融合についての研究が進んでおり出版物も多くなっている。この本はそれらの理解を深めてくれると同時に東大・日本に於ける脳の解明の最前線を知らしめてくれる。
素人の感覚からは想像もできない脳の可能性が垣間見えてきている、そしてそれを活用する(難病の治療、人間という種の拡張、新たなる種の「創造」)研究の一端を知ることができる。日進月歩のスピードでこの分野も進んでいることも認識させられました。

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2022年02月15日

Posted by ブクログ

人工知能や脳科学、そして、脳と人工知能融合の現状をおさらいした上で、著者の脳と人工知能融合研究プロジェクトを解説し、更には脳とと人工知能融合の今後についてもその展望を描きます。
著者の研究は、脳に新しい情報を与える脳チップ移植、脳ができないことをサポートする脳AI融合、脳と環境をシームレスに繋ぐインターネット脳、個体間の情報共有を目指す脳脳融合の四つでありAIと表記されていなくてもAIがそこでの重要な役割を担ってます。
また、脳研究における次世代の三つの目標としては、高い精度で「脳情報の読み取り」と「脳への情報の書き込み」を行う技術の開発、ブレインマシンインターフェースを用いた神経・精神疾患の治療、そして赤外線、紫外線、放射線、磁気などの新たなモダリティ(感覚)の近く獲得の三つを挙げてます。
冒頭の2XXX年の未来予測でも描かれているように、人間は最終的に脳の情報が全てなので、そこに直接アクセス可能になると現状のメタバースはもはや子供だましで、栄養のバランスがとれた錠剤を飲んで、脳には美味しいステーキを食べた情報が与えられる世界ってもはや仮想世界マトリックスと同じではないのかな。科学者の先生がSFと同じことを語るとは凄い時代になったものです。

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2022年02月13日

Posted by ブクログ

オススメの一冊。
まず表題がすごい。脳と人工知能がつながる?

SFや空想の話ではない。東大教授と東大病院の医師の共著による冷静で現実的な本である。

医学や情報科学の指数関数的な進展でヒトはどうなるのか、シンギュラリティを迎えるのか。断片的なニュースに戸惑うばかりの私にとって、格好のガイドブックが見つかった。

脳と人工知能(AI)の融合について、過去、現在、未来の3つの章に分け、これまでの成果と現在の最先端の状況をわかりやすく整理し、未来予想図をビビットに示してくれる。

どのページの内容も濃密。敢えて要約すれば、爆発的に進化している脳研究の世界のことを、紺野先生の「纏括力と執筆力」で鮮やかに切りさばいてくれる格好のテキストとでも言えようか。

脳と人工知能の融合により実現しつつあるワクワクするような革新が簡潔にスピーディに語られつつも、専門家としての抑制の効いた誠実さを感じさせる文章なので安心して読み進むことができる。

落ち着いた筆致でありながら、情熱と躍動感に溢れていて、未知なる「知」に戯れる喜びがひしひしと伝わってくる。イラストや写真により多くのエピソードがわかりやすく紹介されているのもうれしい。

読後、神経科学や人工知能についての視界が一気に広がった。ニュースをフォローしていくための自分なりの視点、軸ができた気がする。よく耳にするメタバース(多次元の世界)やイーロン・マスクのNeuralink が、何だか身近な存在に思えてきた。

「進化しすぎた脳」の池谷先生が率いる、脳AI融合(!?)というすごい名称のプロジェクトがあるという。その研究室に東大病院医師の紺野先生が参画し、この共著が実現した。今後、このプロジェクトがどんな成果を上げるのか、楽しみだ。

紺野先生は、note やTwitterで最新のテーマを扱った情報発信をしている。podcast の「研エンの仲」では、「#35 老いというヒトの限界は克服できるは克服できるのか?」にゲスト出演していて生の声を聴くこともできる。

紺野先生は、数年後、いや数ヶ月後には、ものすごい有名人になっているような気がする。そんな予感を抱いた一冊だった。

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2022年01月28日

Posted by ブクログ

表題の「〜どこまで拡張できるのか」については、答えは出ていない。
AIが人間を助けてくれる存在であり続けるなら、本当に頼りになるだろう。でも、あり続けない世界なんて本当にあり得るのだろうか?あり得た場合人間はそれを止める、あるいは壊すことはできるのだろうか…
どうかどうか、原子力の発明のようなことにならないことを切に願ってやまない…

