【感想・ネタバレ】中先代の乱 北条時行、鎌倉幕府再興の夢のレビュー

あらすじ

鎌倉幕府滅亡から二年後の一三三五年、北条高時の遺児時行が信濃で挙兵。動揺する後醍醐天皇ら建武政権を尻目に進撃を続け、鎌倉を陥落させた。二十日ほど後、足利尊氏によって鎮圧されるも、この中先代の乱を契機に歴史は南北朝時代へと動き出す――。本書は、同時代に起きた各地の北条氏残党による蜂起や陰謀も踏まえ、乱の内実を読み解く。また、その後の時行たちの動向も追い、時流に抗い続けた人々の軌跡を描く。

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Posted by ブクログ

ジャンプ連載漫画で興味を持って。しっかり検証して書いてる印象。中先代の乱の意義(室町幕府に繋がったかも)、北条時行の生涯(3回も鎌倉を占拠・攻撃)を書いてます。あとがきから読むといいです。

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2022年03月26日

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最後の得宗北条高時自害により鎌倉幕府は滅亡した。その弟泰家は自害を偽装することで、高時の息子時行は幼齢であったことから生き延びた。鎌倉幕府滅亡から足利尊氏離反まで北条残党の反乱は15件程度確認できる。泰家を匿った関東申次西園寺公宗は後醍醐天皇暗殺の嫌疑で処刑された。暗殺計画の黒幕は後醍醐と対立する系統の光厳上皇と考えられる。公宗は泰家・時行と連携していた。
時行は信濃で挙兵し中先代の乱始まる。足利直義ら幕府側に勝利し、鎌倉に入った。直義は鎌倉幕府打倒に功績のある前征夷大将軍護良親王を殺害。これは時行と建武新政で冷遇されていた護良親王が結託し鎌倉幕府が再興されることを恐れた処置である。
尊氏が出陣し乱は鎮圧された。鎌倉選挙はわずか20日だった。時行方の主な大名は顔の皮を剥いで自害していた。それに紛れ時行は逃げ延びた。
中先代とは執権北条氏を先代、足利尊氏を当代とし、その間の代という意味である。時行は短期間鎌倉を占拠したに過ぎないが、正式な政権として人々から認識されていた。
尊氏は後醍醐から解任され、光厳上皇から院宣を賜り打倒後醍醐の大義名分を手に入れた。後醍醐を追い出し光厳の弟を光明天皇として践祚させた。
再度鎌倉で合戦が起きた。首謀者は大夫四郎とされ、これは泰家のことと考えられる。おそらくこの乱で死んだ。
時行は難聴の庇護を受け幕府と転戦したが最後は捕らえられ処刑された。25歳だった。
中先代の乱最大の意義は尊氏が後醍醐から離反するきっかけを作ったことである。

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2022年03月11日

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教科書では、「北条の残党」と括られることで何となく覚えていた。

筆者は色んなことを調べ尽くされている。
あっーと言う間に、読み終えてしまいました。

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2021年10月24日

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鎌倉幕府滅亡から2年後。日本史の教科書では一行で終わるような反乱。最後の執権北条高時の遺児時行の闘争。

建武の新政から後醍醐天皇と足利尊氏の争い。その最中に起こる中先代の乱。一行で知識として知っていたが、建武の新政に対する不満を受けてか実は大きな反乱。鎮圧のため東上した尊氏が後に幕府を開くきっかけの一つともなっている。

乱の鎮定後も生き延びる時行。やがて南朝方に属し足利幕府に抵抗する。その20年の戦いにスポットをあてた本書は異例だろう。筆者の執念を強く感じる。

近年売れ行きの良い中公新書の日本史シリーズ。本書も他の著作に劣らず楽しめる一冊でした。

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2021年10月19日

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ネタバレ

愚論思いついた(´・ω・`)

鎌倉の地が主役で武士政権を作ったのでは?

