大泉啓一郎のレビュー一覧
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東アジアのここまでの経済成長を『人口ボーナス』の視点で読み解いた上で、よく言われる『アジアの経済活力を取り入れよう!』を全否定してくれる本。
そして、すでに東アジア諸国でも少子高齢化の波は始まっているのね。韓国も台湾も中国もタイも人口ボーナスを謳歌した時代は近日中に終了し、高齢化社会に必要な社会福祉制度を
確立するまもなく高齢化を迎える・・・ただし、これだけきちんと分析しているのに終章の結論は酷い。高齢化したアジア諸国を支えるための東アジア共同体などという血迷い事は断固拒否する。東アジアおよび東南アジア諸国の高齢化はそれぞれの国で対処すべきよ。大東亜共栄圏は断念したんだから、うちらが責任をとる -
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<目次>
序章貿易立国の復活に向けて
第1章変わる日本の立ち位置
第2章新興国・途上国の台頭
第3章アジアと日本からアジアの中の日本へ
第4章ASEANから新興国・途上国を開拓する
第5章新興国・途上国とともに成長する
第6章日本から富裕層マーケットに切り込む
第7章日本の競争力をいかに赤めるのか
あとがき
P77(大量生産・大量消費の)生産に関する情報をいち
早く獲得した国、すなわち欧米や日本にはより富を
急拡大させ、政治的権力さえも手に入れた。パックス・
ブリタニカ。パックス・アメリカーナ。
P139ASEANには中国市場が開かれている
ASEAN中国FTA(ACFTA)が2005にス -
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日本の戦後の発展は、原料を輸入しそれを加工して輸出する「貿易立国」モデルで成長してきたが、新興国の発展でもはやそのモデルは行き詰まっている。
そのような背景をさまざまな経済あるいは貿易データで立証し、その過程でどのように新興国が発展してきたかも明らかにしている。
この分析からわかることとして、アセアンの健全な発展と地域・人口の大きさがある。そこに着目して、中に入り込んだ取り組みを本書は提案する。
このような内容を豊富なデータをもとに説明されると、批判というか反論は難しい。人口低下が避けられない日本の内需は期待できないし、本書の示唆に沿った企業やスタートアップも自然と増えてくるのではない -
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医療の普及発展による乳幼児死亡率の劇的な低下と高齢者の長寿化により、世界は急速に高齢化している。
また経済発展は少子化傾向を推し進めることになるため、高齢化と少子化が同時に進行する。
その先頭を走るのが日本であるが、それ以外のアジアの国々でも、高齢化が進行中である。しかもそのスピードは世界最速といわれてきた日本の速度を上回る。
人口構造の変化は、その過程で、人口ボーナスという経済発展に好都合な時期を生む。この時期は子供と高齢者が少なく、労働者人口が圧倒的に多い。
日本はこの時期を巧く活用し、飛躍的な経済発展を遂げた。(団塊の世代と高度経済成長期)
韓国・台湾・香港・シンガポールのNIES諸 -
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日本でも大都市圏とそれ以外の地方都市では、人々のライフスタイルが全く異なるため、マーケティング手法も異なると感じていたが、この本はその問題をアジアの新興国や成長国でみた場合、メガ都市を中心とするメガリージョンと、それ以外の地方(農村)がどれほど生活水準が異なり、国単位で捉えることが難しいか(無意味)であるかを記した本。
NIES=20世紀以降に大きく成長した国/都市のこと。アジアでは、韓国・台湾・上海・シンガポールがこれにあたる。タイもバンコクに限ってはここに分類することが可能なレベル。
後進国のベースは、農村都市にある。その国が成長をする恒例の流れは、農村社会から都市社会への以降にある。都市 -
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ITS関係の大先輩に教えていただいた本。一気に読んでしまった。
社会学系の本のとっつきにくさはなく、非常に明確にロジックが進んでいくのが見えたのはうれしい。特に項目8が圧巻!
下記は留意しておきたい項目。
1 対象とする国:新興国
(Emerging Economies)
中国、ASEAN5(タイ、マレーシア、インドネシア、フィリピン、ベトナム)、インド
2 所得による層別(年間の可処分所得)
富裕層:35001ドル以上
中間所得層:5001ドル以上
低所得層:5000ドル以下
3 富裕層の台頭
・日本 9200万人
・2015にはアジアが抜く
4 商品の2極化
・日本と変わらな -
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タイトルで職場の平積みから購入。
大泉さんは、三井銀行総研の主任研究員。
著者の前半部分は、新興国のメガ都市とメガリージョンが発生して、着実に発展している話。
都市を有機的にみるという考え方は、日本でも戦前から、高度成長期まで、都市が極端に拡大していた時代に盛んだったが、そのような時期にアジアもあるということ。
後半の地域格差問題など格差問題は深刻。
①中国、ASEAN、インドのジニ係数は0.4を超え、筆者の中国の計算なども勘案すると、すべてジニ係数は上昇傾向にある。(p122)
アジアの新興国はすべて地域間格差を拡大しているというのは、政情不安の可能性もあ -
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日本企業のアジア進出はアジア成長が前提になっているが、実はアジアは急速に少子高齢化が進んでいる。この現況をとらえ、アジア経済の活力は今後も持続するのか?アジアは10年20年後にどのような課題を持つのか?その時日本はどのような役割を果たすべきか?を書いた本。
興味深いのは、先進国は将来発生する貯蓄不足に対して新興市場からの資金取り込みを期待しており、他方、新興国は先進国からの資金取り込みをこれまで同様に成長戦略の中心に捉えているという点です。先進国と新興国が将来的な成長の資金源を相互に期待しており、「誰が世界の資金不足を賄うのか」という問題が近い将来浮上してくるかもしれません。いや、もしかしたら