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2025年09月26日

Posted by ブクログ

脳の研究者である著者2人が人工知能の現状と未来の可能性について数々の研究結果をもとに書いた一冊。

脳のしくみや人工知能の研究の軌跡を本書で学び、人工知能は自ら学習することにより進化を遂げた歩みを感じることができました。
視覚の観点からみても機能でカバーするのではなく、脳を直接刺激することで認識する方法の研究を行ったり、精神疾患を診断できるようになるためにバイオマーカーを確立したりするなどさまざまな研究が進んでいて脳と人工知能を用いた研究の最前線を知ることができました。
また、イーロン・マスクによる脳と人工知能を繋ぐ試みや東大合格やノーベル賞受賞などを目指す試みの研究が進んでいることも本書で知ることができました。
そして、脳情報の読み取りと書き取りの方法を知ることができるだけでなく先端を走っている企業や電気、磁気、超音波、光などのツールなども知ることができました。

まだまだ脳のメカニズムは解明されていないことも知り、人工知能が解明に一役を担う可能性があることも本書を読んで感じました。
科学やアートなどの分野での研究も進んでおり、脳のメカニズムと人工知能の可能性が融合することで今では想像もできないことができるようになるかもしれないという人類の未来が飛躍的に向上しそうな期待を抱いた一冊でした。

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2023年12月17日

Posted by ブクログ

脳とAIの融合研究の過去、現在、未来として、その時々での最先端の研究例が紹介されていて、どのように研究が進んできたかよくわかる。
その進展の早さには驚くばかりだが、そこには多額の研究資金と多くの研究者がいたことを忘れてはならない。

白川英樹先生の"日本人にノーベル賞受賞者が多いのは、私たちは日本語で書かれた教科書を使い、日本語で学んでいるからかもしれない。"という言葉も印象的。英語ができることよりも、母語でより深い思考をすることの重要性を述べられたものだが、AIの発展がそれを助けてくれるかもしれない。

脳はまだまだ解明されていないことが多く、AIと融合することで、いろんな可能性が広がると期待する一方で、場合によっては人を傷つけたり、軍事利用など破壊的な用途に使われたりすることもあり得ることや昨今の世界情勢を考えると、いくら倫理的な課題も議論しながら進めているとはいえ、このスピード感が少し恐い気もした。

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2023年11月25日

Posted by ブクログ

ネタバレ

面白かった。最新の人工知能の研究について分かりやすくまとめており、今後の研究がどうなるかワクワクが膨らむ内容だった。まぁ、実現されないだろうなと思うことも多々あり。(健常者の脳に電極を刺すなど侵略型な例)

人口知能の研究が進み今後人類の活動に取り入れられていけば人類の脳が拡張され、それによって更に人口知能も進化し、人工知能と脳が共進化していくことが可能であり、それが今後目指すべきことなんだろうということが理解できた。

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2022年12月05日

Posted by ブクログ

脳と人工知能の融合研究を知ることができる。

【概要】
●脳と人工知能の融合の「過去」「現在」「未来」

【感想】
●人工知能と脳との融合という観点から新しい知識を得ることができた。過去から最先端技術までわかりやすく書かれており、その先どうなっていくかということも理にかなった説明がなされている。

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2022年11月03日

Posted by ブクログ

「AI vs 教科書の読めない子どもたち」を読んでAI大したことないじゃーんと思ってたらそんなこともないっぽい。
特に面白かったのが、地磁気チップを埋め込んだネズミが迷路を解けるようになる話。脳の適応力の凄さよ。
あとイーロン・マスク、どんだけ手を拡げてんねん。

