あらすじ
鎌倉幕府滅亡から二年後の一三三五年、北条高時の遺児時行が信濃で挙兵。動揺する後醍醐天皇ら建武政権を尻目に進撃を続け、鎌倉を陥落させた。二十日ほど後、足利尊氏によって鎮圧されるも、この中先代の乱を契機に歴史は南北朝時代へと動き出す――。本書は、同時代に起きた各地の北条氏残党による蜂起や陰謀も踏まえ、乱の内実を読み解く。また、その後の時行たちの動向も追い、時流に抗い続けた人々の軌跡を描く。
...続きを読む感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
愚論思いついた(´・ω・`)
鎌倉の地が主役で武士政権を作ったのでは?
鎌倉時代の終焉の図で、得宗家を含め北条氏と
言えば情けない姿しか思いつかない
中先代の乱、北条時行が起こした反乱など死に
体であった北条氏の最後っ屁ぐらいにしか思っ
ていなかったが、鎌倉幕府滅亡後20年に渡り、
多くの北条側の反乱が続発している
時行の戦いがもたらしたのは、出来かけ建武の
後醍醐体制をくずし『足利一族政権』である
鎌倉を支配する事になった尊氏はその時すぐに
将軍家と周囲から称された(武家政権の長)
それは北条氏(先代)の次に足利氏(当御代)
義詮が先例を模索するときに、頼朝の次に得宗
家を武家の吉例としている(北条高時へ贈位)
将軍の被官に過ぎない北条氏ではない
伊勢宗瑞の子孫も北条名乗りを地域支配に利用
したではないか
何より、中先代の乱以外にも20年に渡り、名の
無い北条氏達は復権のために争い続けている
(巻末建武政権期の反乱の広範囲で多発に驚く)
鎌倉は、頼朝に武家の政権を取らせ、摂家・皇
族将軍を無視して、武士として政権中枢にいた
北条氏に武家の尊崇を集め、朝廷政権に傾きか
けた所を尊氏を躍らせ、強力な支配体制をもた
らした不可思議な土地である
Posted by ブクログ
日本中世史研究者 鈴木由美氏が北条時行による「中先代の乱」について解説した著作。「逃げ上手の若君」で時行に興味を持った人は絶対に読んだ方が良いです。太平記の時代は残された資料が少なく空白期と呼ばれていますが、様々な文献を丁寧に参照しながら解説されています。前後の歴史的な事柄も解説されているので幕府滅亡後の北条、足利の概要を把握するのに最適だと思います。作者も「夢語りシリーズ」で時行を好きになり追いかけることにしたとあり、目が曇っているどころかとてもクリアです。著者から近しいものを感じれるはずです。