鎌倉時代の終焉の図で、得宗家を含め北条氏と
言えば情けない姿しか思いつかない
中先代の乱、北条時行が起こした反乱など死に
体であった北条氏の最後っ屁ぐらいにしか思っ
ていなかったが、鎌倉幕府滅亡後20年に渡り、
多くの北条側の反乱が続発している

時行の戦いがもたらしたのは、出来かけ建武の
後醍醐体制をくずし『足利一族政権』である
鎌倉を支配する事になった尊氏はその時すぐに
将軍家と周囲から称された(武家政権の長)
それは北条氏(先代)の次に足利氏(当御代)
義詮が先例を模索するときに、頼朝の次に得宗
家を武家の吉例としている(北条高時へ贈位)

将軍の被官に過ぎない北条氏ではない
伊勢宗瑞の子孫も北条名乗りを地域支配に利用
したではないか
何より、中先代の乱以外にも20年に渡り、名の
無い北条氏達は復権のために争い続けている
(巻末建武政権期の反乱の広範囲で多発に驚く)

鎌倉は、頼朝に武家の政権を取らせ、摂家・皇
族将軍を無視して、武士として政権中枢にいた
北条氏に武家の尊崇を集め、朝廷政権に傾きか
けた所を尊氏を躍らせ、強力な支配体制をもた
らした不可思議な土地である

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2021年09月03日

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ネタバレ

日本中世史研究者 鈴木由美氏が北条時行による「中先代の乱」について解説した著作。「逃げ上手の若君」で時行に興味を持った人は絶対に読んだ方が良いです。太平記の時代は残された資料が少なく空白期と呼ばれていますが、様々な文献を丁寧に参照しながら解説されています。前後の歴史的な事柄も解説されているので幕府滅亡後の北条、足利の概要を把握するのに最適だと思います。作者も「夢語りシリーズ」で時行を好きになり追いかけることにしたとあり、目が曇っているどころかとてもクリアです。著者から近しいものを感じれるはずです。

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2025年02月09日

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逃げ若読んで史実を知りたくなったので買ってみた。
素人にもわかる良い論文を読んだ…という印象。膨大な史料を参考に、あらゆる角度からこの年に何が起こっていたのか?を検証されていて、正直分かりづらい点もあったものの全体感を把握するのには問題ないレベル。本文では客観的な立場から淡々と(そう見える)論述されていたが、あとがきで時行への愛がすごくて、ギャップが面白く、また愛があるからこそここまで研究できるんだな…と思った。史料が少ないからこそ明かされて来なかったことも多いはず。それを著者の鈴木さんが表に出していき、今こうして多くの人に「北条時行」の名が知られているのはすごい。

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2025年01月04日

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時系列に沿って、詳細な資料検討が行われた事が伝わってくる一冊
中先代の乱だけではなく、その前後の流れまで書かれているので入門としてオススメ

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2024年09月02日

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中先代の乱について、時代背景からその意義に迫る本。
中先代の乱自体は早々に鎮圧されるため、足利尊氏が後醍醐天皇との確執を生むきっかけになったというくらいしか認識していなかった。しかしそこには鎌倉幕府滅亡前から続いていた持明院統と大覚寺統の複雑な権力構造、足利氏に反感を持つ御家人の思惑などさまざまな利害関係が結集したターニングポイントとも言える。
特に北条時行が当初持明院統(北朝)の将軍を立てることで鎌倉幕府の再興を狙い、それが不可能になったことで後醍醐天皇側につく流れは新しい知見となった。
資料があまりにも少ないこの事件ではあるが、丁寧に史料を紐解いていけばここまで推察ができるということが歴史学の苗字であろう。

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2024年07月28日

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結果的に足利尊氏が建武政権から離脱するきっかけとなり、歴史的にも大きなターニングポイントになった中先代の乱は、個人的にとても興味があり、とても興味深く読みました。
ただいかんせん、残されてる資料が少ないので、状況証拠などからの推論に頼らざるを得ないのは、しょうがないかもしれない。

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2022年07月31日

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教科書には載っているけど、あまり詳しく論じられていなかった中先代の乱の経過と意義を考察している。鎌倉幕府滅亡後に反乱が頻発していたことを初めて知った。

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2022年02月06日

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北条時行に魅了されたという著者。
過去の資料を独自の視点も織り交ぜながら、中先代の乱とその影響について評価していく一冊。
教科書には一行くらいしか出てこない出来事だけど、
背景含めて掘り下げられていて面白かった。

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2021年12月18日

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恐らく来年の大河ドラマを意識して出されたのだと思われる作品。鎌倉幕府が崩壊した時に実質的に権力を握っていた執権の北条一族は一族郎党の殆どが鎌倉で自害して果てたのだけれど討幕後の後醍醐天皇の政治に不満を持つ武士たちの反乱が相次ぎ最終的には討幕の中心的存在だった足利氏が後醍醐天皇を追いやって新たに幕府を立てた、という歴史の流れがあるけれども本作で取り上げられているのはその反乱が北条一族の残党が中心であるものが多かった、という話。中先代の乱、は教科書にも載っていて最後の執権の遺児が信州で蜂起して鎮圧された、みたいなさらっとした記述だったように記憶している。往時もうっすら疑問だったのだが、なぜほぼ一族郎党が自刃して果てた中でどうやって鎌倉から逃れなぜ信州で蜂起したのか、また鎮圧された後にどうなったのか、というような点が明確にされていて興味深い。作者も中学時代にその辺りに疑問を感じたらしく結果的にこのような作品を書くに至ったその経緯も面白い。メインストリームの歴史ではないけれどもこういう言わば歴史の細部を掘り下げて行くとまだまだ面白いストーリーがあるのでは、と思った。非常に面白かった。