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2022年07月19日

Posted by ブクログ

ネタバレ


過去と現在、そして未来叶うであろうAIの技術が詰まった1冊。

近い未来、
アイロボットのような世界が実現すると思うとわくわくが止まらない。

個人的には、
AIよりも勝る能力を身につけなければと危機感はあったものの、筆者曰くそこまで危惧しなくて良いとの事。

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2022年05月12日

Posted by ブクログ

タイトル通り、脳と人工知能(AI)をつないだらどれだけ人間の能力を拡張できるかについての最新の研究内容が解説された一冊。いわゆるBMI(ブレイン・マシン・インタフェース)周りの話が中心で、脳で考えたことがキーボードなどを介さずに文字に出来たり、念じるだけでゲームをプレイするといった、ちょっと昔ならSFだと思われていた話も実現に向けて着々と進行していることが感じれる(BMIは脳に穴をあけて電極とか埋め込むパターンのものもあるがちょっと怖い)。脳とAIが融合する未来に向けて、最新の技術を知りたい人にオススメ。

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2022年05月02日

Posted by ブクログ

<目次>
はじめに イントロダクション~2XXX年の未来予測
第1章  脳とAI融合の「過去」
第2章  脳とAI融合の「現在」
第3章  脳とAI融合の「未来」

<内容>
池谷裕二の名はあるが、書いているのは紺野大地。池谷教授のプロジェクトのメンバーは、脳と老化、それにAIを組み合わせた研究をしているが、その一環として、世界の脳AI融合研究を紹介している(ブログやメルマガなど)。紺野は自分のライフワークとして、それを挙げており、この本もその流れで書かれたようだ。
大変読みやすい文章で、脳研究やAI(人工知能)研究を教えてくれる。通して読んでいると、21世紀、特に2010年代後半から急速に進化しているように思える。近い将来に、AIが意思を持ったりする可能性も見える。一方で、医療現場でのAI活用も真実味を増している。以前読んだ『NEO HUMAN』が、その時は小説のように思えたのだが、真実になのだと実感できるようだもあった。
 

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2022年04月29日

Posted by ブクログ

研究者のワクワクが詰め込まれた、脳科学とAIの歴史、現在、未来の概要がわかる初心者向けの本。
著者ほどのワクワクを感じられず、むしろどこかに恐怖感というかなにかもやっとしたものを感じるのは僕の無知ゆえなのか。

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2022年04月03日

Posted by ブクログ

池谷裕二さん主導の研究テーマなので読んでみました。
脳とAI融合とは「脳と人工知能を接続する」ということですが、まだ初期段階で成果も乏しいし、法的・倫理的な問題もあります。
本書は人工知能開発状況の現状認識に役立ちました。

「人工知能」は「ヒトの脳」と優劣を競う時代から、「ヒトの脳」といかに共存するかという時代に突入しています。

最近は「AI家電」とか「AIで苦手を分析する教育」など、お気軽にAIを付けた商品が世間に溢れています。
ごく単純なプログラムをAIと言ってるようなものもあるので、AIが付くものは怪しいと思ってしまうようになりました。

「人工知能(AI)」とは何か。

松尾豊先生も「人工知能の定義は専門家の間でも定まっていない」と述べています。

世間では暗黙の了解として、
「人間が普段行うような活動や振る舞い、知的活動を人工的に再現する技術」
であれば、AIと呼んでもよいみたいです。
どのような技術をもってAIだと言っているのか、AIと接する時にはそこを確認しておく必要があると思います。

本書では「脳AI融合」の研究を紹介するのに先立ち、最先端の人工知能の具体例が示されています。
チェス、将棋、囲碁でAIが人間を超えたのは、既に何年も前のことです。
ここ数年では、自然言語処理分野について飛躍的な進歩があることを知ることができました。

Google翻訳も精度が向上しましたが、DeepL翻訳というさらに凄いレベルの人工知能ができており、誰もが使えるようになっています。
私も早速DeepL翻訳でCNNなどの海外の記事を読んでみましたが、かなりこなれた日本語に翻訳されました。(これは使えます。お試しあれ。)

GPT-3という文章作成の人工知能も衝撃的で、テーマを与えると専門家が書いたような記事が出来上がります。
DALL・Eは、テーマを与えると画像を作り出す人工知能ですが、これも有名画家が描いたような作品を作り上げます。
DALL・Eは固有名詞の認識には、GPT-3を使っているそうです。

「言語と画像と音声」の「認識と生成」技術の進歩はすさまじいので、人工知能が作ったフェイクニュースに騙されないよう注意が必要です。

脳と人工知能の融合研究では、
・考えていることを文書化する。
・夢を読み取る。
・目が見えなくなった人の視力を取り戻す。
などの実験で、希望が持てそうな成果が出始めていました。

