柴田光滋のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
自分が本に携わる仕事をしているので、当然ながら題材に大きな興味を引かれて読んだ。「本とはモノである――。」という点が冒頭からしっかり強調されている点で良書だと感じて読み進めました。
本は文字や絵が書かれた紙が束ねられただけものと言えばそうなのだが、それが完成に至るまでに細部でいろいろな要素があって、そのひとつひとつが読者の印象を変えることもあるわけです。この本の中でもグーテンベルグの印刷の話も出てきたりするが、モノとして歴史も長い分、培われてきたものも大きくて、確かに職人芸的な部分も強い。
もちろん内容が一番大事ではあるのだが、書籍の仕組によって受け手のイメージも変わるし、価格も変わるから届く読者も増減する。忘れがちではあるのだが、細部のこだわりを大事にしていこうという点を再確認することもできた。
ただ、最終章の「思い出の本から」という章には疑問を感じた。老人の懐古趣味とはこういうことを言うのだと思う。2010年のタイミングでこの本を出版する意味は、帯にもあったとおり電子書籍も意識してのもの。それについて展望を論ずる必要まではないが、最後の章が著者の思い出って・・・。あまりに未来を見てなさすぎでは?
それまでの内容はすごく興味深かったのに、最後で少々がっかりしました(笑) 編集者の仕事、という点では良書には変わりないんですけどね。 -
Posted by ブクログ
本が出来上がるまでに、編集者は何をしているかを記す作品。
目次、索引、段組、フォント、装丁・・・・ありとあらゆる本の部品が、どういう経緯で現在のようなスタイルになっているかを、「読みやすさ」という軸を中心に教えてくれる。
一つ一つの解説を通して、編集者はどういう哲学に基づいて本を作っているか、編集者はどういう技術を持っているかを、具体的に検証することができる。
のどに魚の骨がつまったような違和感を、読者に感じさせないために、ここまで行っていたのかということに、思わず唸ってしまう。
電子書籍問題と絡めてこの本を論ずるとすると、
紙の手触りや、読みやすい紙色への意識、ページのめくりやすさ、などの技術は、電子書籍が持ち得ない性質でもあるし、追いつくべき課題であろう。
読み終わったあと、デザイン性と質の高い工芸品として、本を評価する機運があるんだなと思わせてくれた。
編集者の真髄と心意気を堪能させてくれた、味のある一冊。