あらすじ
荘園は日本の原風景である。公家や寺社、武家など支配層の私有農園をいい、奈良時代に始まる。平安後期から増大し、院政を行う上皇の権力の源となった。鎌倉時代以降、武士勢力に侵食されながらも存続し、応仁の乱後に終焉を迎えた。私利私欲で土地を囲い込み、国の秩序を乱したと見られがちな荘園だが、農業生産力向上や貨幣流通の進展に寄与した面は見逃せない。新知見もふまえ、中世社会の根幹だった荘園制の実像に迫る。
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Posted by ブクログ
記述が厚い。あとがきにもある通り、私にも一行一ページの後ろに何篇の論文があるかと思いをはせるように促すものがありつつ、淡々と解説されていく。新書ってこういうものだよね、と往年の岩波新書を思いながら読んだ。
Posted by ブクログ
書籍で漠然・もやもやとしていた知識が得られた時って気分イイデスよね(´・ω・`)
本書は時代に合わせて、同じ「荘園」でも、内容が違う
この当たり前の事を丁寧・具体的に語り続けていて、幾度か「荘園を理解したい」ことに挫折したアタクシへ光明をみせてくれた(理解したとは言ってない)
また、時代背景を短文で説明されており、小気味よく、なんだか賢くなった気がする(なってないケド)
忘れないうちにφ(. . )メモメモ
一般にイメージする荘園が拡大した時代は院政期で、領域型荘園と呼ぶが、支配者も御願寺造営(建築ブーム)のために使える財源を増やさねばならないという事情があったからである(仕方ないね・・・とは言ってない)
(1)まずは、これを理解していきたい
(2)それまでの荘園は、律令制度維持のため変容していく過程で生まれたものであるし、
(3)領域型荘園も武家の時代を迎え国家体制が転換する中で形を変えていった
(4)更に荘園の解体していく必然的な理由という段階を分けて考えることにしよう
最後に気候変動と農業の関係を書く時代毎に記述されているのも本書の特徴であるが、頭が悪いのか、グラフの読み方が理解できないためか、記事とグラフの相関関係がピッタリくるものではなかったのは自分への大きな宿題として残る