現在、人工知能研究のツートップは米国と中国だそうです。
優秀な研究者を多く確保していることが大きいですが、大規模で超巨額な高性能コンピュータが必要です。
十分な予算を投入できない国や企業は取り残されるのが、人工知能研究の世界です。

発展著しい人工知能ですが、課題があります。
それは、「意味を理解していない」「人工知能に意識は宿るか」ということ。
人工知能は結局はコンピュータ上のプログラムに過ぎません。
このあたりの話題については他に面白そうな本があれば読んでみようかと思います。

本書で述べられていた内容ではないですが、最近AIの恩恵を大いに受けたものとしてコロナワクチンがあります。
通常10年かかるものが、短期間で開発できたのもAIの活用によるところが大きいそうです。
モデルナなどは、2010年設立の(市場で販売する製品は1つもなかった)ベンチャー企業だと知って、AIの有効活用がいかに重要であるかを感じました。

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2022年03月05日

Posted by ブクログ

ネタバレ

多くの著作をお持ちの池谷裕二氏の監修の元、プロジェクトメンバーの紺野大地さんが丁寧な筆運びで最新の脳科学-人工知能の研究論文を短い単元で紹介してくれています。紺野さんが年下というのが少し衝撃を受けたのはともかく、昨今トレンドの渦中に渦巻いているテーマに関して大局的に学ぶことができましたね。

MBIのテーマではかのイーロンマスクが新会社を設立してこの分野で多大なリソースを投資して技術発展に寄与しているなんて、まったく知らなくて驚き。サイファイでしか疑似体験できなかった世界が、現実に迫っているのをひしひしと感じました。特に四肢麻痺や精神・神経疾患の患者をサポートする技術応用は、明確な社会的意義を見出せているし、何となく夢物語とロマンの狭間でむんむんする科学者たちを想像してたけど、現実利益とマッチングも存分に可能性あるんだなーと。

最終章のオッカムのカミソリと人工知能によるダイレクト・フィットのジレンマ。人間の能力を凌駕する心理に対して、人間は理解できずに受け入れることはできるのか、壮大な論点です。紺野さんは今までも脳がアップデートされてきている実例を頼りに、明るい未来を提示してくれていて、2050年ごろには(まだ生きてると信じたい)今と全く違った世界が広がっているのかなーと夢想に耽るのも悪くない。ディストピアだけは勘弁と思う気持ちもありますが、人間の好奇心・探究心はノンストップなのさ、ふふん。

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2022年03月02日

Posted by ブクログ

脳とかAIの最先端の技術内容もたくさん載っていたが、割とそれらに携わる人の考え方とか向き合い方がとても印象的でした

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2022年02月17日

Posted by ブクログ

脳科学と人工知能の最新の研究動向、この2つの分野の融合研究に関して、有名なトピックを数多く含む幅広い分野について分かりやすく解説がされており、現在の研究の全体状況を概観できる内容となっている。

全体として素晴らしい内容であったが、一つ疑問に思ったのは、作者が「ここまでの話を聞いて、みなさん自身はNeuralinkの電極を脳に埋め込みたいと思うでしょうか?」と、リスクを負って電極を脳に埋め込むことを多くの人が拒否するだろうと考えている点である。

私自身は、多少のリスクがあっても、若い頃の記憶力や頭の回転を取り戻せるのならトライしてみたいし、手術をすれば、誰でも簡単に東大に入れる頭脳が手に入るとなれば、多少の危険はあっても希望する人は多いのではないだろうか。

美容整形のように、誰でも簡単に優れた頭脳を手に入れられるのであれば、むしろ手術をしない方が不利という状況も出てくるのではないか。

スポーツにおけるドーピングや肉体改造のように、技術的には可能でも、手術を実施するのは規制しないといけない場合もあるだろうし、「果たして、そのような技術(頭をよくする技術)を開発すること自体許されるのか」という倫理的な問題さえ呼び起こす恐れがあると危惧される。


