あらすじ
芥川賞作家が贈る脱力ミステリ、夏の事件簿登場!
ザリガニを釣って食用とする赤貧生活を送る准教授クワコーを見舞った2つの怪事件。答案用紙と女子大生の水着はなぜ消失したのか?
解説・有栖川有栖
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
クワコー、いい。主人公とは思えぬ駄目ぷり。なんだか母性本能をくすぐられる。
水着の話も、聞けばどうということもないのにあれだけミステリー然としてくるのはすごい。
有栖川先生のあとがきのも嬉しかった。
Posted by ブクログ
たらちね国際大学准教授にして、文芸部顧問の桑潟幸一。
ヴァルネラビリティ高めの彼が巻き込まれる珍事件を、文芸部の面々が解決する、というミステリ。
シリーズ三作目とのことだが、実は私には本作が初めて。
でも、ちゃんとついていける。
「スタイリッシュな生活」とくるが、首になることを恐れ、汲々と生活を切り詰めるクワコー先生には、これほどの皮肉な言葉はない。
食費を浮かせるために水路でザリガニを取り、独り生えしている紫蘇を見つけ歓喜するクワコー先生、だんだん生活力を高めつつあるようで。
事件も、殺人のようなシリアスなものではない。
事件は文芸部員たちがあけすけにくっちゃべるなかで、おもむろに解決する。
その喋りたるや、すさまじいノイズが混ざる。
「あっと、クワコー先生、どもス。てか、オレ、先生にちょっと話、っつうか、ある種、告白? って、コクリじゃねえっての。オレがクワコー先生にコクってどうする。ありえねー。 てか、可能性としてはありだけど。あくまでも可能性としては。でも、オレ的にはなし。全然なし。あ、でも、別にクワコー先生だからってことじゃなくて、一般に、っていうか、ここでいっときますけど、オレ、そっちのケはなし。いまは。いまんところは。 てか、このへん全般、かるく流しといてください」
こんな調子で、こちらの緊張感は緩んでいく。
が、それがこの作家の冷静な計算なのだろう。
何が重要な伏線なのかといった、小賢しい料簡を晦ますかのようなのだ。
こういうミステリもあるんだなあ、と感じた一冊。
Posted by ブクログ
ほぼ女子大の准教授だが、徹底的になさけない主人公。
主人公の周りで発生した身近な事件を、文芸部の女子学生が解決するのだが、主人公はおろおろとするばかり。
時代の風を感じさせる言葉やエピソードが織り込まれながら、田舎の自然や地方色も絡み、混然としかも軽く話が進んでいく。
気楽に読みながら、あちこちに散らばっているキーワードを楽しむのも良いかと。
Posted by ブクログ
楽しいシリーズで、何も考えずに楽しめるかな。特に皮肉の効いたというかナンセンスギャグ的な文体がお気に入りのシリーズだ。まるっきりどうでもいい事件(事件といえるだろうか)と動機も可愛くていいよね。