大泉啓一郎のレビュー一覧
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ネタバレ経済発展が著しいアジア諸国。これらを見渡すと、そこには限界などまだまだ先の話のように思える。
筆者はそのような楽観的な意見に対して懐疑的な主張を繰り広げる。
筆者の主張の核となるキーワードは、地理的視点と多様性である。
まず、現在発展が著しい国家(中国、タイ、マレーシアetc)は、外から見ると国家全体が発展しているように見えるがそうではなく、地理的視点から見れば、局所的な発展に留まっている。例えば、中国なら上海などの沿岸部、タイならバンコクといった具合である。このような大都市は周辺部をも取り込み、「メガリージョン」として著しい発展を遂げている。
しかし、メガリージョンは一方で、国家内において -
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ネタバレ[ 内容 ]
中国の経済成長率が11%を超えたと報道され、この勢いに引っ張られるかのように、アジア全体の経済も順調に推移している。
だがこれは、よく喧伝されるように「21世紀はアジアの世紀」の証明だと考えてよいのだろうか。
アジア全体の少子高齢化とい
う現実を見れば、楽観は許されない。
いまだ社会保障制度が整備されていないアジア各国の10年後、20年後を見据え、アジア
全域で豊かな社会を構築するための方途を提言する。
[ 目次 ]
第1章 アジアで進む少子高齢化
第2章 経済発展を支えた人口ボーナス
第3章 ポスト人口ボーナスの衝撃
第4章 アジアの高齢者を誰が養うか
第5章 地域福祉と東ア -
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日本を含むアジア経済の世界に占めるシェアは23%(2006年通商白書)。一方、少子高齢化がアジア全域で進行しており、NIES諸国は日本よりも低い合計特殊出生率(2005年、日本:1.3に対し、韓国/台湾:1.1、香港:1.0シンガポール:1.2)であり、中国/タイも2.0を切っている。他方、高齢化率では既にNIES、中国/タイが7%を超えた高齢化社会。2025年には高齢化率14%超の高齢社会に突入する雁行的人口変化というべき事態。生活水準の向上や保健衛生の改善による多産多死→多産少子に移行し、過剰人口が発生。そこから人口ボーナス、日本でいう団塊の世代的な若い労働力の膨張が急速な経済発展の基礎と
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本書はアジアのデモグラフィーに着目して、楽観的なアジア経済論に釘を刺しているという意味で、とても意味のある本だと思いました。近年注目された本「デフレの正体 経済は「人口の波」で動く」藻谷浩介著、の先駆けになる本という見方もできますね。特に人口ボーナスの概念解説と、それが経済にもたらすインパクトについてはとても参考になりました。データ分析面ではとても満足です。
ただし気になる点が2つ。
1つめは細かい用語の使い方で間違いが散見されることです。たとえば「高齢化することで貯蓄率が下がり国際収支が悪化する」という記述がありますが、国際収支は常に均衡するので悪化という概念はありません。正確には経常収支 -
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拡大するアジア新興国の消費市場の実態を分析し、今後の課題につき考察している。
本書では、中国、タイ、マレーシア、インドネシア、フィリピン、ベトナム、インドを「アジア新興国」と呼んでおり、分析・考察の概要は以下である。
◆アジア新興国の消費が伸びているのは、「メガ都市」の国際競争力の向上によるところが大きく、持続的な繁栄の条件は、「メガ都市」の競争力を強化し、その繁栄を「メガリージョン」に広げ、更にその成果を地方・農村に浸透させることである。
◆途上国型大都市は、雇用、食料、住居の供給能力に対して人口が過剰な「過剰都市」と言われるが、アジア新興国の大都市は、外国企業の進出により資本と市場を手にし -
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筆者の大泉氏は、とある銀行のセミナーに講師として招かれて、バンコクで講演をされた。その時に、僕もたまたまセミナーに参加しており、講演を聞く機会があった。その時の講演がなかなか面白く、それで買ってみた本。
大泉氏は民間の方で(学者ではないという意味)、本書は、やや雑で強引だな、という印象があるが、それは発想の発展にもつながっていて、良い面もある。
アジア各国で経済成長が進み、それぞれの国での消費者層も厚くなりつつある。アジア各「国」とは言うが、実際にその中でも大きな成長を遂げているのは、上海やバンコクといったメガ「都市」であり、最近では、それらメガ都市を中心とした、メガ「リージョン」とでも呼 -
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大泉啓一著「消費するアジア」中公新書(2011)
* 日本経済にとって重要な新興国とはいうまでもなくアジア諸国である。名目GDPの規模でみると、日本を含めたアジアが世界に占める割合は2000年の24.8%から2010年には25.7%に上昇している。
* 国内市場が人口減少と少子高齢化を背景に拡大が困難だという閉鎖間が強く、これがアジアへの押し出し要因として作用している。
* VISTAはベトナム、インドネシア、南アフリカ、トルコ、アルゼンチンを新興国グループとみなしたものである。
* 中国において地域による所得間格差が大きいことが平均数値で考えると誤ってしまう決 -
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引き続き、同じ著者の「老いてゆくアジア」を読む。
アジアの差し迫る課題がわかった。同じ発展途上国といってもアフリカとは
かなり様相が異なる。アジア特に東南アジアでは人口爆発の時代から高齢者人口爆発の時代へ移行している。
急激な少子化の原因として4つあげている。
1)核家族化
2)結婚年齢の高齢化
3)子供の養育費のコスト
4)ライフスタイルの変化
人口ボーナスという概念がポイント。ベビーブームの世代以降、出生率が下がり、「養うべき子供世代」が少なく、生産年齢人口がおおいため、負担が少なく経済発展が期待できる時代。ただ、ある程度年月が経つと、高齢化社会への入り口にさしかかる。
経済発展はこの