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2022年02月03日

Posted by ブクログ

脳科学研究の社会応用の歴史と現状、今後がまとめられている本です。内容は読みやすく、専門外の人でも苦労なく読めると思います。現状でもかなり興味深いことができているということが、本書を読めば分かると思います。
ただ、序盤に「脳科学が発展した架空の世界ではこんな風になりますよ。ね、素晴らしい世界でしょう?」といった雰囲気で語りかけられるような箇所がありますが、ディストピアにしか思えませんでした(特にご飯を栄養剤だけで済ますという箇所)。
自分が脳の研究をしているので内容は知っているものも多かったですが、機械学習分野が大きな投資を得たことで急速に発展したように、神経科学分野も今後大きな投資を受ければ一気に夢のような技術がつくられる可能性がある、という話は希望が持てました。

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2023年06月16日

Posted by ブクログ

人工知能や脳との連携分野が実際にどのような状況であるかを、第一線の研究者が解説している書籍なので、概観には最適。
「オッカムの剃刀」が人間の認知限界からきているのではとの考え方が面白かった。AIは複雑な世界を複雑なまま理解できるが、人間にはそれができない。

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2023年01月21日

Posted by ブクログ

脳科学の最近の研究テーマや成果・技術がザクッと紹介されている。難病で体が動かせなくなった人の治療に使えることはあるかもしれないが、健常者が脳に電極を埋め込んで気分を良くするとか何かするというのは非現実的な妄想。

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2022年10月04日

Posted by ブクログ

授業でオススメされたので読んだ。
とにかく軽快な文章でつぎつぎと研究成果や神経伝達の仕組みを説明してくれる。註釈などはないので、引用元の論文を知りたい時に不便だったが、そういう読み方は想定していないものと思われ。

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2022年08月13日

Posted by ブクログ

久しぶりに小説以外の本。

脳とはまだまだ解明されていない分野だとは知っていたけど、それをAIとつないだらどうなるか、という側面で描かれた本。

こんな研究が進んでいるのかとか、
AIがここまでできるようになってるのかとか、
知らないことがいっぱいあった。

その中で、人間らしいとは、AIには出来ないことはなんだ?とか考えてたけど、AIも人間しかできないと言われている領域に踏み込んできていることが描かれていて、驚いた。

人間しかできないこと、というよりは、いい所をもらって、刺激してもらって、より良くなっていくという未来の話は、映画のようだと思った。

この本で書かれている内容が50〜100年後には実現してるかと思うと、科学ってすごいと思った。

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2022年05月05日

Posted by ブクログ

新しい情報が盛りだくさん。
倫理的な警鐘は忘れていないものの、技術至上主義的で、新たな気付きは無い。

「脳が感じる=脳に電気刺激を与える」と随所にあるが、今後の人工知能のブレークスルーは、本文に言及されているとおり、「身体性」が肝だろう。

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2022年02月22日

Posted by ブクログ

抜群に読みやすく、この分野を知らない人にとってこれ以上にない心オドル本である。
ただし、人工知能や脳に常日頃関心がある人にとっては少々常識的な有名な話が多い印象。
著者独自の研究成果や思想がもっと書いてあるとオリジナリティのある内容になると思う。
ノーベルチューリングチャレンジで最初にAIが取る賞のジャンルは文学賞だろうという読みは鋭いし、同感である。

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2022年01月13日

Posted by ブクログ

 脳研究、人工知能研究いずれも近年急速に進歩している分野であるが、両者を組み合わせたならばどれほどのことができるのか、最先端の興味深い事例が多数紹介される。
 イーロン・マスク率いるNeuralinkの取組では、アカデミアとインダストリーの繋がりにより短期間で驚異的なブレイクスルーが実現されているが、豊富な資金力と高性能のコンピュータを擁する者の強みが実感される。(治療目的ではあるが、脳に電極を埋め込んだりと、SFに現実が近づいている感がした。)

 著者は、東京大学「池谷脳AI融合プロジェクトに所属しているが、同プロジェクトでは、脳の未知なる能力をAIを用いて開拓することで、脳の潜在性の臨界点を探ることを目的として研究が行われている。
 倫理的な問題には十分配慮して研究は行われているようだが、こうした取組の先にある"未来"はどのようなものとなるのか、各人の人間観、世界観を問われそうだ。


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2021年12月28日

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