【感想・ネタバレ】湖畔荘 上のレビュー

あらすじ

ロンドン警視庁の女性刑事セイディは、女児を置き去りにして母親が失踪したネグレクト事件について本部と意見が対立、問題を起こし、謹慎処分となった。ロンドンを離れ、コーンウォールの祖父の家で日々を過ごすうちに、打ち捨てられた屋敷を偶然発見、そして70年前にそこで赤ん坊が消える事件があり、その生死も不明のまま迷宮入りになっていることを知る。彼女は謎に満ちたこの赤ん坊消失事件を調べ始めた。ミッドサマー・パーティの夜、そこで何があったのか? 仕事上の失敗と自分自身の抱える問題と70年前の事件が交錯し、謎は深まる!

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Posted by ブクログ

ネタバレ

 あるネグレクト事件関連の失策で謹慎処分を受けた女性刑事のセイディ。

 彼女は祖父の住むコンウォールで謹慎処分期間を過ごすことに……。 だが、ランニングコースに打ち捨てれた状態の屋敷を発見する。

 そこでは70年前に男児が行方不明になった事件現場出会った。

 未解決のこの事件に興味を持ち、調べ始まるセイディであるのだが……。
 下巻はすでに読み始めています。

 私の好みの物語です♪

 物語は過去と現在を交差させることで続いていくのですが、詳しい感想は下巻を読み終えてからUPしたいと思っています。

 今はとにかく読んでいて楽しいです。謎ときもそうですが、この湖畔荘の歴史がとても興味深く、そして、第一次世界大戦や第二次世界大戦の傷をもつ人々の記憶が痛いです。

 人々がどう生きていこうとしているのか、そして湖畔荘の持ち主であるエダウィン一族の人々の抱えているものが気になります。

 ミステリとしても、ゴシックものとしても楽しめるのがとてもうれしいです。(どちらも好きなんです)

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2022年01月09日

Posted by ブクログ

ネタバレ

『忘れられた花園』を読んで以来の作者の本ですが、またもや違う時代に生きる女性二人が主人公です。

現代パートの主人公は、ネグレクト事件でのミスで有休消化という名の謹慎処分中の刑事、セイディ。
どうも彼女が過去にプライベートで起こした事件がきっかけで、そのミスが誘発されたらしいということは薄々わかります。

過去の事件に向き合いたくないがために、早く職場復帰したいセイディは時間をもてあまし、たまたま祖父が買っている犬の散歩中に見つけた荒れ果てた屋敷が、未解決の誘拐事件の舞台となった場所であることを知り、興味に駆られてその事件を調べ始めます。

過去パートの主人公は、誘拐事件のときにその屋敷に住んでいた、作家志望の少女・アリス。
彼女は現代パートでは有名なミステリ作家として名をはせています。
しかし、事件について何かを語るということは一切ありません。
それは不自然なほどに。

少女時代のアリスは、その屋敷・湖畔荘をとても愛し、結婚して家を出るくらいなら一生結婚しないでこの家で暮らしたいと考える少女でした。
その反面、恋を知ったアリスは、恋する少女特有の夢を見たりもするのですが。

最初、あまりの不穏な書き出しに、アリスが事件の被害者で、死んでしまうのではないかと心配でしたが、いけ好かない婆さま作家として長生きしていたことがわかり、安心して事件について考えることができました。

アリスの母のエリナの少女時代から語られる過去パートでまず気になったのは、アリスが語る堅苦しい母と、アリスのように自由闊達にふるまう少女エリナの乖離。
なぜ彼女は変貌したのか。

ほとんど社交というものをしなかったアリスの家庭で、年に一度開くミッドサマー・パーティ。
その夜に赤ん坊が誘拐されたわけですが、容疑者たり得るのは家族と数人の使用人だけ。
この中に犯人がいるはずですが、家族それぞれに語られない秘密があるようです。

事件は解決されないまま70年がたち、アリスと姉のデボラはそれぞれ過去と向かい合う最後の時が近づいてきたことを感じています。
セイディも、事件を追いながら自分の過去と向き合うことになるのでしょうか。

アリスの両親たちが若かった頃に起きた第一次世界大戦、アリスたちが若かった頃の第二次世界大戦も、なんらかの影響を事件に与えているようにも読めます。
いくつも散りばめられている伏線がどう回収されて、事件がどのような姿を見せるのか、下巻がとても楽しみです。

第二次大戦の時代をアリスが回想しているシーン。
”あの時代を生きた人々は現代人よりずっと禁欲的だった。己の感情をみだりに口にしなかった。怪我をしても泣くな、潔い敗者たれ、恐れを決して認めるなと、子供のころから叩きこまれたものだった。”
日本人だけがこういう教育を受けていたわけではなかったんだな。
そして、イギリス国家は、一人の餓死者も出さないよう、王立公園をつぶして畑にするなど、内政もしっかりしていた。
勝敗を分けるのはそういうところ、というわけではないにしても、彼我の違いが残念でならない。

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2024年05月30日

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