あらすじ
もはや日本は「輸出大国」ではない。
グローバルな視点で現実を直視し、日本経済復活のための新たなモデルを示す!
「資源のないわが国が生き残るには貿易しかない」
--戦後、日本は「貿易立国」を合言葉に、経済発展という坂道を駆け上り、ついにはアジアで真っ先に先進国入りを果たしました。
ところが発展の原動力となった輸出が不振です。これまでリードしてきた工業製品の優位性が揺らぎ、かつては世界の10%ちかくを占めてきた日本の貿易シェアは低下する一方。
「貿易立国」という、この国のかたちが危機に瀕しています。
なぜか。経済のグローバル化、技術のデジタル化という、かつてとは大きく異なる環境を背景に、新興国・途上国が台頭。日本をふくめた先進国の地位が低下しているからなのです。
では、日本が復活するためにはどうすればいいのか。
アジア各国のビジネスを30年ちかくリサーチしてきた著者は、成長トレンドにあって、日本国内の工業地帯に匹敵するほど大きな、日本企業の集積地があるASEANとの連携を提唱。
その上で、国内で開発・生産する「メイド・イン・ジャパン」戦略と、新興国・途上国へ生産拠点を移す「メイド・バイ・ジャパン」戦略の使い分けを説きます。
脅威論でも、悲観論でも、空理空論ではない、グローバル経済の時代に対応したリアルな「貿易立国論」の誕生です。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
<目次>
序章貿易立国の復活に向けて
第1章変わる日本の立ち位置
第2章新興国・途上国の台頭
第3章アジアと日本からアジアの中の日本へ
第4章ASEANから新興国・途上国を開拓する
第5章新興国・途上国とともに成長する
第6章日本から富裕層マーケットに切り込む
第7章日本の競争力をいかに赤めるのか
あとがき
P77(大量生産・大量消費の)生産に関する情報をいち
早く獲得した国、すなわち欧米や日本にはより富を
急拡大させ、政治的権力さえも手に入れた。パックス・
ブリタニカ。パックス・アメリカーナ。
P139ASEANには中国市場が開かれている
ASEAN中国FTA(ACFTA)が2005にスタート。
P178ASEANとともに成長する、政府とともに、
企業とともに、人たちとともに。
P218日本が新興国・途上国において苦戦を強いられて
いる原因のひとつは、市場をくまなく観察する人材を
投入していないこと、地場企業と交渉を重ねる
タフネゴシエーターが少なくなっていることにあるの
かもしれない。
アセアンともに、中国市場を目指し、アセアンを
マーケットとしてもとらえる、日本のやり方で。
Posted by ブクログ
日本の戦後の発展は、原料を輸入しそれを加工して輸出する「貿易立国」モデルで成長してきたが、新興国の発展でもはやそのモデルは行き詰まっている。
そのような背景をさまざまな経済あるいは貿易データで立証し、その過程でどのように新興国が発展してきたかも明らかにしている。
この分析からわかることとして、アセアンの健全な発展と地域・人口の大きさがある。そこに着目して、中に入り込んだ取り組みを本書は提案する。
このような内容を豊富なデータをもとに説明されると、批判というか反論は難しい。人口低下が避けられない日本の内需は期待できないし、本書の示唆に沿った企業やスタートアップも自然と増えてくるのではないだろうか。