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2021年11月28日

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鎌倉幕府滅亡後に起きた最大級の北条与党の反乱について、その前史や他の同時期の反乱を踏まえてその全体像と歴史上の位置付けを描き出す一冊。各地で発生した北条与党の乱を詳細に検討し、全体の視点から分析した内容が興味深い。

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2021年11月05日

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鎌倉幕府滅亡から2年後に起きた、中先代の乱。
建武政権から南北朝時代へと進行する契機となった乱の、
あらましや内実、時流に抗う人々の動向を探る。
序章 鎌倉幕府と北条氏  第1章 落日の鎌倉幕府
第2章 北条与党の反乱   第3章 陰謀と挙兵-中先代の乱①
第4章 激戦と鎮圧-中先代の乱②
第5章 知られざる「鎌倉合戦」 第6章 南朝での活動
終章 中先代の乱の意義と影響
主要参考文献、関係略年表、建武政権期における反乱の表有り。
適宜、系図有り。
北条氏得宗家の生き残り、北条時行が起こした、中先代の乱。
鎌倉時代の始まりから滅亡までの北条氏と、
その後の建武の新政、南北朝時代の時の変遷の中で発生した
多くの反乱について、北条時行の他、北条氏残党の動向と共に、
各説の検証をも含め、考察していく内容。
建武政権下、2年6ヶ月の期間に26件の反乱、
それも全国のあちこちで火の手が挙がっていたということ。
武士たちへの恩賞給付の問題への不満、東国御家人の不満等が、
北条与党を担いでの行動に繋がった。南北朝時代も、
南朝方となって、生き残った北条一族は戦い続けていく。
それらの中で、特に激戦だったのが中先代の乱なのですが、
中先代の乱自体が20日間という短期間であったことと、
北条時行(挙兵時、著者の推定では7歳!)についての史料が
少ないことから、文中に占める記述は僅かになってしまっています。
でも、その後も彼は、南朝に組して何度も各地を転戦し、
捕らえられ、鎌倉郊外で処刑されている。
生地・鎌倉と反足利氏への思いが執念と化したような、
時行の短い生涯。著者の推定では享年25歳!
鎌倉幕府の頃はよかった・・・あの頃に戻りたいと願う者たちの、
想いが乗り移ったかのようにも、思えました。

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2021年10月04日

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ネタバレ

この辺りの時代の本が最近は色々出ていて嬉しい。北条時行とかはあまり知らない人物で興味もあったし。ただかなり若いと言うか鎌倉を奪った時はまだ子供…。

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2025年10月04日

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鎌倉幕府滅亡後の建武政権期に起こった中先代の乱とその前後の歴史の流れの中での北条一族についてが描かれている。
北条時行についての資料があまり無いようで時行についてはそこまで描かれていない。

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2023年01月08日

Posted by ブクログ

中先代の乱

教科書に載っている事象ながら、概要にとどまることが多い事象。

最新の研究等が載っており、非常に為になる。

しかしながら、作者の推測が多いのが気になる。

研究史の整理としては良い一冊ではないかと思う。

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2022年06月05日

Posted by ブクログ

“中先代の乱”とは随分と地味な題材だなと思いつつ、鎌倉〜室町の中世が好きなので読んだ。
鎌倉陥落〜南北朝、室町幕府が開かれる前まで、北条の残党
の戦いがつづいていたとは知らない歴史でした。簡単に次の時代へと移るわけがないか。

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2021年09月23日

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資料が少ない中でよくまとめられた本だと思う。中先代の乱だけでなく、その前後の期間の細かな事件なども取り上げている。西園寺公宗の陰謀など。各地の反乱は、北条の関係者が多かったが、得宗などが統率できていたわけではなかった。

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2021年09月23日

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中先代の乱の経過や意義、北条時行の生涯を記述。資料がないためか漠然としていて印象に残らない。著者あとがきの北条時行愛がもっと伝われば面白かっただろう。

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2021年08月13日

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